ベンチャー創業者が教える特許翻訳者になる戦略的思考 -15ページ目

ベンチャー創業者が教える特許翻訳者になる戦略的思考

ベンチャーな特許翻訳者のフリーランサーな日常。特許翻訳者になりたい方をビジネス戦略で使われる手法を応用して応援するサイト。

「差別化する」=「他人より優れているところを探す」と勘違いされている方がいるかもしれません。


しかし、例えば、英検とか、TOEICとか、出身大学とかをバラバラに持ち出しても、残念ながらたいして差別化にはなりません。もちろんそれらは、あなたの「強み」であり、すばらしいことですが、それらは「コアコンピタンス戦略」の部品に過ぎません。


問題は、それらの部品(あなたの強み)をどのように組み立てるのかということです。


コアコンピタンス戦略については、事業計画書20】特許翻訳における差別化戦略とは?その2 をどうぞ)。




喩えていうと、「コアコンピタンス戦略」とは、あなた自身をテーマとした一冊の本を書きあげて、ベストセラーを目指すことと言えるかもしれません。


英検とか、TOEICとかは、確かに「強み」ではありますが、無名のあなたが「私は英検1級を持っています」といういうタイトルの本を書いたとしても、ベストセラーになるとは思えませんよね。


誤解して欲しくないのですが、あなたの「強み」が役に立たないといっているのではありません。その反対で、あなたの「強み」は、ベストセラー本のストーリーを構成するエピソードとして大きな力を発揮するはずです。それに、何もないところからストーリーをつむぎだすことはできません(少なくとも私の場合は)。


でも、あなたの強みをできるだけたくさん列挙して、それらを線で結んでいけば、なんらかのストーリーになるかもしれませんよね。少なくとも出発点にはなるはずです。




よかったら下のボタンを押して投票してください。

にほんブログ村 英語ブログ 英語 通訳・翻訳へ
にほんブログ村



【事業計画書19】特許翻訳における差別化戦略とは? の続きです。


前回は、自分自身を差別化するには、それなりの「ストーリー」が必要であり、その「ストーリー」に沿って、マイケル・ポーターの3つの差別化を展開すれば、極めて高い差別化の相乗効果が得られるのではないか、ということを書きました。



この考え方は、ビジネスの世界で言うところの「コアコンピタンス」にたとえることができます。コアコンピタンスとは、単純化すると、最大の強み(ストーリー、ブランドイメージ)を中核として事業を展開することだと理解しています。


これは、1990年に「Harvard Business Review」というアメリカの経済雑誌に寄稿された論文で提唱された考え方です。



著者名:Hamel, G.及びPrahalad, C.K.

タイトル:“The Core Competence of the Corporation”,

Harvard Business Review, May–June 1990



日本では「コア・コンピタンス経営-未来への競争戦略」という書名で日経ビジネス人文庫から出版されています。



コアコンピタンスを、例で説明するとすれば、ホンダのエンジン技術、シャープの液晶技術、トヨタのカンバン方式などが挙げられます。いずれの企業も自社の「コアコンピタンス」を中核として事業を展開して、強い競争力を保っています。



では、あなたがコアコンピタンスを展開するための競争力の中核(最大の差別化要因)なるものは何でしょうか。


私達は社会人として仕事をしたり、又は家事子育てなどをして、ある意味でみな似たり寄ったりの生活を送っています。


誰も成し遂げたことのない偉業を達成したとか、オリンピックで金メダルを取ったとか言う人は、そうそういません。


そんな中で、夢を実現させようとするならば、その根拠として自分のコアコンピタンスは何かを真剣に考えなければならないと思うのです。



自分のコアコンピタンスって何?と漠然と考えていても始まりません。


考えるための糸口として、社会学で用いられている「ライフヒストリー調査」という手法が使えるかもしれません。



よかったら下のボタンを押して投票してください。

にほんブログ村 英語ブログ 英語 通訳・翻訳へ
にほんブログ村

インターネットを使った調べ物は信頼できるか?その1

インターネットを使った調べ物は信頼できるか?その2

の続きです。


専門用語に適切な訳語を使用することは、特許翻訳では極めて重要なことです。たとえ自分の専門分野であっても、毎日のように知らない専門用語に出くわしますし、専門分野以外の場合はなおさらです。


もちろんそれぞれ専門用語辞書がありますから、特に1対1で対応する類の用語の場合は、訳語を見つけるのはそれほど難しくはありません。


専門用語辞書に載っていないような用語の場合は、中途半端な理解をせずに、素直に原語を併記して「自信なし」とコメントすべきです(翻訳を発注する立場(発明者)としては、この「中途半端」が最も困ります)。


問題なのは、専門辞書を引くと複数の候補があり、どの訳語を選択すればよいのか判断できない場合です。


例えば、バイオ分野を例にとって考えて見ましょう。以下の単語は、バイオ分野で専門用語として使われる場合、「結合する」という同一の訳語を当てはめることがほとんどです(もちろん例外はありますが)。


couple

bind

associate

conjugate


ところが、【日外の科学技術用語大辞典】には、以下のように複数の訳語が掲載されています。


couple

カップル〔電情〕;偶力〔機械,地球,基礎〕;結合する〔電情〕;交接する〔医生〕


bind

結び付ける〔電情〕;結ぶ〔医生〕;結合〔医生〕;拘束〔医生〕;設定する〔電情〕;束ねる〔医生〕;束縛する〔電情〕;包帯をする〔医生〕


associtate

関連させる〔医生〕;仲間〔医生〕;付随物〔医生〕;連合させる〔医生〕;連想させる〔医生〕;連想物〔その他〕


conjugate

共同の〔医生〕;共役〔その他,機械,地球,基礎〕;共役の〔医生〕;真結合線〔医生〕;複素共役〔基礎〕


いったいどれを選択したらよいか、見当も付きません。ですから、私はこの辞書が嫌いです。


もう少し専門分野を狭くした辞書【ライフサイエンス辞書】では、多少選びやすくなっています(用例も載っています)が、それでも複数の選択枝があります。


couple

共役する, 連関する, 結合する, カップルする


bind

結合する, 結びつける


associate

付随する, 会合する, 連合する, 関連する, 結合する


conjugate

抱合する, 接合する, 結合する


ある時、驚いたことに、これらの用語が「couple=共役する」「bind=結合する」「associate=会合する」「conjugate=抱合する」と、きれいに訳し分けされている特許明細書翻訳に出くわしたことがあります。


一生懸命に調べ物をした努力は認めます。それぞれの訳語は、確かにバイオ分野で(特殊な文脈でですが)使用されることがある「正しい」訳語です。


しかし、その明細書の文脈では、特許の範囲に関わる致命的な誤訳でした(全て「結合」と訳すべきでした)。


この翻訳者には2つの問題点があります。


1つは、日本語の「共役」「結合」「会合」「抱合」の理解が中途半端であること。


2つ目は、明細書の技術内容を十分に理解していないことです。


調査能力とは、調べ物が全てではありません。


確かに信頼できる情報源は宝物ですが、信頼できる情報源を探し当てることだけにとらわれるのは、場合によっては本末転倒かもしれません。


どれが正しい訳語なのかを判断できる「技術的な基礎体力」をつけることも怠ってはいけないと思います(特にバイオや化学の場合)。


こんな記事を書くと、暗い気持ちになってしまう人がいるかもしれませんが、この程度のことは、誰もが通る道です。私も偉そうにしてますが、人には言えないような失敗を色々としでかしています。それでも生き残っているのですから、前向きにいきましょう。



よかったら下のボタンを押して投票してください。

にほんブログ村 英語ブログ 英語 通訳・翻訳へ
にほんブログ村