昨年11月の最上川水系西吾妻山以来の一級水系源流完全制覇の旅。今回は第6夜、天竜川水系源流の八ヶ岳連峰主峰赤岳を目指し、そして太平洋に注ぐ天竜川水系と日本海に注ぐ信濃川水系の分水嶺をなす、まるで天の竜の背の如き南八ヶ岳主稜線の岩稜帯を歩く山旅へ出かけてきました。
天竜川は、長野県茅野市の八ヶ岳連峰に位置する赤岳(標高2,899m)を源とし、諏訪盆地の水を一旦諏訪湖に集めています。そして、諏訪湖の南西にある釜口水門から、途中三峰川(みぶがわ)、小渋川などの支流を合わせながら、西に中央アルプス、東に南アルプスに挟まれた伊那谷を南下、山岳地帯を流下して遠州平野から遠州灘に注ぐ、幹線流路延長213km、流域面積5,090km^2の河川です。
八ヶ岳東麓の山梨県清里から県界尾根を経て赤岳、そして横岳硫黄岳天狗岳などを経て蓼科山につながる八ヶ岳連峰の主稜線は、その稜線の東に降った雨は信濃川に集まり日本海へ、西に降った雨は諏訪湖に集まり天竜川を経て太平洋へ注ぐ、いわゆる大分水嶺でもあります。
長野県側の美濃戸口から赤岳に向かうコースは北沢も南沢もいずれも沢沿いで、源流に向かう感じが存分に堪能できました。
ところで、この八ヶ岳山行は今年のテーマ「岩と幕営」に沿って、もとは赤岳鉱泉でテント泊+ベースキャンプ型での周回縦走計画を立てていましたが、台風5号の接近とそれに伴う梅雨前線の活動活発化の予報で計画を変更し、日帰りで岩稜帯通過トレーニング的な山行計画にした次第です。結果的には、27日日曜日の天候も当初の予報より回復し、山行実施には問題ないレベルだったのですが、こればっかりは安全側に振るしかないので仕方ないですね…。赤岳鉱泉でのテント泊と夕食のステーキ堪能はいずれリベンジをしたいところです。今回は日帰りで歩いてしまいましたが、やはり八ヶ岳は泊付きの山行の方がより楽しめそうです。途中通った赤岳頂上山荘も赤岳天望荘も硫黄岳山荘も是非一度は泊まってみたいし、主稜線から眺める夕暮れや星空、御来光なんかにも憧れます。
岩稜帯トレーニングとしては、阿弥陀岳→赤岳→横岳→硫黄岳のコースは鎖場、トラバース、梯子、急登、ナイフリッジと様々な表情で楽しませてくれました。赤岳天望荘さんの小冊子にも「プチ北アルプス大キレット」と紹介されるほど。今回は日帰り装備だったので、もう少しスピードを出してサクサク通過できるようになりたいですね。
この季節の南八ヶ岳主稜線は、残雪もなくなり高山植物の花が咲き誇る季節。色鮮やかな山肌に岩稜帯通過の疲れも癒されました。
裏テーマとして、高山植物の写真撮影と同定にも取り組んでみましたが、植物同定って本当に難しいですね(;´'-'`)詳しい方と一緒に植物同定を楽しむ山行なんかにも是非行ってみたいです。
それではいつもの山行概要から。
【山行概要】
○山行日程:2021年6月26日(土曜日)
○天気:晴 後 霧
アメダス原村(長野県)
(気象庁ウェブサイトより)
0730時から0800時頃の阿弥陀岳では赤岳から硫黄岳に至る主稜線がはっきり見えつつ、横岳あたりに滑昇霧がかかって見えました。それが赤岳登頂の0900時過ぎには特に赤岳から主稜線の東斜面は霧で真っ白。南の赤岳キレット方面も霧に包まれつつありました。アメダス原村地点(美濃戸口より少し西の長野県農事試験場原村試験地付近に設置)でも0800時から0900時にかけて急激な気温上昇とともに風速も強まり、それまでの西風から南よりの風に変わっています。南からの暖湿流の影響でしょうか?
【アクセス】
往路:毎日あるぺん号八ヶ岳方面 竹橋駅(毎日新聞社)2300時発→美濃戸口0430時頃着
復路:美濃戸口BS→アルピコ交通バス美濃戸口線→茅野駅西口/茅野駅→JR中央本線特急あずさ
※今回初めて夜行バス+日帰りという山行スタイルにチャレンジ。意外と眠れなかったなぁというところ。どこでも気にせず寝られる方が羨ましい
【今回のコース】
美濃戸口BS(八ヶ岳山荘)→美濃戸(美濃戸山荘)→南沢コース→行者小屋→中岳道→中岳のコル→阿弥陀岳→中岳のコル→中岳→中岳・文三郎尾根分岐→赤岳南峰→赤岳頂上山荘(赤岳北峰)→赤岳天望荘→地蔵尾根分岐→横岳→硫黄岳山荘→硫黄岳→赤岩の頭→赤岳鉱泉→北沢コース→ 美濃戸(美濃戸山荘)→ 美濃戸口BS(八ヶ岳山荘)
南八ヶ岳をぐるりと一周。地蔵尾根と文三郎尾根を歩けなかったのは残念でしたが、それはまたの機会に。
美濃戸口から阿弥陀岳まではひたすら登り。阿弥陀岳から赤岳、横岳経由の硫黄岳まではなかなかのアップダウンに加え、鎖場やハシゴ、ナイフリッジにトラバースもある岩稜帯です。
【参考コースタイム】
○コースタイム
ヤマレコらくルート12:36、山高地図12:30
○実測 8:06
○コースタイム比
ヤマレコらくルート0.643、山高地図0.648
遅くはないけど、決して速くはない感じ。岩稜帯の通過スピードが遅いのでこんな感じになりました。あと、多少渋滞箇所があったのも影響したかな?
【GPS記録】
ヤマレコ
YAMAP
【山行記録】
今回の旅は山行前夜、25日金曜日夜からスタートです。場所は千代田区一ツ橋1-1-1。東京メトロ東西線竹橋駅直上のここは、
毎日新聞社一階受付
皆さんご存知の毎日あるぺん号に初乗車です。竹橋駅を2300時に出発し、美濃戸口には翌朝0430時頃の到着予定。
今回の八ヶ岳方面の便は、美濃戸口&白駒池行きと観音平&甲武信ヶ岳(毛木平)行きに車両が分かれての運行でした。現場では2240時から受付開始。八ヶ岳&甲武信ヶ岳の他にも北アルプス(燕岳&蝶ヶ岳)方面便も同時刻発でそれなりに賑わっていました。
毎日新聞社ビルの西端にて乗車
車内は4列シートでこんな感じ。出発から15分ほどで消灯されますが、途中の停留所や休憩場所でのアナウンス音量は遠慮ないため、気になる方は耳栓を持っていった方がいいかも。
途中、京王八王子駅からの乗客を乗せて、
最初の休憩は談合坂サービスエリア。2445着2530発。自分はここでアイマスクを調達しました。開いててよかった売店エリア。
その後、道の駅信州蔦木宿での休憩を経て
美濃戸口BSに0425時着。予定より5分早着です。
お馴染みの八ヶ岳山荘で準備を整え、
朝食がわりのあんドーナツを齧りながら、くらいむオン\(o▽n)/
0435時、御小屋尾根方面の道を見送って美濃戸方面へ
0441時、柳川を渡る。
諏訪湖に注ぐ柳川。諏訪湖から釜口水門を経て天竜川になります。0441時
0448時。どっちに行っても良いんですが、広い林道の方を選んでしまいますね
0449時。この日の日の出は0420時。開けたところではすでに明るいのですが、樹林帯ではこれくらい暗いです。
0501時。鮮やかな朱色に目を惹かれます
ヤマツツジですね
0506時、赤岳山荘を通過。ここが、
美濃戸登山口です。
0507時。正面には本日の目標、八ヶ岳連峰主峰の赤岳。
0510時。美濃戸山荘。山荘の目の前の
この分岐から南沢コースへ入ります。赤岳山荘のすぐ上で柳川として合流する北沢と南沢。天竜川水系本川の源流とされる赤岳に向かう南沢に沿って登っていきます。
0511時。まずは砂防堰堤を乗り越えて
0514時、天竜川の源流の流れを横に見ながら
0515時、南沢を木橋で渡渉します
0524時。また木橋で渡渉。
0527時。南沢から離れ、急斜面を鎖場のジグザグで登っていく。
0533時、この大きな岩の右横のゴーロを詰めていく
0548時、ひとつ木橋で渡渉して
0549時。もう一度渡渉してまた右岸へ。この辺りまで来ると、南沢も伏流して涸れ沢に。
0551時。噂に聞く「美濃戸40分、行者40分」の標識。そんなわけあるか、もっと時間かかるわ( ๑╹⌓╹ )
この標識のあるところに
赤嶽神社の石碑があります。この辺りが美濃戸山荘と行者小屋のほぼ中間地点
0553時、木橋が多い
0555時。今度は沢の中から木橋へアプローチ
0603時、標高約2,150m地点。涸れ沢を跨ぐ木橋
0604時、樹林帯の中の河原歩き。前に歩いた時は積雪期だったので雰囲気の違いを楽しみつつ。
0611時、河原の向こう側に横岳が見えてきました。
0612時、さらに進むと大同心から横岳の稜線がくっきりと。このあたりが白河原(しろっかわら)と呼ばれる場所だそうです
0623時、南八ヶ岳の主稜線を見ながら広い河原を進むと
0627時、古い木札にかすれた「行者小屋」の文字。ここまで来ればすぐ目の前に
0628時、南沢コースを経て行者小屋到着です。
テーブルベンチの向こうに赤岳(このまま晴でもってほしかった)
左手に中岳、右手に阿弥陀岳。テントもそこそこの数張ってありますね。
こちらで給水休憩とヘルメット装着&グローブの準備。いよいよ岩稜帯の縦走に入ります。
0634時、阿弥陀岳へ向けて行者小屋を出発。小屋の営業開始は7月からですね。
途中までは文三郎尾根コースとルートが共通です。
0634時、まずは針葉樹林帯に入り
0635時、お手製の赤岳&阿弥陀岳の道標の指す方へ。
0640時、阿弥陀岳分岐。正面に見えるのが中岳。ここから左手に進むと赤岳へ向かう文三郎尾根コース、右手に進むと中岳のコル経由で阿弥陀岳に向かう中岳道。
赤岳へ続く天竜川水系の源流の流れは文三郎尾根に沿った赤岳沢ですが、今回はまず阿弥陀岳から続く稜線踏破を優先します。
0641時、分岐からすぐ。涸れ沢を跨いでダケカンバの林の中へ。ここから急登で中岳のコルまで250mほどの標高差を上げていきます。
0642時、振り返ると横岳から硫黄岳の稜線がバッチリ
0647時、ダケカンバの林の中をジグザグに
0653時、樹林帯を抜けても続く急登。
0654時。ミヤマキンポウゲ?
0657時、分かりにくいですが、ピンクの花がキレイでした(何かは分からず)。急斜面に生えており、これ以上近づけません(;´'-'`)
0702時、ユリの仲間?
0703時、見上げると中岳とその向こうに赤岳
0709時。トラバースを抜けた先に最後のザレ場とロープの急登
0712時、そんな急登の傍にコイワカガミ?
0713時、中岳のコル到着。見上げた先に阿弥陀岳。中岳のコルにデポして、阿弥陀岳まで往復する人も多いですね。自分はザックを背負ったまま、阿弥陀岳を目指します。
0716時、まずは鎖場と梯子
0718時、岩場をよじ登り
0720時、またしても鎖場。今度はトラバース
0722時、そしてイワカガミ?
傾斜が緩やかになり、赤土の斜面を詰めていくと
0734時、阿弥陀岳登頂!
山頂は広くて、石碑や石像も立ち並んでいます。
こっちが御小屋尾根
こっちは阿弥陀岳南稜(有名なバリエーション)
四等三角点のようですが、基準点成果等閲覧サービスには登録がありませんでした。
こちらでしばし休憩した後、中岳のコルへ戻ります。
0806時、下山途中に見つけたチョウノスケソウ
0810時、中岳のコルへ。ここまでの急坂下りはなかなかの緊張感。これをサクサク歩けるようになりたい。
そして、ここから目指すのが、
八ヶ岳連峰主峰・赤岳。中岳を経由する稜線伝いに向かいます。0814時
0817時、霧に包まれつつある横岳を横目に岩稜をジグザグに登っていくと
読めねぇ。0817時。
0818時、中岳頂上。
中岳頂上からの風景。行者小屋が下の方に見え、横岳から硫黄岳に至る稜線がくっきりと。
分かってはいましたが、中岳頂上からは一旦かなり下されてから赤岳へ登り返し。
0823時、まずはこのケルンまで下りてきて
ザレ場をジグザグに登り返して、この道標まで。文三郎尾根コースとの合流点です。0833時。
合流点から振り返る、中岳と阿弥陀岳。
赤岳へ向かって、さらにジグザグに登り返します。
0837時、ザレ場が終わると岩稜帯へ。
0838時、道標が見えてきました。
キレット分岐です。ここからは赤岳頂上方面へ
0841時、鎖場で岩稜帯を通過。左右に鎖があるので、すれ違いも苦労はなし。
0845時、さらにこの岩稜を詰めると
0848時、竜頭峰分岐。
頂上へはさらに矢印に従って岩稜をよじ登っていきます。0849時。
0850時。成田山???
0851時、梯子
梯子の傍にミヤマキンバイ。0852時
0852時。2つ目の梯子を登ると
途中にイワウメがあり、
頂上山荘まであと2分
うん、見ればわかる。
頂上へは左手の踏み跡から岩を登っていきます。
0853時、天竜川水系源流・八ヶ岳連峰赤岳到着です。7水系目/109水系。
そして、14座目の日本百名山&15座目の山梨百名山。
見てください、この驚きの白さ(霧の方が早かった)
こちらは山梨百名山山名標の向かいの赤嶽神社。開山祭はこちらで執り行うそうです。
赤嶽神社から阿弥陀岳を望む
0902時、赤嶽神社や山名標のある赤岳南峰が混んできたのと、そんなに広くもないということで、赤岳頂上山荘のある赤岳北峰へ移動します。
0905時、赤岳頂上山荘到着。
こちらが赤岳北峰です。
北峰から南峰を望む
この時間には風が西風から南よりの風に変わり、八ヶ岳主稜線の東斜面には南からの暖湿流が吹き付けて滑昇霧となり一面真っ白。西斜面はおそらく御小屋尾根から阿弥陀岳、中岳、赤岳の稜線が遮る形になって直接吹き付けられない地形的特徴のために霧に包まれていないと推測(合ってます?)
ここからの後半戦、天竜川水系と信濃川水系の分水嶺となっている南八ヶ岳主稜線の岩稜帯(勝手に「天の竜の背」と命名)を進むので、その前に補給。さすが標高約2,900m、もうパンパンです。
続きは後編で