Lineage2の6周年記念の準備に追われ、猫の手も借りたい状況であった魔法研究所は、
猫は猫でも猫科であるホワイトタイガーを呼び出して、その準備を手伝わせようとしたのである。
しかし、ホワイトタイガーはその激務により、縞模様なだけにストライキを起こし、スクロールの中へ帰ってしまう。
さらにスクロールはどこからかの風に乗ってアデン中へと飛び散ってしまったのだ。
思いあぐねた魔法研究所は冒険者達に、こう依頼をする。
「飛び散ってしまったスクロールをモンスターから回収して欲しい。
そしてスクロールの中へ帰ってしまった疲れきったホワイトタイガーを、
研究所が提供する薬を使って、疲労から救って欲しい。」
また、魔法研究所はさらに
「大型のホワイトタイガーは一人では手に負えない。必ず複数の人を集めるように。」
と付け加えた。
この依頼は「疲労を回復させるという薬を、疲労困憊のホワイトタイガーに投与して、疲労を回復させてあげる」というものである。
しかし、どうにも投与したあとのホワイトタイガーはぐったりしている気がする。
試しに、コープスバースト(死体を爆発させて周囲にダメージ)を使ってみる。
・・・・・・なんと爆発した。
つまり、投与後のホワイトタイガーは死んでいたのであった。
魔法研究所が提供する薬は200本2010Aと非常に安い。1本あたり20.1Aである。
道具屋で手に入る一番安い回復剤ですら100Aちょっとなので、その安さが際立っていることが分かるだろう。
こんな安物でホワイトタイガーたちの疲労は本当に回復していたのだろうか?
否。ストライキを起こすほどに、心身ともに疲弊したホワイトタイガーを癒すことは、回復剤程度で解決するような問題ではないのである。
では、この回復剤・・・未知の薬品とは一体何であるのだろうか?
研究所の依頼以降、各所で回復剤の大量投与によるホワイトタイガーの死亡報告が後を絶たない。
即効性はあるものの、幼いホワイトタイガーでも一気に10本以上(個人差あり)摂取しなければ死に至らず、大人のホワイトタイガーは何十本もの摂取をしなければ死に至らないほど、毒性は弱い。
ホワイトタイガーたちが最後に口をする言葉から察するに、彼らが苦しんでいる様子は見られない。それどころか友人にも勧めるほど満足している。
手段はどうあれど、ホワイトタイガーたちを疲労の渦から救っていることは確かなようだ。
ただ、何故、魔法研究所がこのような手段をとったのかは未だ不明である。
また、主要都市では冒険者とは別の組織が大量にスクロールを回収し、人目のつきにくい辺境の村で、集団になって薬品の大量投与をしている姿が目撃されている。
彼らが、その行為がどういったことを知っていながらも、慈善行為で行っているとは考えられにくく、何か別の目的があるのではないかと感じさせ、謎は深まるばかりである。
聞くところによると、過去にも魔法研究所は、似たような依頼を冒険者に出していたことが分かった。
魔法研究所は無作為に動物召喚を研究しているわけではなく、何らかの法則にのっとっているのではないかと考えられる。
昨今、冒険者をウサギに変身させるスクロールが出回ったことから、これを応用して、今度はウサギを呼び出すスクロールを開発しているのではないかと、憶測が飛び交っている。