BIUTIFUL ビューティフル | Untitled




BIUTIFUL ビューティフル(’10)スペインメキシコ国旗


監督 : アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ



楽しみにしていたイニャリトゥ監督の新作ですが “不治の病モノ”

もはや、鉄板ネタとなってしまった感のあるこの手のテーマ。 もうお腹いっぱい。

しかも、主演のハビエル・バルデムは過去に似たような役やってるし・・・・

と、入り口付近で文句たらたらだったのですが・・・・

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

イニャリトゥ監督が19歳の時に観て衝撃を受けたという

黒澤 明監督の 『生きる』 にインスパイアされて作られたそうで

このことについて井筒和幸監督が、細かい言い回しは忘れましたが

「 『生きる』 は、不治の病に侵された男(志村喬)が公園作るだの偽善めいてる。 」

「しかし、この 『BIUTIFUL ビューティフル』 は、そんな綺麗ごとではない。」

世界のクロサワに思い切ったこと言いますね。 北海道ローカル番組だったからかも(笑)

でも観終わった後、そんな綺麗ごとではないのがわかりました。

イニャリトゥ監督なりの “死生観” が描かれていると思います。

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

サグラダ・ファミリアが見下ろすバルセロナの裏社会で

不法移民を相手に、汚れたお金で生計を立てている男(ハビエル・バルデム)

そんな男が、おしっこが赤くなり、医者に何でもっと早く来なかったのだ、と言われる。

それでも、汚れたお金で子供たちを育てていかなければならない。

過去のイニャリトゥ作品のような群像劇ではなく、ひとつの街、ひとりの男に焦点を絞り

血生臭く、泥臭く、そして人間臭い・・・・やはり、イニャリトゥ監督らしい

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

『生きる』 が、しみじみ飲む日本酒なら

『BIUTIFUL ビューティフル』 は、がっと飲み干すテキーラ

かなり悪酔いしそうです(笑)

貧困・差別・不法移民といった社会問題を深くえぐった作品でもあり

薬を売りさばくアフリカ人や、偽物バッグとか作ってる中国人

その中国人は同性愛者だったり、搾取される就労者だったり、強制送還されたりと・・・

混沌とした世界が描かれています。

ハビエル・バルデムが失意の中、入ったストリップ小屋なんかは

ギャスパー・ノエを思わすようなトリップ感

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

最初、べったべたなタイトルが気に食わなかったのですが

「BIUTIFUL」  スペルが違うんですね。

これは、無学なハビエル・バルデムが子供たちに間違ったスペルを教えてしまうんです。

何をもって “美しい” とするのか・・・・

親子の間でしか伝わらない 「BIUTIFUL」

押しつけがましい “家族愛” でないところが好きでした。



→ アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品


スペインの大都市バルセロナ。妻と別れふたりの幼い子供たちと暮らしていたウスバルは、ある日末期がんで余命2ヵ月と宣告され…。
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