春重四海波 | むばたまの夜の衣を返してぞ着る

むばたまの夜の衣を返してぞ着る

~いとせめて恋しきときはむばたまの夜の衣を返してぞ着る~
平安時代の歌人小野小町の歌から。
愛しい人にどうしようもなく会いたくてしかたのないときは、
寝間着を裏返して寝るわ
(寝間着を裏返して寝ると恋しい人の夢を見ることができるという説があったそうで)

「春重四海波」

喜劇を歌舞伎に・・・と聞いたとき、

「大當り伏見の富くじ」を思い出したひらめき電球

きっと楽しい演目になるだろうと思ったので、

番附は開演前に全く開かずに真っさらの状態で初日を観た。

 

松竹新喜劇「寿祝う四海波」を舞台を出石にし、

脚色した新作ということになるだろうか。

大いに笑ってゲラゲラ、でも、ほろっときてぐすん・・・。

いつかまた再演がかなったらいいなあと思う。

 

出石藩の武術指南役である名家、沖津家が舞台。
一人娘の浪路(壱太郎くん)もまた、一刀流免許皆伝の腕前である。

その浪路との婚礼を明日に控えているのは、

播州明石藩士で卜伝流の名手である高砂頼母

(愛之助さん)という若者だった。

二人とも容姿端麗&武術にも秀でているという理想的なカップルキスマークキスマーク

(いちゃいちゃぶりは、この後の悲劇へのプロローグ。)

しかし、突然、浪路の父俊斎(寿治郎さん)は、

浪路と試合をし勝つことを婿入りの条件とすると言い出すポーン

そして、頼母は浪路に打ち負かされてしまう…ガーン

頼母は浪路に勝って祝言をあげるため、剣の武者修行へ。

浪路は頼母を待ち続けることを約束して・・・

 

お日さん(當吉郎さん)とお月さん(當史弥さん)が、

花道→舞台→仮花道と通って年月の経過を示す。

 

二十年後!!(20年前植えた桜の苗木が大きくなっている)

 

再会の喜びもつかの間。

やはり試合をすると、いまだ歴然とした力の差が滝汗

やはり頼母は浪路に及ばない・・・・ああやられる・・・・

と、思ったその時、

与八が持っていたお土砂を浪路に振りかけようとして

誤って頼母にかけてしまったびっくり

 

コキ コキコキコキコキ

(この音が可愛くてねえ音譜

 

の音と共に頼母はその場で気絶あせる

 

驚いた浪路が与八ともみ合ううちにお土砂が与八にふりかかると

 

コキ コキコキコキコキ

 

与八もその場に倒れ込む。

お土砂の威力を察知した浪路は、腰元おくら(折乃助さん)にも

父・俊斎にもお土砂を振りかける。

 

コキ コキコキコキコキ

 

そこへ乱入してきたお客さんの一人(當十郎さん)と

止めに入ったお茶子さんもやっぱり

(迫真の演技にほんとに乱入した人だと思って止めようとしたお客さんがいたり)

 

コキ コキコキコキコキ

 

みんなが気絶している間に、頼母が勝ったことにしようと言う浪路。

そんな卑怯なことはできないと再び修行の旅に出る頼母・・・。

 

そうして、またお日さんとお月さんが巡り・・・・

二十五年後の春ポーンポーンポーン(あの時の桜がさらに大きくなり満開)

 

おじいちゃんになった頼母が帰ってくると、

父俊斎をはじめ多くの人が故人となってしまっている。

でも、でも

浪路は待っていたのだークラッカークラッカークラッカーおばあちゃんになってね。

おばあちゃん壱くんのかわいらしさと言ったらもう恋の矢

 

で、

試合ポーン 

よぼよぼの二人が木刀を構えて(いや、杖にして?)「いざ!」

 

重くて下ろしてしまった頼母の木刀が浪路の木刀を振り落して

頼母の勝ちバンザイバンザイ

 

ここはもう、観客一同大拍手ビックリマーク

 

四十五年の歳月の末に二人は結ばれ、

幽霊となった俊斎と与八も参加してニヤニヤ

(二人とも幽霊メークしている。回を重ねるごとにメークが怖くなっていった。特に吉太朗くんのゾンビメークはクオリティが高かったー)

 

みんなで高砂四海波を謡い踊る。

めでたしめでたし音譜

 

四十五年後の二人で「ぢいさんばあさん」やったらいいんじゃない?

って思えるほど、

それはそれはかわいいおじいちゃんとおばあちゃんでねクラッカー合格

 

回を追うごとにテンポがよくなっていって、どんどんおかしみが増していった気がする。それと同時に晴れて結ばれるところの哀しみもまた深くなったようにも思う。

 

ここだけにするのはもったいないよーって思っている人きっとたくさんいるよね?