これで本当に最後?「ランボー ラスト・ブラッド」を観て | パンクフロイドのブログ

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ランボー ラスト・ブラッド 公式サイト

 

 

チラシより

かつてアメリカ陸軍特殊部隊グリーンベレーの伝説の兵士として、ベトナム戦争を生き抜いたジョン・ランボー。帰還してからはPTSDに悩まされながらも、世界各地の戦いに身を投じてきた。そんなランボーも今では故郷アリゾナの牧場で、古い友人のマリアとその孫娘ガブリエラと、“家族”として平穏に暮らしていた。ところが、自分を捨てた実の父親がメキシコにいると知ったガブリエラが、ランボーの反対も聞かず一人で危険な地に踏み込み、人身売買カルテルに拉致されてしまう。怒りに燃えるランボーは、最愛の“娘”を救出し、一味への復讐を果たすため、想像を絶する戦闘準備を始める――。

 

製作:アメリカ

監督:エイドリアン・グランバーグ

脚本:マシュー・シラルニック シルベスター・スタローン

撮影:ブレンダン・ガルビン

美術:フランコ=ジャコモ・カルボーネ

音楽:ブライアン・タイラー

出演:シルベスター・スタローン パス・ベガ セルヒオ・ペリス=メンチェータ

        アドリアナ・バラーサ イヴェット・モンレアル オスカル・ハエナダ

2020年6月26日公開

 

良くも悪くも大味なアクション映画です。1作目がアメリカン・ニューシネマの流れを汲んだ作品であることを思えば、作品を重ねるごとに、1作目にあった帰還兵の哀しみ、切なさ、遣り切れなさからは、だいぶ乖離したように感じられます。その一方で、本作には戦争体験の影響が散見される箇所もあり、1作目への原点回帰の部分もやや見られます。ランボーが穴倉で安らぎを得るのは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の裏返しとも言えますし、罠を仕掛けて敵を殲滅させるやり方は、ベトコンと対峙した体験が活かされています。

 

この映画では、それはどうよ?と首を傾げたくなる箇所がいくつも散見されます。メキシコの人身売買組織がランボーをボコボコにしながら、見張りを一人も残さずに、放置したままなのは如何にも不自然に映ります。また、瀕死のガブリエラを連れたまま、どうやって国境を越えるのかと見ていたら、笑っちゃう程強引な方法で突破しちゃうし。国境の壁、意味ねぇじゃん・・・。でも、そんな描写があっても嫌いにはなれないのですよ。だって、ランボーなんだもん。

 

これ以外にも、ガブリエラを救出に行くにしては、敵地に乗り込んで行くのに無防備過ぎるとか、ガブリエラの写真を身に付けているのは、逆に彼女を危険に曝したとか、色々出てきますわ。それでも、実の娘のように思っていたガブリエラが誘拐されたら平常心ではいられないでしょうし、ガブリエラの写真の件にしても結果論に過ぎんだろとか、一々擁護したくなる訳よ。

 

ランボーがガブリエラを奪還したことにより、組織がアメリカまで出張ってくるかと思いきや、二人を追ってはきません。手下も結構やられたのに後を追わなかったのは、メンツよりも小娘一人に手間はかけられないとコスパを考えたのかしら?相手が追ってこないと察知したランボーは、敵を迎え撃つ準備を万端整えた上で、再びメキシコに戻り、組織が彼の命を狙わざるを得ないように仕向けてきます。

 

さすがに実の弟のビクトルを殺されたとあっては、兄貴のウーゴも見過ごす訳には行かず、手下を従えてアメリカに乗り込んで来ます。誰の仕業かは、ガブリエラの写真をビクトルの死体に残したことでピンときますし、ランボーの居場所も、以前ボコボコにした際に身分証を取り上げているので分かっていますしね。

 

ただし、ウーゴはビクトルを下っ端のように扱い、ビクトルはそれを不満に思って、兄弟間で揉めていた経緯があります。それだけに、ウーゴが弟への復讐に傾くような、もっと強い動機となる前振りが欲しかったですね。ランボーが首チョンパして道路に捨てるのもいいけど、ビクトルの首は現場に残し、ランボーがされたように頬に同じ傷をつけることによって明快な意思表示をしたほうが、ランボーへの憎しみをより掻き立てたように思います。

 

ランボーはクライマックスの場面では、若い頃のような動きはできない代わりに、巧妙な罠を仕掛けることでハンデを補っています。罠に嵌った敵がのたうち回る場面はなかなかエグい描写で、次第にスプラッターホラーを観ているような錯覚に陥ります。ランボーも「13日の金曜日」のジェイソンのような怪物と化してきます。

 

スタローンの年齢、「シェーン」を思わせるラスト、本編が終わった後にシリーズの各作品の映像が流れること、タイトルの副題が1作目の原題「First Blood」にかけていることなどから、おそらく本作が正真正銘の最終作になると思われます。とりあえず、お疲れ様でしたと言いたいですね。