藍銅鉱(小来川鉱山産、三川鉱山産) | なんだかんだの石集めと与太話

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鉱物を初めて手にしたのは、小学生の時。それからずっと中断。
2011年頃より、やっと暇になったので、また石の世界へと羽ばたき始めたけど。

 

藍銅鉱の写真を図鑑で探す

 藍銅鉱は、銅の二次鉱物として孔雀石と共によく知られている。ありふれていて塊状の写真や、集合体の場合が多く、その結晶を単独に近い状態の物を見ることはあまりない。多くの図鑑を見ても、この鉱物は、塊や数の多い集合体で示し、結晶の形がわかるように乗せている物は少ない。岩絵の具に使われるほど色が凄い特徴なので、それに採集でもしばしば見かける鉱物であまりに当たり前なのに、日本産の藍銅鉱では綺麗な結晶らしい写真はあまり見かけない。

 

 結晶らしい写真を載せた手持ちの図鑑で探すと、寺島靖夫氏が書いた本(参考1)で漸く見つかり、他でやっと見つかるくらいだ(参考2,3)。不思議なことに、益富が監修した本(参考4)には、藍銅鉱の項目がなかった、ビックリ!

 

 

 

 

 

藍銅鉱の写真

 なぜなんだろうと思って藍銅鉱の結晶らしい写真を撮ることにした。

 

 藍銅鉱と言えば、私が思いつくのは小来川鉱山の藍銅鉱だ。金平糖のようなと言うか、イガグリ状というのか、結晶が少し集まったコロッとした物が点在している物だ。

    

    写真1 藍銅鉱(Cu3(CO3)2(OH)2、栃木県、小来川鉱山産、譲り受け品)

 

 これだけでは飽き足らないので、先日から石の整理をしていて、採集が禁止される前の時に採集してきた三川鉱山の石を眺めながら、整理していると小さいけれど綺麗な藍銅鉱の結晶を探すことが出来た。三川鉱山の石を久しぶりにいくつも見て、なかなか楽しめました。

 

 見た三川鉱山の藍銅鉱の結晶は以下の物です。比較的小さくて、0.5mm位の長さ。

    

    写真2 藍銅鉱(Cu3(CO3)2(OH)2、新潟県、三川鉱山産、2012年採集)

 

 これを見つけるのになかなか時間がかかったし、私の道具、技術ではなんとか見られる写真を撮るのにも苦労した。実は左に見える藍色の部分も綺麗な結晶なのだが、奥に捻れて付いているので、ピントが合わせられなかったのが残念。でもこの写真は、自分ながら藍銅鉱の結晶の頭が見えるのが凄いと思う。

 

 小来川鉱山、三川鉱山共に二次鉱物で名の通った鉱山だが、亀山盛鉱山も二次鉱物の産地として有名なところ。亀山盛鉱山にはもう20回近く行った。で、亀山盛の藍銅鉱?と問われると、そう言えばあまり見たことないわ!今度探してみよう。って、宿題が多くなるなあ。

 

(続)藍銅鉱の写真を図鑑などで探す

 藍銅鉱の結晶がよく見える図鑑は見つかったが、いずれも河津鉱山の藍銅鉱だった。まあ、たくさん調べてないだけだろうと思い、鉱物の同好会や個人で出している写真集(参考5,6)なども調べてみた。するとちゃんと掲載されていた。結晶がよく見える藍銅鉱の写真としては、参考3が一番だ。けれど、結晶として理想形とはちょっと離れている。

 山田滋夫氏の「じてん」(参考5)を見てみると、三川鉱山の藍銅鉱が掲載されている。コロッとした感じのようだが、なにぶん写真が暗い感じではっきり見えない。鉱物同志会の写真集(参考6)では、小来川鉱山、赤城根鉱山、河津鉱山、そして三川鉱山が掲載されていて、さすがであった。

 

 結晶のついでに書けば、鉱物の結晶をきちんと高田雅介氏がまとめている(参考7)が、そこではより多くの結晶面が含まれていて、私にはよくわからず。写真2とはかなり違う感じなので。

 

 藍銅鉱に似た鉱物に青鉛鉱があるが、結晶形が似ていて、しかも色も似ているので何処が違うのかななどと不安になってしまう。区別は、塩酸に入れてみるとすぐわかる。藍銅鉱は泡を出して消失するが、青鉛鉱は崩れるように溶けていくだけ。結晶系については、構造解析データを見ればわかるので、MINDATなどで調べてみるかな。ああ、大変だわ。

 

 このまま書き続けると長くなるので、これでお終いにします。

 

参考

1.寺島靖夫,探検!日本の鉱物,p157,ポプラ社(2014)

2.松原聰、宮脇律郎,これだけは知っておきたい世界の鉱物,p105,ソフトバンク クリエイティブ(株)(2013)

3.松原聰、宮脇律郎、門馬綱一,図説 鉱物の博物学,p124,(株)秀和システム(2016)

4.益富地学会館監修,日本の鉱物, 成美堂出版(1994)

5.山田滋夫,問わず語り・私の鉱物じてん,北斗書房(2022)

6.山田隆、大島昭夫監修,関東と周辺の鉱物-創立30周年記念写真集,鉱物同志会(2017)

7.高田雅介,日本産鉱物の結晶形態-高田鉱物標本・結晶図集,「ペグマタイト誌100号記念出版(2010)