全裸で、
M字に脚を開いて、
指で、
女性器をいじるんです。
抵抗できませんよね?
「来てくれる?」
「うん」って、
うなずいちゃったんです。
仕事中なのに、です。
そのとたん、
僕は、つむじ風に巻かれるんです。
ふわりと浮いて、
ぐるぐる巻かれて、
依頼主さんの家から、
飛んで行きます。
依頼主さんは、
引っ繰り返っています。
僕は、掃除屋で、
風呂掃除を依頼されて、
風呂場にいたんです。
「どこ行くんだよ?」
「その子のところよ」
僕を運んでいるのは、風の精霊です。
「その子って?」
「助けてって頼まれたでしょ?」
そう言われてみると、
死のうとしている子がいるって、
花の精霊から頼まれました。
目の前で、
女性器をいじられて、
すっかり忘れちゃったんです。
「来てって、そっち?」
「どっちだと思ったの?」
「僕は、てっきり・・・」
「てっきり?」
そう思いますよね?
「・・・だったら、
なんで、いじってたんだろ?」
「いじってた?」
「いじってたろ?」
「どこを?」
「あそこを」
「あそこって?」
「蘭の花みたいなところだよ」
「じゃ、蘭の花でしょ。
花の精霊なんだもの」
「蘭の花?
花をいじっていただけ?」
僕が、
勝手に、
期待していただけかもしれないです。
到着したのは、
植物園みたいな家です。
さらに、
隣の家も、前の家も、後ろの家も、
花だらけです。
辺り一帯が、植物だらけです。
ちょっとしたジャングルです。
蔦(つた)だらけの門の前で、
花の精霊が、手招きます。
「こっちよ?」
「家の中に入るのか?」
「入らなかったら、
助けられないでしょ?」
「ここへ、呼べないのか?」
花の精霊が、
重たげな目蓋(まぶた)で、僕を見ます。
「呼べるくらいなら、
苦労しないでしょ?」
「僕を、呼んだじゃないか?」
「だから、頼んだのよ」
僕は、気づきます。
「・・・そっかぁ。
普通の人は、自然霊と話せないんだ?」
「急いで?
死のうとしてるの」
「どうして死のうとしているんだ?」
「人間たちが勝手だからよ」
「勝手だから・・・死ぬ?」
「もともとは、私たちだけだったのよ。
それなのに、多いって、勝手でしょ?」
「は?
死のうとしているのは、誰なんだ?」
「だから、ここの子だってば」
「もしかして、女の子?」
「女の子よ。あなたぐらい」
「ダメだよ」
「どうして?」
「僕は、
人間の女の子と話したことがないんだ。
話せないよ」
僕は、
自然霊とは話せるんですけど、
人間とは話せないんです。
女の子なんて、絶対にムリです。
ー つづく ー
自然霊とは話せても、
女の子とは話せないんですね