3:「教師と生徒」(予定ネビジェイでしたが、ケテルブルク幼少時代にさせて頂きます。すみません)
ずしゃ、と滑った音が聞こえる。其れと同時にうぇ、という声も。
「サフィール、お前此れで5回目だよ。」密かに数えていた結果を言う。
「う~・・・数えないでよジェイド・・・・」
少し照れた顔をして、自分の形にへこんだ雪の上に起き上がる。服についた雪がサラサラと落ちた。
「ははっ。もっとおおきな数かと思ってた――うわっ」
振り返り、笑いながら酷な言葉を言うウパラも、後ろを向いて歩いていた所為か転んだ。ははっ、とさっき自分も転んだはずのサフィールが笑う。起き上がったウパラは「笑うなサフィール!」とこれも照れた顔で叫んだ。密かにジェイドは「ウパラも三回目。」と心の隅でカウントした。
先頭を歩いていた先生――ゲルダ・ネビリムが振り返り、苦笑いし、「怪我する事は無いだろうから大丈夫だと思うわ。転んでいいのよ?」と言い、それにサフィールは「もう転びません!」と答えた。さっきも、そのまたさっきも、ジェイドとウパラに言っていた。ということは
「ボクが思うには次もまた転ぶね。」
その横でウパラが「あぁ。俺もそう思うな。」と呟いた。
「そんなこと無いよ!もう転ばないってば!」とサフィールはムキになって答えた。
雪の積もった森の中を歩いているからころぶんだ、と言い訳のように呟くサフィールの直ぐ後ろの木が、積もった雪をドサ、と落とした。
ネビリムが歩みを止める。後ろについていた3人も歩みを止め、ネビリムの視線を先を凝視した。
犬のような魔物が、その鼻の先にいる小さな、同じ姿をした魔物に頬を摺り寄せ、――おそらく暖めているのだろう。傍によっていた。
「わあ!」横でサフィールが声をあげる「子供だよ!」
その横のウパラも「あぁ、こんな所に巣を作ってんだな。」と目を瞠っていた。
子供、というのは生命を繋ぐ為の鎖であって、その鎖が成長すればまた次の鎖を作るという永遠に繋がる輪の最先端にいるに過ぎない。つまり、目の前の命を潰しても、別の所の命が補うから問題ない。
何故そこまで興味を示すのか、解らなかった。
「ジェイド」思考を断つように、ネビリムが声をかける。命って不思議でしょう?と質問をしてきたが、ジェイドは「いいえ、ボクには解りません。命と云うものが。」と、無表情で答えた。
「いずれかは解るわ。急に理解しようとしなくてもいいのよ。」と笑顔で答えた。
暫くその場にたって魔物の一家を見つめていると、後頭部に少し衝撃を感じて振り返る。
少しはなれた場所でウパラとサフィールが雪玉を持ちながらニヤ、と笑った。
「炸裂する力よ――エナジーブラスト」
ふたりの足元の雪がはねる。慌てて飛びのいた二人は「譜術はずるい!」と文句をいってきたが、「誰もルールなんて作ってないよ。だからボクが譜術を使おうと勝手だよ。」と言いながら作った雪玉を投げた。
ぶ、とサフィールが中途半端な姿勢で雪玉を顔面で受けたためひっくり返る。
「もう転ばないんじゃなかったのか?此れで6回目だよサフィール?」と言ってやる。
「なっ、今のは不可抗力だよ!」
「でも転んだのは転ん―――おわっ?!」
不意をついて飛んで来たウパラの投げた雪玉を咄嗟に避けたジェイドはバランスを崩して尻餅をついた。
「ジェイドも転んだ!」ウパラが笑う。「珍しいな、砂漠に雪が降るよ!ははははっ」
「~~っ!」座ったまま雪玉を急いで作り、投げる。
見事ウパラの顔に命中した雪玉は砕け、また地面に戻った。
「何すんだよ次期皇帝に!!」
「知らないね。此処にいる以上、君もボクも、唯の人間だ。」無愛想に返す。
「すごいわね、ジェイド。貴方槍の才能があるかもよ?」横でネビリムが言った。
「うわ、先生、其れどう言う意味ですか!」
ウパラが苦笑いして呟いた。
ははは、と照れ隠しで笑った口元から出た白い吐息はふわりとケテルブルクの空に解けて消えた。
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あとがきと書いて遺書と読む
ケテルブルク組幼少時代。ネフリーの存在忘れてたぁぁあああ!!
ジェイドが槍を使うきっかけになった段階その1はこんなことだといいなと思っただけです。
ピオニーは皇帝になってからだとおもうので、ウパラで。書いててウケました。楽しかったです。
また書きたいです。ウパラ君(笑)

