ダメンズを引き寄せる女の行く末は・・・「女の橋」を観て | パンクフロイドのブログ

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ともに苦難を乗り越えよう!

本作は2015年2月に鑑賞しました。日記につけたあらすじと感想を元に記事にしましたが、正直、話自体はほぼ忘れています(笑)。

 

ラピュタ阿佐ヶ谷

日本映画紀行 花街のともしび より

 

製作:松竹

監督:中村登

脚本:田中澄江

原作:小坂順子

撮影:倉持友一

美術:川村芳久

音楽:鏑木創

出演:嵯峨三智子 田村高廣 藤山寛美 山本豊三 柳永二郎

       佐藤慶 北条喜久 葵京子 佐乃美子 浅茅しのぶ 沢村貞子

1961年6月9日公開

 

新橋の芸者たまき(嵯峨三智子)は、財界の有力者である有本礼助(柳永二郎)の紹介で知り合った青年社長の川津俊哉(田村高廣)に心惹かれます。たまきは戦時中に医者の山名和彦(佐藤慶)と結婚して一子を設けましたが、夫は看護婦のとし子(葵京子)と関係し、更にヒロポン中毒を起こしていたため別れた過去がありました。それ以来、たまきは一人息子の孝次を知り合いに預け、単身上京し、習い覚えた踊りを元手に花柳界に身を投じました。

 

やがて、たまきは川津と関係し妊娠します。妻子のある川津は、子供を産むことを望まず、たまきは泣く泣く子供を中絶します。この一件によって、川津の心はたまきからしだいに離れていきました。有本は気の塞いでいるたまきを心配し、空きになっている物件を紹介し、バーのマダムになることを薦めます。

 

店が開店すると、しばらく音信不通だった川津が来店します。たまきの心は再び燃え上がるものの、川津は冷たくあしらいます。そんな折、別れた夫の山名が死んだことを報せる手紙が届きます。たまきは一人で旅に出て、その車中で芸者時代に彼女を狙っていた槙(藤山寛美)と再会します。二人は宿を共にし関係を持ちます。その後も二人は逢瀬を続けましたが、槙の無責任さにたまきは失望します。その頃、たまきの後輩のきみ子(北条喜久)が川津の子供をおろしたことを知ります・・・。

 

ロクデナシの男たちを引き寄せるフェロモンを放っているのかと思うくらい、たまきの周りにはダメンズばかりが集まってきます。彼女の亡くなった父親の友人である有本だけが、まともな男で後見人としてたまきの後ろ盾となっています。ただし、有本が料亭に来てロクデナシの男たちを紹介するのですから、彼にも責任の一端はあるかもしれません。

 

また、たまき自身も別れた夫の件で、男に苦労している筈なのに、懲りない行動を繰り返しているのも問題ですね。たまきと川津が旅館で一夜を共にしようとした際に、会社の部下から連絡が入り、川津が急遽帰らなければならなくなった時も、彼が妻の出産で帰ったことを知りながら、会社の急な用事で戻るという嘘を受け入れます。妻の妊娠中に、いけしゃあしゃあと浮気をする男なのですから、この時点で川津の本性に気づけよとじれったくなりますわ(笑)。追えば逃げられ、逃げると追ってくるの繰り返しで、たまきと川津の関係は続いていきます。尤も、ストーカーのようなしつこさで、川津につきまとうたまきも、男からしたら相当怖い女で、川津が距離を置こうとするのも分からないではありません。

 

昔の映画を観る際には、当時の風景を知ることの楽しみがあります。60年代初頭の東京は、敗戦からわずか15年ほどしか経ってないのに、驚くほどの復興を遂げています。街並みは整然としており、空襲で焼け野原になったことを感じさせるものは何も残っていません。個人的には上野動物園の風景に興味を惹かれました。ただし映画自体、ハズレの少ない中村登監督作にしては冴えない出来でした。