目玉なんて、

そんなに落ちているものではないので、

たぶん、

彼女の目玉です。

 

 

でも、

目玉を落としたと言って、

彼女が探していたところからは、

だいぶ、離れています。

 

 

どうして、

こんなところに落ちているんだろ?

 

 

目玉を持って、

彼女を探すんですけど、

見つかりません。

 

 

どこ、行ったんだろ?

 

 

だって、

ちょっと前まで、

僕と、彼女は、芝生の上で、

つい、

夢中になって、

もつれ合っていたんです。

 

 

それに、

目玉のない彼女が、

そんなに速く、

どこかに行っちゃうなんて、

ありえません。

 

 

もしかして?

 

 

僕は、

よく晴れた空を見上げます。

 

 

飛んで行っちゃった

ってことじゃないですよ?

 

 

彼女が目玉を落としたのは、

彼女の内側じゃないか?

 

 

外側に落としたんじゃなくて、

内側に落としたってことです。

 

 

だから、

ここに、目玉が落ちていたんです。

 

 

え?

 

じゃ、

ここは、彼女の内側?

 

僕は、彼女の内側に落ちたってこと?

 

 

桜の木だって、

目の中に入れちゃったんですから、

僕だって、

入らないことはないです。

 

 

確かに、

意識に入るってことなら、

山だって、月だって、

入ります。

 

 

彼女が、

目の中に入れた

300m先の桜の木を見ると、

さっきまで、

根こそぎ、なかったのに、

ちゃんと、あります。

 

 

やっぱり、内側だ!

 

どういうことだろ?

 

 

でも、

彼女の内側だから、

彼女がいないんです。

 

 

彼女の主観の世界です。

 

 

主観の世界って、

自分の姿だけがないんですね。

 

 

たぶん、

僕が落ちたのは、

彼女の心の中です。

 

 

僕は、

その場で、

ぐるっと回って、

広い公園の中を見回します。

 

 

公園を囲むようにして木々があって、

ところどころ、

桜色の、満開の桜の花が、咲いています。

 

 

僕は、

感覚的にも、目が回ってしまって、

芝生の上に、

坐りこみます。

 

 

片手には、

彼女の目玉を2個持っているので、

もう一方の手で、

揺れるのを押さえるように、

芝生の上に、

手を置きます。

 

 

芝生の地面が温かいです。

 

 

これって、

彼女のぬくもりかな?

 

 

感じているうち、

手で、

芝生を揉みだします。

 

 

彼女のおっぱいを揉むように、です。

 

 

これまで、

世界に、

ぬくもりを感じたことは

ありませんでした。

 

 

世界なんて、

生きていませんでした。

 

 

それが、

急に、

世界が生きていると、

感じだしたんです。

 

 

でも、

僕が、

彼女の心の中に落ちたってことは、

彼女が、

僕を受け入れてくれたって

ことでしょうか?

 

 

恋に落ちているのは、

僕だけでは、ないかもしれないです。

 

 

 

ー つづく ー

 

 

 

心の中になら、落ちたいですウインクラブラブ