11月25日(土)の「Ballet Musesーバレエの美神2023ー」大阪公演第二部の感想です。
第一部の感想はこちら。
「眠りの森の美女」第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
アリーナ・コジョカル&ワディム・ムンタギロフ
公演まであと1ヶ月を切ったタイミングで急遽決定したアリーナ・コジョカル追加出演。
会社の昼休みに知った私、思わず声をあげて飛び上がりそうに。(ここで飛び上がったらただの怪しい人。)
子どもの頃、数え切れないほど観た彼女のクララやオーロラ姫。
ただ、来日公演では、彼女の出演は、東京公演ばかり。
「今回も東京だけか…」とがっかりし続けるうちに月日は流れ、もう関西ではご縁のないダンサーだと思って諦めていました。
そのタイミングで、まさかコジョカルを、そして彼女のオーロラ姫を観られるとは!
当日、幕が上がるまで、祈るようにしてその時を待ちました。
このまま変更なく実現したら、人生初のコジョカル、更に大阪はAプロなので、DVDを何度も見ていたオーロラ姫を、ワディムの王子とのペアで生で観られるとは!
— バレエ好きの経理担当者 (@VumnujewAd8EPFA) October 27, 2023
U25チケットで、こんな幸せをいただいて申し訳ない…。
仕事頑張ってきて良かったです😭 https://t.co/r3MLMc7mTw
そして、幕が上がると同時に、拍手がわきおこり、舞台上にはたしかに、コジョカルの姿が!
10年以上の月日が経っていましたが、子どもの頃から憧れ続けた、あのオーロラ姫が、変わらない微笑みを浮かべて佇んでいました。
↓ワディム・ムンタギロフのインスタより。
ようやく目にすることができたコジョカルのオーロラ姫、今まで観てきたどのオーロラ姫とも違っていました。
キラキラ✨した王女様、気品に溢れた王女様であれば観たことがありますが、今のコジョカルが魅せたオーロラ姫は、幸せの象徴のような温かいお姫様でした。
若い頃の映像では、ダイヤモンドのように輝いており、眩しいほどでしたが、今は彼女の周りだけ、温かい光がともっているよう。
それは後光のようでもありつつ、どこか暖炉の火のようにほっとするような灯りでもありました。
「眠れる森の美女」のグラン・パ・ド・ドゥでは、クラシック・バレエの厳格なスタイルを魅せることが重視されがちですが、この日のコジョカルのオーロラ姫は、様式美すら超越して、自由にそして伸び伸びと踊っていました。
そして、幾度もお互いを見つめ合い、穏やかな微笑みを浮かべる、オーロラ姫とデジレ王子が他にいたでしょうか。
幸せな時はどんどん過ぎていき、鮮やかに決まったフィッシュダイブ(3回とも拍手が起こりました)等を観ているうちに、自然と涙が浮かんでいました。
「心を揺さぶられた」「感動した」という表現とも少し違う、ただただ幸せで温かい気持ちから溢れた涙でした。
↓アリーナ・コジョカルのインスタより
ワディムのダンスール・ノーブルとしての素晴らしさは、今さら申し上げるまでもないのですが、この日のデジレ王子のヴァリエーションはひときわ輝いていました。
トゥール・アン・レールの着地の1ミリのズレもないのでは?という5番ポジションの正確さ、DVD化されている映像以上の出来ばえでした。
ラストのマネージュでは、勇壮な跳躍を見せ、客席も大盛り上がり。
そして、コジョカルのオーロラ姫のヴァリエーション。
「幸福」という概念を具現化したような、掴みたくても掴めないようで、でもたしかに存在しているという踊りでした。
ポジションや音とりの正確さといった従来の持ち味はそのままに、別のステージへ行ってしまったよう。
ディアゴナルでの優雅なアームスは、まるで客席へ幸福のお裾分けをしてくれているようで、魅了されました。
42歳(!)という年齢で、いくらグラン・パ・ド・ドゥだけとはいえ、オーロラ姫って大変だと思います。
マネージュの後半はややゆっくりめでしたし、技術的には月日が経ったことを思わせる部分があったことも否定はできません。
それでも、舞台上の存在自体がありがたく、素晴らしいオーロラ姫でした。
そしてあっという間に迎えたコーダ。
私、王子にサポートされたオーロラ姫が、音に合わせて足先を弦を弾くように移動し、アラセゴン→パッセを繰り返すパートが、このコジョカルの映像が最高峰と思っておりまして。
それをこの眼で観られて、またこみ上げるものがありました。
コジョカルをしっかりサポートしつつ、笑顔を絶やさないワディム王子(役名変わっとる💦)のパートナーシップ力は、もはや無形文化財でしょう。
かつてマーゴ・フォンテインを蘇らせたと言われたルドルフ・ヌレエフのように、彼にもマリアネラ・ヌニェスやコジョカルといいたベテランバレリーナをより美しく輝かせる力があると思います。
ラストは、この日一番ともいえる大喝采で、レヴェランスも、他のペアの倍近くあったはず。
恐らく、関西でコジョカルのオーロラ姫を観られるのは最初で最後かもしれないと、観客もどこかで覚悟していたと思うのです。
だからこそ、レヴェランスだけでも観たいと思った人も多かったはず。
客席へ、そしてお互いへ、微笑みを浮かべて幾度もレヴェランスを繰り返す2人をこの眼に焼き付けました。
えー、まさかの一演目で一記事の長さになってしまいました💦
第二部の後半(いえ、まだ序盤)については、次の記事にします!
