わたしなんか、

いつも、

イッたフリばかりです。

 

 

イク~!イク~!」って。

 

 

どこへも行きませんよ。

 

 

むしろ、

早く終わってほしくて、

イッたフリをしちゃいます。

 

 

あとで、

鏡で見ると、

切れてたりしますからね。

 

 

そんなに濡れてないのに、

激しくするからです。

 

 

大変でしょ?

 

 

女には、女の苦労があるんです。

 

 

とくに、

付き合い始めのころは、

気に入ってもらいたくて、

イッたフリをしましたね。

 

 

初めてのとき、

わたしも、彼も、18歳でした。

 

 

たぶん、彼も、初めてです。

 

 

彼のクルマの中で、です。

 

 

ゴムして?

 

 

持ってないよ

 

 

買って来て?

 

 

どこに売っているんだろ?

 

 

どこに売っているかも知らないなんて、

初めてでしょ?

 

 

コンビニにだって売ってるんですから。

 

 

ですから、

上手なわけないです。

 

 

わたしが、

あまりに無反応なんで、

彼は、とまどっていました。

 

 

きっと、

AVか何かを観て、

女は、

こんな反応をすると

思っていたんでしょうね。

 

 

気の毒になっちゃって、

感じているフリをしちゃったんです。

 

 

でも、

彼とは、

1年くらい付きあってますけど、

今では、

もうルーティンですね。

 

 

おっぱいとあそこを舐めて、

わたしに咥(くわ)えさせて、

それから挿入、

変えるのは体位くらいです。

 

 

それで、

射精して、おしまい。

 

 

淋しいですよ。

 

 

目的が違うんです。

 

 

それを教えてあげたくて、

射精のあと、

彼のお腹とか舐めたんです。

 

 

溶け合いたいって、メッセージです。

 

 

そしたら、

彼は、怪訝(けげん)そうにするんです。

 

 

また、するのか?

 

 

わたしは、首を横に振ります。

 

 

ううん

 

 

だったら、なんで舐めるんだよ?

 

 

満足できなかったのか?

って顔なんです。

 

 

それで、

仕方なく、

気持ちよくしてもらったお礼よ

って言ったんです。

 

 

本音は、違います。

 

 

中イキしたいのだって、

違うんです。

 

 

わたしたちが、

わたしたちだってことを

忘れたいんです。

 

 

彼にだって、

中だけを感じてほしいです。

 

 

中だけになりたいんですよ。

 

 

イスだって、テーブルだって、

外側の形は違うけど、

中は、同じでしょ?

 

 

同じ素材って意味じゃないですよ?

 

 

だって、

わたしが、

わたしじゃなくなるって、

イスだって、テーブルだって、

イスやテーブルじゃなくなるんです。

 

 

イクって、そういうことです。

 

 

 

ー つづく ー




 イッたフリだったんだウインクラブラブ