トランプ流外交術開始→ゼレンスキーの受け入れ
2月28日のホワイトハウス物語は、テレビ中継されて人気があった。
そこでゼレンスキーと口論になり、会談決裂のニュースが世界中を駆け巡った。
Go homeと言われたゼレンスキーは、ホワイトハウスから出てイギリスに向かい、イギリスから援助金の決定を受け取っていた。
それで何もなく終わることのないのがトランプ外交術だ。駆け引きに関しては、トランプがゼレンスキーに言ったように「カードがない」ゼレンスキーに立て続けにカードを切った。
まずは、ウクライナへの支援の一時停止。
続いてCIAから情報提供の停止。
駆け引きにカードを持たないゼレンスキーは、トランプの書簡を送った。
書簡には、鉱物協定の合意の準備があるとか停戦合意案に賛同する用意があるとかないとかを書き留めてトランプに読ませた。
●ゼレンスキー氏から停戦交渉・鉱物協定の意欲示す書簡=トランプ氏
「トランプ米大統領は4日の施政方針演説で、ウクライナのゼレンスキー大統領からロシアとの停戦交渉に応じる意欲を示す書簡を受け取ったことを明らかにした。」
鉱物協定についてーーー
「鉱物資源と安全保障に関する協定については、ウクライナはあなたの都合の良い時にいつでも署名する用意がある」
支援停止のニュース。
●ウクライナとの情報共有停止 米、関係修復なら解除示唆
先に進んでウクライナ支援の一時停止の解除と情報提供の停止解除は、ゼレンスキー次第と思われる。
トランプはウクライナ支援のさじ加減というカードを常に持っているから、ロシアとの交渉のテーブルにもトランプはカードを切れる。
そのゼレンスキーの受け入れがたいものを受け入れる状況に割り込みを図ろうとしているのがイギリスやフランスなどの国だ。もうすぐ始まるトランプ関税の標的国でもある。
要は、停戦合意に必要な協議にヨーロッパの支援国も参加するようにすべきとの考えだ。
しかし、トランプにとっては、なら、どうして今まで停戦に動かなかったのかという疑問が出る。アメリカが動き始めてそれで停戦論を口にせざるを得なくなったのは明白だ。
しかもヨーロッパは、ロシアの言い分など受け入れる必要なしの考えでゼレンスキーの肩を持つ発言ばかりだ。
ヨーロッパの停戦合意はウクライナ支援国の要求通りをロシアが受け入れればいいという外交的な考え方だ。
そんなもの相手をしない。
ヨーロッパの方向性は、停戦というよりは、むしろ、ゼレンスキーと同じように戦争継続しながらヨーロッパからロシアのガスや石油を駆逐することに専念しているだけだ。
トランブはその考えを受け入れる余地はなさそうだ。
◆今後の展開
ゼレンスキーは、いずれ鉱物協定に合意の調印をする。それで情報供給・提供の停止を解除できる可能性があるが、トランプにとって肝心なことは、停戦にある。
だから、ゼレンスキーがロシアとの停戦交渉を行う場合に、それらの停止は解除される可能性がある。
もしトランプが鉱物協定の調印だけで停止したものを解除するというなら、戦争継続を認めたことになる。
そこで先走る停戦案が出ている。
●ゼレンスキー大統領が段階的な停戦案を初めて提示 最初の段階として捕虜の解放や空・海での戦闘停止
「ゼレンスキー氏は、ロシア側が同様の措置を取ることを条件に、最初の段階として、捕虜の解放や空・海でのミサイルやドローンによる戦闘停止が可能だとし、その後、アメリカの協力を得て最終的な和平合意を結ぶ意向を示しました。」
トランプから停戦案の具体的なものが発表されていない段階でゼレンスキーが先走って停戦の段取りを説いたものである。
和平合意などは、要は、ロシアとの直接的なテーブルが原則だ。トランプがどのように考えているのか知らないが、トランプのやりたい停戦合意とは、まだなぞが多い。
トランプがロシアとの停戦合意のテーブルでウクライナが同じ席につかないような合意を考えているかどうかだ。
ゼレンスキーの停戦の段階論は、地上戦をそのままにしている。それ、果たしてロシアが合意するかどうかもあるが、停戦合意以前は、戦争中ということに変わりない。
地上戦をやっていてミサイルなどを使わないようにするという停戦のようなものは、おかしなものだ。
停戦合意に必要なことは、現段階の戦線を国境線のように確定することだ。したがって、昔やっていたミンスク合意の停戦のように停戦を行うだけならば、戦争再開は、どちらかが戦争を開始するだけでほごになる。
トランプはそんなミンスク合意のような停戦を考えているだろうか?
それにプーチンは、ウクライナ4州を併合した。つまり、具体的な国境線をほぼ確定したような形にしたが、その国境線は戦線に一致していない。
プーチンが停戦合意にどこまで譲歩するかだろうし、ヨーロッパの国は、ロシアに要求など認めるべきではないとのリップサービスばかりしているから、トランプも国境線画定かそれに匹敵するものを停戦案に取り入れていないとロシアとの停戦合意は、すぐに決裂しやすい。
そこでトランプの取りうるカードは、ノルドストリームの修理によるパイプラインの再開と稼働、ロシアのSWIFTへの復帰などの条件でカードを切れる。それで現段階の戦線を国境線のように確定できる。
その場合、国境線ではないから、ウクライナとロシアの平和条約とか不可侵条約ではないから、トランプがプーチンに切るカードは、とっておきの物じゃないとカードなしに等しい。
例えば、現在ウクライナがロシアのパイプラインを契約更新しないことで停止した状態にしているがトランプのカードには、そのパイプラインの契約再開というカードも切れる。
それらのカードでプーチンが縦に首を振る可能性が出てくる。
ロシアのヨーロッパへのエネルギー供給(販売)の見返りに併合したウクライナ4州の国境線を現在の戦線に満足する可能性が出てくる。
プーチンがそれを国境線にできるのは、併合する際に住民投票しなかった地域があったからだ。だから、併合した国境線は、暫定的なものでウクライナが定めた州の境を変えられる余地があると考えられる。
つまり、ウクライナがロシアに攻め込んで占領中のロシア領土は、停戦合意後は、ウクライナとロシアの領土交渉の材料になることである。
幸い、ロシアが併合したウクライナ4州以外でロシアが攻め込んで占領しているウクライナ領土がハリコフ州に多くある。
ロシアが占領しているハリコフ州の東。ロシアが決めている国境線からはみ出ている部分。灰色部分は、併合だけで占領していない部分。
ロシアが占領しているウクライナ領。ハリコフの北。水色部分の北の赤色などの部分。
ウクライナが占領しているロシア領。青い部分。
ウクライナは、それらのロシア占領地とウクライナ占領地を交換可能性が出てくることになる。
そのためなのかゼレンスキーは、ロシア領土に侵攻を開始したものと考えられる。一応先を見越しての作戦というわけで、ゼレンスキーがプーチンに対して使えるカードでもある。
ロシアは、ウクライナに占領された領土を力ずくで奪還することを考えているから、プーチンとしては、その領土を奪還しないと停戦合意の環境とならないと考えれば、今後停戦合意の傾向が強まれば、攻勢を強める可能性がある。
◆そもそもの戦争原因
ロシアのウクライナ侵攻の元をたどれば、2021年にバイデン政権のアメリカとショルツ政権のドイツとゼレンスキー政権のウクライナがノルドストリーム2を開通させてはならないとの宣言をしたのが発端だ。
その宣言以降、プーチンは、ウクライナ周辺とベラルーシに大軍を配置し、大演習を始めた。
プーチンにとっては、ノルドストリーム2を開通できれば、ウクライナを通さずガスをヨーロッパに売り込んで儲けられると思っていた矢先に開通阻止の宣言が行われて激怒したのだろう。
プーチンの戦争理由を覚えている人なら知っているだろう。ウクライナ国内のロシア語話者を守るためだとか言っていた。
戦争始めてまともに理由をいえないものだったわけである。
ロシア語話者の保護から戦争理由を段階的に変えた。今では、すっかり様変わりした戦争理由を言っている。ウクライナのNATO加盟阻止のように。
いずれにせよ、物量がものをいう戦争の状態では、ウクライナの自国生産能力では、その物量が足りない。足りない分を欧米の支援に頼っている。
ところが、ロシアは攻勢をかけて現在有利な戦況となり、ウクライナにとっては不利な戦況だ。
ドイツの戦車もアメリカの戦闘機も戦況の好転にはならなかった。
ウクライナのゼレンスキーは、勝つこともなく負けることもない戦争を継続するだけの大統領になってしまったのである。
その状況は、プーチンの思い描いていたものではないか?
プーチンという奴を甘く見ない方がいい。あいつ、かなりの腕前がある。トランプもある程度それを見ているはずだ。
テレビ中継までやったトランプを考えたら、停戦合意のアトラクションには、ゼレンスキーとトランプとプーチンの三者がそろった場面でも世界中に配信するかもしれないな。
そこまでやったら、プーチンもうかつにウクライナに攻め込めないだろう。プーチンに切るカードをトランプは持っている。ゼレンスキーにはない。
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2019年10月10日。
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