もう5月だというのに、福岡ではまだまだ可愛いいちごちゃんたちが売られてて、つい見入ってしまう。
「いちごって、どこまでもお姫様なのね」と福岡に来てからしみじみ感じる。
きっといちごの「赤」は、人を狂わせるんだな。
いちごはとってもデリケート。
購入してエコバッグに入れるときも、まずは小さな透明のビニール袋にそっと入れて、大事に大事に袋の一番上、あるいは手で持って運んでいく。
食品の中でも比較的デリケートな卵やバナナも、いちごには敵わない。
頂点に立ついちごちゃん、いつでも他の食品たちは彼女の足場、下敷きとなる。
たとえ下がつぶれようとも崩れようとも、いちごは無傷。
まるで組体操のピラミッドみたいに。
買い物の後、荷物を車に乗せるときも、つぶれないようにいちごだけ取り出して助手席にそっと乗せてあげる。
そのとき助手席に自分の荷物があったら、それをどこかに移動させてまでいちごの場所を確保。
まるでガールフレンドとの初デートかのごとく。
チャリ移動のときは、これまた大変。
とりあえずカゴにいちごの場所を確保するところから始まる。
カゴに他の荷物で囲いを作って、絶対安全なところにいちごを収納。
移動中、歩道等の段差でチャリが上下するたびにいちごがつぶれそうになるので、そのたびに手でやさしく押さえる。
もはや、チャリ運転中は前方よりもカゴの中のいちごだけ見てる状態。
まるで体の弱い儚い初恋の女の子を、不器用ながらも一生懸命守る少年のように。
自宅に戻ったら戻ったで、いちごだけ手に大事に持って慎重に移動。
決して落とさないように、大事に大事に。
そのとき荷台がわりのベビーカーがあったら、ベビーカーにはいちごだけを載せる。
他の荷物は自力で持つか、ベビーカーの取っ手の部分にかける。
ベビーカーはいちご専用。いちごだけを大事に載せて運ぶ。
まるで生まれたての赤ちゃんを扱うみたいに。
冷蔵庫に入れるときも、慎重に。
まずはいちごを置く場所を作る。
他の食品を積んででも場所を確保。
つぶれないようにそっと置く。
そして、いざ、食す時間。
これがまた、壮絶。
「いちごあるよ~」と声をかけると同時に、子どもたちははしゃぎだしキッチンへ猛ダッシュ。
実際にいちごを見せると家族で争奪戦が始まる。
親は早々に諦め、兄と妹の一騎打ち。
子どもたち二人があまりにモメるので分けて平等に与えたところ、それでも争いだす。
「そっちのほうが多い!」「そっちのほうが大きい!ずるい!!」と騒ぎ出す。
兄は妹のいちごを奪おうとし、妹はギャン泣き。
親が注意しても聞く耳持たず。
まるで繁殖期のオスたちが、メスを巡って命をかけて争うみたいに。
でも最後は兄は人が変わったように優しくなり、妹にいちごを分けてあげる日も多々あったりする。
つい徹底してケアしてしまういちご。
そしてここまで大騒ぎになっちゃういちご、やっぱりスゴイ。
いちごの赤は、人を狂わせるのね…としみじみ。
いちごはどこまでいってもいちごで、どこまでいってもお姫様。
願わくば娘もこんな風に育ってほしい、とつい願ってしまう親バカな自分がいる。
そして親であるわたしも、せめて自分だけは自分のことをこんな風に扱ってあげよう、だって女の子だもん、と思ってしまうのであった。
麗しのいちごちゃんに学ぶことは多い。
※写真は耳鼻科の待ち時間に近くの八百屋さんで買った激安いちご(あまおうが298円!)を駐車場で爆食いする娘。
お姫さまとは程遠いような…
可愛いからいいか😊(親バカ)