こうのすシネマ
午前十時の映画祭 より
新年度の『午前十時の映画祭』が始まりましたね。個人的には東宝の特撮映画「海底軍艦」「妖星ゴラス」をスクリーンで観られるのを楽しみにしています。あとは「マッドマックス」の2本、「男たちの挽歌」「スカーフェイス」「カジノ」といったところでしょうか。「ネットワーク」も日本公開の年に「ロッキー」との二本立てで観たきりですので、高校生の頃とはまた違った感想を持つかもしれません。
製作:アメリカ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ローレンス・カスダン
撮影:ダグラス・スローカム
美術:ノーマン・レイノルズ
音楽:ジョン・ウィリアムス
出演:ハリソン・フォード カレン・アレン ポール・フリーマン ロナルド・レイシー
1981年12月5日公開
1936年、勢力を増しつつあるドイツは、世界制覇の野望に燃えるヒトラーの号令のもと、無限の力を与えるモーゼの十戒をおさめた石板のアーク〈聖櫃〉を手に入れようとしていました。アメリカはこれを阻止すべく、考古学者で冒険家のインディことインディアナ・ジョーンズ博士(ハリソン・フォード)に白羽の矢を立てます。
インディはアメリカ政府からアーク発掘の要請を受け、アークの在処を示す重要な手掛かりとなる杖飾りが、恩師のレイヴンウッド教授の手にあると知らされ、ネパールのヒマラヤの奥地に向かいます。そこで、恩師の娘でかつて恋人だったマリオン(カレン・アレン)と再会します。
ところが、既に教授は亡くなっているばかりか、ゲシュタポのトート(ロナルド・レイシー)一味の襲撃を受けます。マリオンの店は焼け落ち、インディは杖飾りを持って彼女と共にエジプトのカイロへと向かいます。カイロでは友人のサラー(ジョン・リス・デイヴィス)を頼って、ドイツが行うアークの発掘現場の情報収集をします。
ところが、ディートリッヒ大佐(ヴォルフ・カーラー)の部下の襲撃を受けた際、マリオンがトラックの爆発に巻き込まれてしまいます。失意のインディは、サラーと共に発掘隊に潜入し、聖櫃が隠された魂の井戸を発見します。しかし、インディの宿敵であるフランス人のベロック(ポール・フリーマン)に現場を見つけられ、生きていたマリオンと共に魂の井戸に閉じ込められてしまいます・・・。
映画の序盤からアトラクションに参加したような臨場感が味わえ、観ているこちらもスンナリと荒唐無稽な話に引き込まれてゆきます。サイレント映画の活劇を再現したハラハラドキドキ感があり、主人公が絶体絶命の危機を如何に乗り切るか?という興味で話を引っ張っていきます。畳みかけるようなアクションの連続は、スピルバーグの真骨頂を表していて、カーチェイスの場面では、後のヤン・デ・ボンの「スピード」に応用されたような箇所も見受けられました。
スピルバーグの演出は相変わらず巧みで、伏線を張って常に回収する作業も抜かりなく行なっています。ドイツが聖櫃の場所を特定できた謎を、ゲシュタポの掌に刻印された火傷の痕で一瞬にして分からせる辺りなどは、手際の良さを感じさせます。また、正攻法な演出をしている割には、大量の毒蛇、顔が溶け出すなど、結構グロテスクな描写があるのも個人的には好みでした。
それに加えて定石を外す演出も、結果的に話に緩急をつけた形で巧く嵌っていました。初見時には、大ナタを振るう相手に、インディが鞭で対抗すると思いきや、あっさり片づけたのには意表を突かれました。これも、撮影時にハリソン・フォードの体調が悪く急遽変更されたらしく、怪我の巧妙とは言え、やけに印象に残る場面となっていました。それと敵に飼われていたお猿ちゃんに関しても、動物と言えど、小憎らしいキャラクターに相応しく、それなりの落とし前がつけられているのも十分納得が行きました。
午前十時の映画祭では、ここのところ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ゴッドファーザー」「マトリックス」「ジュラシック・パーク」と人気シリーズの3作品を続けて上映することが恒例になっています。そろそろ次回は「スターウォーズ」も組み込んでもらえないでしょうか?できれば、エピソード4から6を・・・。