チラシより
惑星デューンをめぐる宇宙戦争が勃発!ハルコンネン家の陰謀により、アトレイデス家は全滅。しかし、最愛の父とすべてを失うも、後継者ポールは生きていた。ついに復讐の時----。運命の女性・砂漠の民チャニとポールの、全宇宙を巻き込む最終決戦が始まる。
製作:アメリカ
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本:ジョン・スペイツ クレイグ・メイジン ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作:フランク・ハーバート
撮影:グリーグ・フレイザー
美術:パトリス・ヴァーメット
音楽:ハンス・ジマー
出演:ティモシー・シャラメ ゼンデイヤ レベッカ・ファーガソン オースティン・バトラー
フローレンス・ピュー クリストファー・ウォーケン レア・セドゥ
ハビエル・バルデム
2024年3月15日公開
前作から2年半経っていて、PART1がどんな内容だったのか、ぼんやりとした記憶しかありません。映画の冒頭で既に死体になっていたジャミスも「誰?」と言うほど、情けない忘却ぶり。内田吐夢の『宮本武蔵』シリーズのように、本編が始まる前に前作の軽いお浚いをしてくれたらありがたいのにと思いながら観始めました。
PART2はアトレイデス家によるハルコンネン家への復讐譚と言うよりは、アトレイデス家の後継者ポール(ティモシー・シャラメ)が通過儀礼を経て成長する物語の色合いの濃い映画でした。このPART2では異人種のポールが、香料の原産地アラキスの原住民であるスティルガー(ハビエル・バルデム)やチャニ(ゼンデイヤ)に助けられつつ、砂漠の民に認められ、戦いの指揮を執る資格があるか、その力量を試されています。
その間にも、敵側のハルコンネン家では、ハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド)の甥・フェイド=ラウサー(オースティン・バトラー)が兄のラッバーン(デイヴ・バウティスタ)を引きずり下ろす下剋上のお家騒動があったり、皇帝の娘イルーラン(フローレンス・ピュー)が教母ガイウス・ヘレネ・モヒアム(シャーロット・ランプリング)の指導を受けながら、父シャダム4世の地位を護ることに腐心したりと、政治的な側面も描かれています。
ポールの母レディ・ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)の正体には驚かされたものの、正直なところ、ドラマの部分はやや冗長に感じられ、俳優やアクションに目が行きがちになります。俳優に関してはフェイド=ラウサーを演じたオースティン・バトラーの残忍さが印象的で、アクションも砂漠の特性を活かしたサンドワームに乗っかっての疾走、兵器を含めたメカの部分の魅力に目が向きました。
『デューン 砂の惑星』シリーズがこれからも続くかどうかは定かではありませんが(終わり方を見るとまだ続きそうですが)、ドゥニ・ヴィルヌーヴはこのシリーズに関して、一旦監督の座から退いたほうが良いと思いました。本作を観る限り、別に彼でなくても他の監督が撮っても遜色ないように思えましたし、ドゥニ・ヴィルヌーヴには他の題材で才能を発揮してもらいたいから。彼には「複製された男」のような毛色の変わった映画にもう一度挑戦して欲しいです。