拝啓 大庭蒼生様~~”『石子と羽男』9話” | 好きで、好きで、好き!

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拝啓 大庭蒼生様

 

はじめまして。

突然、このようなお便りを差し上げる無礼を

どうぞ、お許しください。

 

 

あの日、

力なく、踏み出されたあなたの一歩は

あなたを

 

深呼吸できる場所へと 送り届けてくれました。

 

 

 

 

あの大空を

見上げた

あなたの

濡れたような瞳が

それをさまようかのようにゆっくりと動き

 

そして

 

そこが、

 

 

 

あなたを待ち望んでいた場所で あることを

 

あの、大空の青さに包まれながら、

 

あなたは感じていたことでしょう。

 

 

 

 

そこで、見つけたものは、何でしたか?

 

 

 

 

 

 

 

わたしたちは、

 

あなたが、

 

石子さんから受け取った手紙。

 

 

 

 

大庭さん、体調は崩していませんか。

あなたが黙秘を貫いているということは、

何か、私たちに簡単には言えない事情を

抱えているんだと思います。

 

だけど、私たちは大庭さんと働き、

ともに時間を過ごす中であなたの姿を見てきました。

 

職場の友人を助けようと必死で戦った姿や

 

元気のない時に笑わせようとしてくれた姿、

何かを説明しようとするけど、

気持ちが先に立ってうまく説明できない姿、

でもその分、想いがしっかり伝わる姿、

自分を飾らずマイナスなことまで正直に言ってしまったり、

驚く時は、え、そんなにっていうくらい

リアクションが大きかったりする姿、

 

  

 

  

 

    

 

 

 

 

 

たくさんの大庭さんを知っているからこそ、

何か正しい理由があって、

口を開くことができないんじゃないか、

そしてそれにより大庭さんが苦しんでるんじゃないかと、

とても心配しています。

 

 

私たちはどんな事情があるにせよ、

あなたの力になりたい。

 

大庭さんも私と羽根岡先生を信じてください。

 

声をあげていただかなければ、

お手伝いすることができません。

 

 

今度は、私が傘を差し出す番です。

 

ずぶ濡れの私を助けてくれたように、

私たちが大庭さんを雨から守ります。

 

 

すべて終わって自由になったら、

 

 

また一緒にご飯を食べましょう。

 

 

 

あなたが、苦しい想いでいっぱいだったあの時、

石子さんがこの手紙をしたためるその裏で、

 

 

 

石子さんも

 

 

羽根岡先生も、ともに苦しんでいたこと。

 

そして、あなたの釈放が決まった時、

 

 

 

 

お二人が、これほどまで、と思うほど、

深々と頭を垂れて

感謝の想いを吐露していたこと。

 

 

その場にいなくても、

 

きっと、あなたは存分に感じていることでしょう。

 

 

 

深呼吸をさせてくれる大空の次に、

あなたの瞳に映ったのは

 

あなたを

さらに、深く、息づかせてくれる存在。

 

 

そんな存在が、あなたにいてくれたこと。

 

本当に本当によかったと

 

心の底から安堵したものです。

 

 

 

ごめんなさい、とあなたは言いました。

 

弟を守るためとはいえ、

嘘をついてしまったことや

それによって、もっと心配させてしまったことを。

 

 

あなたには、

どんな困難なことでも

粘り強く、真実に向かっていく

力強いお二人がいます。

 

 

これから、

もう二度と、

あんな力ない一歩を踏み出すことがないように、

 

 

お二人とともに、

力強く歩んでいってください。

 

 

 

あなたがあの日、手にした

温もりは、

 

あなたが離さない限り、ずっと

あなたの手の中にあります。

 

 

あの日、声をあげて、

お二人を見つけたあなたのその手を

どうか、どうか

離さないでください。

 

 

 

これから、

あなたの周りが

笑顔で溢れる日々になりますように。

 

そして、貴方が、ずっと笑顔でいられますように。

 

 

心より願っております。

 

敬具