かわいい女の子が、
目を閉じているってだけで、
キスしたい誘惑に駆られます。
実際、
もう、キスしました。
わざとじゃなかったですけどね。
彼女と、
頭をぶつけたときです。
彼女は、
目玉を落として、
その目玉を探していたんです。
それで、
僕は、今、一緒に、
彼女の目玉を探している最中です。
ただ、
彼女が目を閉じているので、
僕は、
彼女の顔ばかり見つめています。
かわいいんです。
目を閉じているので、
引力がすごいです。
強力な磁力のようなものが、
僕をつかんで、引き寄せます。
これが、
恋ってものでしょうか?
彼女のパンティーの匂いを嗅(か)いだのも、
いけなかったですね。
恋するなって言う方がムリです。
「・・・桜が、きれいに咲いてますね」
「桜が、あるんですか?」
「今、
あなたが、手を置いているのが、
桜の木です。
満開ですよ」
彼女が、
閉じた目蓋で、
幹に触れながら、
桜の花を見上げます。
美しい桜の花と、
彼女とが、そっくりです。
肌なんか、
桜の花びらのようです。
「えーーぇ、見たい」
そう言いながら、
なぜか後退(あとずさ)って行くんです。
「どこ、行くんですか?」
「近くて、見えないから」
「近くて、見えない?
見えないのは、目玉がないからですよ」
「だから、
目に入れようと思って・・・」
「目に入れようと思って?」
「もっと離れないとダメかしら?」
「転ぶと、いけないんで、
押さえますよ?」
何のことか、
わからないんですけど、
彼女が転ばないように、
彼女の背中を押さえます。
でも、
本心は、彼女に触りたいんです。
300mくらい離れたでしょうか。
「どこまで行くんですか?」
「どれくらいになったかしら?」
「桜の木ですか?」
「はい」
「・・・・どれくらいって、
どういう意味ですか?」
ところが、
彼女は、手を伸ばすと、
桜の木をつまんで、
目の中に入れてしまうんです。
たしかに、
離れれば、小さく見えますよ。
だからって、
目の中に入りますか?
だいいち、
手が届かないでしょ?
それなのに、
なぜか、手が届いて、
小さくなった桜の木を、
目の中に入れてしまうんです。
「・・・ほんと、きれい」
僕には、
今、見た、光景が信じられません。
ー つづく ー
目の中なんかに入れて、
痛くないんですかね?![]()
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