刺激だけが私の生きる源。。。 -18ページ目

刺激だけが私の生きる源。。。

「1年を半年働き、半年旅に出る」を、繰り返し13年。刺激だけが和多田の生きる力。
男より旅、結婚よりも旅。未知の世界に入れば入るほど、好奇心が止まらない。。。

それから毎日和多田は、夜になると駐車場へ、フルートを吹きに向かった。

 

 

 

その駐車場は所有地なので、そこで吹くのは、許可が必要だったが、駐車場の職員さんと、仲良くなり夜だけ許可なしで、吹かせてもらえた。

 

 

 

夜の駐車場はとても静かで、時々人が通った。

 

チップをくれたメキシコ人に

 

「なんで、こんな人が居ない所で吹いてるの?もっと人が多い所で吹けば、チップもっともらえるのに。。」

 

と、言われた。

 

 

 

 

 

 

いやいや、私なんかがまだ。。。

 

誰も通らなくても、フルートを吹き続ける和多田。

 

 

 

 

 

しかし、とても静かな駐車場なので、フルートの音色がとても綺麗に聞こえた。

 

 

和多田はまだ、そんなに上手くないのだが、駐車場のエコーのせいで、

 

 

「私、うまいかも?!!?」

 

 

と、勘違いさせられた。

 

 

 

 

 

 

千と千尋の神隠し

「いつも何度でも」

 

吹いていると、男二人が走ってきた。。

 

走ってくる足音が、大きく聞こえたので、ビクッとした。

 

「日本人ですか?」

 

男が声をかけてきた。

 

「はい。。。」

 

「僕たちも日本人なんです」

 

1人は茶髪で若い感じ

もう1人は30代くらいかな?

 

 

 

「千と千尋の歌が聞こえたから!」

 

 

えっ?

 

 

それで、走ってきたの?

 

「歩いてたら、千と千尋の曲、聞こえてきて、テンション上がった」って。

 

たしかに、和多田も、海外で「日本の有名な曲」が、聞こえるとテンション上がるかも。。。

 

 

考えてもなかった。

 

 

「観光ですか?」和多田は質問すると

 

「プロレスラーなんですよ。俺ら」

 

 

おー!なんと!

 

 

和多田の大好物  プロレスラー!

 

 

メキシコは本場ですから。。。

 

 

けど。。。

 

見た事ないな。。笑

 

 

本当にプロレスラーか?

 

 

遠回しに

 

「今度試合ある時、教えて!

見に行くから!」

 

と、言うと

 

 

「オアハカで今度試合あります」

 

 

オアハカカカカカカ    メキシコからめちゃくちゃ南へ行く

 

 

 

 

 

めちゃ遠いやん

 

 

「。。。。この辺大きなプロレスのイベント会場あるけど。。。この辺では試合ないのかな?」

 

 

 

オアハカまで試合見るために行けないよ。。、

 

 

和多田の家の近くに、「Arena Mexico (アレーナメヒコ)」

 

Arena Coliceo (コリセオ)」

 

など、とても有名なプロレスのイベント会場がある。

 

 

 

いつも観光客や地元の人で賑わってる。

 

 

 

「近場では。。。」彼は言葉を濁した。

 

 

「大きい所からはまだ、呼んでもらえないんですよ。。。。」

 

 

駆け出しのプロレスラー?

 

 

色々話すと、なんと彼らのうちの1人は、和多田の家から1分のところに住んでいる。。

 

 

次は和多田が、質問責めにあった。

 

 

「いつから吹いてるんですか?」

「いつ、メキシコに来たんですか?」

「どこに住んでますか?」などなど。。

 

 

 

和多田のチップ入れのケースを見て

 

「こんなもらえるんですか?!!

 

俺もなんか楽器しようかなー」と、言った。

 

 

しかし、お互い日本人。

 

空気は読める。

 

 

 

 

「邪魔したら悪いんで、行きますー。また、会ったら声かけてください!」

 

 

そう言って彼らは去って行った。

 

 

なぜ「空気をよんで」と言ったかと言うと、メキシコ人達は、和多田が吹いてるとチップをくれるが、皆話しかけてくる。。

 

 

そして、話が長い。。。

 

空気をよんで、早めに去って欲しいのだが、話しかけ続けてくる。。。。

 

吹きたいんだけどな。。。

 

と、思いながらチップをもらってる手前、ニコニコ愛想笑い。。。

 

 

話しかけてくれるのはあり難いんだけど、

5分くらいにしてほしいなー。。

 

時間規制をするあつかましい和多田。

 

 

話すのがあまり得意ではない和多田はそう思うのだった。。

 

 

 

駆け出しのプロレスラー

 

がんばってください!!!!

 

 

いつか大きなプロレスのイベント会場で出会える日を楽しみにしてる。

 

 

和多田も、彼らに負けずに頑張らないと!

 

 

彼らにパワーもらい、夜の駐車場で吹き続ける和多田であった。

 

銀歯がグラグラしだしてから、その後すぐに銀歯が取れた。。

 

 

 

 

和多田は旅に出ると、必ず歯に問題が起こる。

 

歯医者に行けないよーって環境になると必ず歯が悪くなる。

 

 

前回もモロッコの旅でサハラ砂漠にいる時に、歯が膿んできた事があった。

 

こんな砂漠の真ん中で、突然歯茎腫れるかー?

 

歯?歯茎?膿んだので口臭がひどかった。

 

こんな場所で歯が膿んだ。。。。

 

ここメキシコでも保険がきかないので、歯医者にはやっかいにはなりたくなかった。

 

歯医者を探した。

 

 

 

見つけて入ると、女の先生が1人だけいた。

 

 

 

 

「銀歯がとれたんです」

 

すぐに歯のボンドみたいなもので、つけてくれた。

 

 

 

「他に異常はないですか?」と聞かれ、最近上の歯がおかしかったのを思い出した。

 

舌で上の歯を触ると、穴があいていた。

 

「上の歯が少し。。。」というと、先生は覗き込むように見始めた。

 

「深いですね。虫歯」

 

えー!  虫歯?

 

やっぱり。。。

舌で触ると穴を感じる。。。

 

「削りますね」

 

 

いきなり歯茎に麻酔を打たれた。

 

 

心の準備ができないまま、キーンという機械の音がした。

 

「これを持ってください」

 

いきなりバキュームを持たされた。

 

「先生、自分で持つのですか?」

 

和多田は質問した。

 

「ここ私、一人ですから。  持ってもらえますか?」

 

驚いた。。

 

歯医者には、今まで、何度も行った事があるが、自分でバキュームを持ったことは一度もない。。。

 

何をどうすれば良いんだ。。。

 

「先生、どうすれば良いのですか?」

 

「バキュームを自分の口に入れるだけですよ」

 

入れるだけって。。⁇!?

 

 

 

 

ドキドキしながら、手探りでやってみると、以外に簡単だったし、つばが溢れてるところが、自分で分かるので、そこにバキュームを当てれば、垂れてくる事なかった。。

 

緊張していたが、あっという間に終わった。。。

 

経験してない事がたくさんあるなー、と思って、荷物をまとめてると、

 

「レントゲン撮って、来週もう一度来てください」と、普通に言われた。

 

 

 

削ってからレントゲン?

 

「近くにレントゲン撮る場所があるので、そこでレントゲンを撮って、次来るともって来てください。250ペソ(1750円)くらいです。」

 

 

 

えっ?

 

ん?

 

 

人生まだまだ新しい経験あり。

 

 

 

 

 

 

 

メキシコで1年間、仕事もせず、遊んでいた和多田の貯金はゼロ。

 

 

 

 

 

 

 

 

メキシコで時間の余裕があると思い、持ってきたフルート。

 

 

 

 

 

マンションで、練習していると、遊びに来た友達が、

 

「公園でフルート吹いて、帽子かなんか、前に置いてチップもらえば?」

 

と、突然いわれ、何かに引っ張られるかのようにフルートを吹きに行った和多田。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰もいなかったので、吹いてみたが

ポツポツ人が通りだした。

 

 

雨の中、夜の駐車場でフルートを吹いている怪しい女を、皆が見ながら通り過ぎた。

 

 

やっぱ吹かなきゃ良かったー

 

 

ひどく後悔していると、

「チップどこに入れたらいいの?」

 

 

スーツを着た男性が寄ってきた。

 

 

「今日初めて吹いたの。。。」と、小さい声で言うと、

 

 

「雨の音と、君のフルートが、とても綺麗だったよ」

 

 

と、言って50ペソ(350円)の紙幣をくれた。

 

 

 

 

これが和多田の

 

「ストリート フルーティスト」1日目だった。

 

 

 

 

 

次の日、和多田はまた、近くの駐車場向かった。

 

昨日のような雨も降っておらず、夜の駐車場はとても静かだった。

 

夜の9時半

 

 

フルートのケースを、前に置いて吹いていると、通り行く人がチップを入れてくれた。

 

 

 

 

30分で100ペソも、チップが入った。

 

すると、駐車場の管理人が来た。

 

 

 

実は昨日吹いた後、フルートを片付けていると、駐車場の制服を来た職員が

 

「フルート上手だね。聞いていたよ。でも、ここは私有地だから吹くのに許可がいるんだ。本当なら、証明書がいるんだけど、夜遅いし、社長も帰ったから、いーよ。」

 

と、許してくれた。

 

 

 

彼は「コンニチハ」と、寄ってきた。

 

「夜の挨拶はなんていうの?」彼は質問してきた。

「こんばんは。だよ」

 

「ゆみー。コンバンワ」

 

すごくフレンドリーな人だった。

 

 

「僕の名前はjose ホセ」

 

ホセと色々話していたが、突然、彼は真剣な顔になり、

 

「ゆみ、ここは夜になると沢山の薬物中毒者や、乞食、泥棒が来るから、チップ気をつけてね」

 

と、忠告してくれた。

 

そして、オフィスに戻って行った。

 

 

 

 

そして和多田が、また吹いていると、上半身裸で、裸足の男性が前を通った。

 

和多田の方をじっと見ていた。

 

その時和多田は

 

「マイウェイ」を吹いていたのが、集中していたので気がつかなかったが、まだ彼は和多田の前に立っていた。

 

 

吹きながら彼を見ると。。。

 

上半身裸

ズボンはボロボロ

靴は履いておらず裸足

 

ボサボサの髪

何日も風呂に入っていないような汚れた黒い肌

 

ヤバイ。。。

 

 

駐車場には、誰もいない。。

 

 

彼と和多田だけ。。。

 

彼は、チップが入ったフルートケースを見ている。。

 

泥棒?(まだ何も盗まれていないけど。。)

 

 

フルートを吹いている、和多田を見ている。。

 

 

怖い。。。

 

ホセ!!! 助けて!!

 

誰か通って欲しかったが、こんな緊急事態の時に限って誰一人通らない。。。

 

怖くなってフルートを吹くのをやめた。

 

彼を見た。

 

彼は、ボロボロのズボンのポケットに手を入れ、10ペソ(70円)の小銭をチップ入れのケースに入れてくれた。。

 

 

 

えっ?

 

 

和多田のチップを彼に盗まれるかと思いきや、チップを入れてくれた。

 

 

和多田はとっさに、こんな人から10ペソをもらうのは悪いの思い、

 

「チップ大丈夫だよ。いーよ。

10ペソあればタコス(メキシコの主食)食べれるよ」

 

と、正直に言ってしまった。

 

彼は笑った

 

「今は乞食だけど、昔は大手企業で、バリバリ働いていたんだ。

その時、君が吹いていた「マイウエイ」を、よく聞いていたんだ。

今、君のフルートをずっと聞いていて、毎日会社で、朝から晩まで働いていたことを思い出してね。。。」

 

和多田は何も言えなかった。

 

何か、言わなければ。。と思ったが、言葉が思いつかなかった。。

 

 

「思い出させてくれてありがとう。おやすみ」

 

 

彼は去って行った。

 

彼がくれた10ペソ。。。絶対無駄にしてはならない。。。

 

 

 

和多田は、去っていく彼の背中に、心を込めて「マイウェイ」を吹き続けた。