私、

彼の顔を知らないんです。

 

 

ベッドで、

一緒に寝ているのに、です。

 

 

彼も、

私が、どんな顔をしているのか、

知りません。

 

 

私たち、

満員電車で、揉まれているうち、

背中と背中とが、

くっついちゃったんです。

 

 

今日1日、

なんとか、背中を離そうとして、

私の部屋で、

まるで運動会みたいなことをしていました。

 

 

一緒に、

何度も、転びました。

 

 

それでも、

お互い、顔を知らないんです。

 

 

くっついているのに、

顔を知らないって、

不思議ですよ?

 

 

もしかして、

私たちも、言葉なの?

 

 

彼は、

大学生で、

哲学を勉強しているんですけど、

物は言葉だって言うんです。

 

 

僕らは、

この身体だって、思っていますけど、

上の次元の存在たちには、

僕らが身体には、見えません。

 

言葉にしか見えないんです

 

 

私たちが、

背中あわせにくっついちゃっているのも、

そうは、

見えないってこと?

 

 

意味として、見えるんです

 

 

意味として?

 

 

何を言っているかは、

わかるんです。

 

でも、

物には見えません

 

 

物が、

物には見えないなんてことが、

あるんでしょうか?

 

 

私たちが、

背中あわせにくっついちゃっているのも、

意味に見えるの?

 

 

見えていると思います

 

 

どんな意味なの?

 

 

そうですねぇ・・・・

 

本来なら、

あなたは、僕の前にいて、

僕は、

あなたの前にいるじゃないですか?

 

 

背中あわせに、

会う人はいないものね

 

 

でも、

今、僕らが見ている世界には、

僕らは、いませんよね?

 

 

見えないからね

 

 

だったら、

僕らは、

僕らの心の中にいるってことですよね?

 

 

はぁ?

 

どういうこと?

 

 

僕らって、

普段、

自分って、見えていないですよね?

 

僕らがいるのは、

他人(ひと)が見ている世界です。

 

つまり、

自分がいるのは、

他人(ひと)が見ている世界の中なんです

 

 

そうなの?

 

 

僕が、今、見ている世界に、

あなたが、いないのは、

あなたの心の世界です。

 

だって、

あなたには、

あなたが見えていないはずですから

 

 

鏡を見ても?

 

 

鏡に映るのも、

他人(ひと)が見ているあなたです

 

 

そうなのかなぁ・・

 

 

でも、

たしかに、

私って、直接には、

私を見たことがないんですよね。

 

 

同じように、

あなたが、今、見ている世界に、

僕が、いないのは、

僕の心の世界です。

 

つまり、

僕らは、

今、お互いの心を共有しているんです。

 

ひとつの心になっているんです

 

 

よく、わからないんですけど、

ひとつの心になっているって言われると、

なんか、

安心するんですよね。

 

 

 

ー つづく ー

 

 

 

あなたが見ている世界って、

あなたの心の世界ですウインクラブラブ