男の人って、
女を、要塞(ようさい)か、何かと、
思っていませんか?
攻めませんか?
クリトリスを舐めるのだって、
舌の先を固くして、
ほじくったりしません?
刺激を与えれば、
喜ぶと思っていないですか?
バレンタインデーに、
奮発して、
彼に、
ゴディバのチョコレートをあげたんです。
小さな箱詰めで、
5000円もするやつです。
学生のわたしには、大奮発です。
たぶん、
カカオが高純度だったらしくて、
食べたあと、
彼が、ホテルで、激しいんです。
終えて、
ベッドのシーツを見ると、
血だらけです。
生理でも始まったのかと、
思ったんですけど、
違います。
それで、
彼を、心配したんです。
「怪我してるよ?」
「してないよ」
「だって、シーツが血だらけだよ。
どこか切ってない?」
彼も、血だらけのシーツを見ます。
「照明の色合いで、
赤っぽく見えるだけだよ。
血じゃないよ」
「もしかして、わたしの?」
「潮(しお)だよ」
そう言うと、
彼は満足そうに笑ったんです。
こんなに潮を吹かせたんですから、
わたしを感じさせたと思っているんです。
違うんですよ。
あまりに激しかったから、
身体が防御反応として、
分泌液(ぶんぴつえき)を
大量に出しただけなんです。
わたしは、
要塞じゃないんですから、
激しく攻める必要はないんです。
赤ちゃんを寝かしつけるのだって、
バシッ、バシッって
叩く人はいないでしょ?
ポン、ポンって、やさしく叩くでしょ?
女だって、そうなんです。
やさしくしてほしいんです。
だって、
彼と、
ひとつになりたいんですよ。
ほしいのは、安心です。
わたしが、
クリトリスをいじるのだって、
わたしを、ほどきたいからです。
生きていると、緊張するんですよ。
身体が、
小さく縮こまるんです。
その緊張をほぐすんです。
固く結ばれた結び目を
ほどくように、
指を動かします。
爪を立てたりなんか、
しませんよ?
やさしく、やさしく、
どこまでも、
やさしくです。
身体をほどいて行くと、
世界がほどけるんです。
ですから、
イクときって、ひとつです。
ほどかれた世界って、
外側がないんです。
これ、
クリトリスをいじっていると
わかるんです。
ー つづく ー
クリトリスって、
サファイヤとかダイヤモンド
みたいな響きですね![]()
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