■アメリカ政府閉鎖の背景ーーー国民皆保険制度
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2013/10/post-593.php
この記事はアメリカ在住の冷泉彰彦（ジャーナリスト）によるブログ記事。
皆保険制度に反対するのは共和党の支持者となる保守層らしい。
どうして皆保険制度を拒否するか？ーーー基本的には職を持ち、保険に入っていて、医療費に心配がないところに、他人の医療費まで負担する事に納得できないということらしい。
そりゃそうだ、病気と怪我は自分持ち、が当然だ。赤の他人の健康のための医療費をどうして負担しなければならないのか、そういうことだ。
病気やケガが生命にかかわることであっても、当人の問題である限りは、他人が面倒を見るべきというものの考えは、確かにおかしい。
しかし、貧困層が多いと、病気やけがの社会的な保障が確保されていなければ、それは社会的に解決しなければならない問題になるだろう。
貧困層などの無保険者などの救済については、記事ではボランティア的な活動であるべきとの考えを取り上げている。それは、『「個人の善意」や「教会などのコミュニティの自発的活動」で達成していこうという姿勢』だ。
社会保障が慈善事業ということだ。でも、義務じゃないから、悪意ある人は慈善事業などしなくてもいい。
このような社会保障のものの考えは、背後に個人主義がある。つまり、善意でやるかどうか、それは個人の判断に任せるべきものだということだ。
こういう個人主義はその都度の事柄について都合よく振るまうことを基本にする。
とはいえ、政府閉鎖で困っているのはこのような個人主義のアメリカ人ではないということは明らかだろう。
皆保険制度が、とにかくみんな負担しろという限りは、まさに赤の他人の生活のだらしなさによる病気やけがまでみんなで面倒を見ることを強制するものだ。
相互扶助というのは聞こえはいいが、それを強制する限りは相互扶助という本質は変質する。
自分のけがや病気は自分の責任にするのがもっとも単純で明快だから、そこにあるのは先立つものだけ、金の問題だけだ。それを社会的に保障すれば特に問題ないのだ。
例えば２億円の医療費だとする、それは到底払えない。そこで国が肩代わりする。あとは国と債務者=医療費の債務者との関係だ。支払えない人間も保証できるのは国家のみが可能だ。
国民皆保険制度は、被保険者の支払い能力を無限の可能性として前提する。それ自体が都合のいい仮定に過ぎない。しかもたいていは１年間の清算を前提しているはずだから、いわゆる医療費は負担増になるしかない。
要するに、結果的には金の問題なのだ。つまり、金の主人は誰かということに尽きる。だからこそ国家なのだ。ところが応分負担とか、互助とか、善意とか、そういうたわごとで金の社会的な問題を回避しているだけなのだ。
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