初対面の、お姉さんの部屋に入るのは、
ドキドキです。
小さなマンションの1室です。
「どうぞ?」
「お邪魔します」
ドアが閉まる金属音に、
僕の心臓が、ガラスみたいに、
響きます。
「そう言えば、あなた、
彼女いるのかしら?」
「いません」
お姉さんが、
あからさまにホッとします。
「じゃ、よかったわ」
「田舎者だからって、
からかっているんじゃないですよね?」
お姉さんが、大笑いです。
「人間って、面白いよね?
自分の引け目で、
物事を見るよね。
あなたの顔に、
田舎者なんて、
書いてないでしょ?」
「でも、訛(なま)っているでしょ?」
お姉さんが、唇を開いて、
うなずきます。
「それ、訛りなんだ?
かわいいよね」
「訛りが、かわいいんですか?」
「かわいいわよ。
あなたのお姉さんだって、
かわいいと思っているわよ」
「姉も、訛っているんですけど?」
また、笑っています。
「アイスティーでいい?」
僕らは、
氷の浮かんだ2つのグラスを置いて、
小さなテーブルで向かい合います。
「さっき、ここで、
ひとりで、してたの。
そしたら、消えたのよ」
「ここで、してたんですか?」
6畳ほどのリビングです。
「あなたは、どこでするの?」
「・・・ベッドで」
「私も、ベッドで、するわよ?
って言うか
・・・・どこでも、するかも」
「そんなにするんですか?」
「あなたのお姉さんは、
してないの?」
「・・・してるのかな?」
「しているわよ。
あなただって、しているでしょ?」
「そんなに、してないですよ」
「そうなの?
どれくらい?」
「・・・1,2回」
「へぇ~、そんなもんなんだ」
「お姉さんは?」
「休みの日は、1日中」
「そんなに?」
「あのね、女の子には、
物質じゃないものがあるのよ」
「物質じゃない?」
「男の子には、ないの?」
「物質じゃないものって、
何ですか?」
「物質って、そこにあるものでしょ?
たとえば、
このグラスなら、
ここに、あるでしょ?」
僕は、ちょっと、
生唾を飲み込みます。
緊張しているんです。
「でも、それは、
そこには、ないの。
そこにあるけど、そこに、ないのよ」
「そこに、あるけど、
そこにない?」
お姉さんが、おもむろに、
スカートを捲(まく)ります。
白い太ももが、
煌めく音を奏でるようです。
パンティの真ん中を、
人差し指で、押さえます。
「ここに、あるんだけど、
ここには、ないのよ」
「どういうことですか?」
「どういうことか、
わからない?」
「わからないです」
「だったら、
男の子には、物質じゃないものが
ないのかしら?」
お姉さんが、パンティを見せながら、
首をかしげているんです。
ー つづく ー
だから、女の子って、
素敵なんですね