
(2)リーダー2人の分裂(ニコとヴィットリオ)。音楽の多様性。
3rdアルバム「コンチェルト・グロッソ Ⅰ」と5thアルバム「UT」、2枚の名作アルバムに挟まれて、音楽的にもあまり目立たない2枚組の4thアルバム「見知らぬ桃源郷の探索(Serching For A Land)」。1枚目はヴィットリオ・デ・スカルツィ色が強いアコースティックなスタジオ録音、2枚目はニコ・ディ・パロ色が強いハード・ロックなライブ音源。全く音楽性の違う2枚で構成された4thアルバム。2枚目のライブ音源から聞こえる歓声で、当時のニュー・トロルスがどれだけ人気があったのかわかります。2枚を比べてどちらが楽しいかといえば、ニコ・ディ・パロ主体のライブ音源。1枚目はあまりにもアコースティック過ぎたと思います。次作「UT」はニコ・ディ・パロ一色のアルバムとなり、ヴィットリオは翌年発売される名作「アトミック・システムまで自分の色を抑えていくことになります。ただ、このアルバムからの代表曲は、1枚目3曲目の美しく哀愁漂う「聖ぺテルの日に(In St.Peter's Day)」とい事になるでしょうか。全曲英語で歌われた4thアルバム。進出を狙った欧米市場で活躍するまでには至りませんでした。次作アルバム「UT」だったら欧米市場の反応はどうだっただろうか、タイミングが悪かったんじゃないか、そう思える4thアルバムでした。
名作5thアルバム「UT」。タイトルの「UT」とは音階ドの音です。メンバーは前作同様5人で変わりがないものの、ニコ・ディ・パロのハード・ロック路線について行けなくなったのか、ヴィットリオ・デ・スカルツィは1曲も書いていません。このアルバム後、2人は分裂することになります。ニコ・ディ・パロのハード・ロック路線、顕著に表れたのが6曲目の「大戦争(C'e troppa guerra)」、 初期Led Zeppelinそっくり と思うのは自分だけでしょうか。
しかし「UT」はこういう曲ばかりではなく、重厚な音作りの中でありながらとてもドラマチックな Studio ~ ⅩⅩⅡとつながる、もう終わってしまうのかと思わせる華麗な出だしで魅きつけられ、ピアノ伴奏で高らかに歌いだす5曲目 誕生(Nato Adesso) で山場を迎えます。この曲は8分近くあり、中間部からエンディングに向かい、ニコ・ディ・パロのヘヴィーなギターが続きます。ギターソロの時間については、長すぎる、前半部のすばらしさを消してしまうなどの否定意見があるみたいですが、自分はこのギターソロはかっこいいと思っています。そして次曲「大戦争(C'e troppa guerra)」につながります。エンディング8曲目「誰が知るか(Chi mi puo capire)」、ロマンチックなボーカルが、とても印象的なナンバーです。
「ニコ・ジャンニ・フランク・マウリツィオ」 4人のメンバーの名前を並べただけのグループ名。アルバムタイトルは「子供たちの唄、大人たちの唄(Canti D'innocenza)」アルバムジャケットは全面を使って大きく「?」の文字。「UT」発表後、分裂して最初に出てきたアルバムです。この次に後日New Trollsの正式アルバムとなる「Atomic System」が出てくるわけですが、ニコ・ディ・パロ達はこのアルバムがNew Trollsのアルバムとして発売されると思っていたそうで、その気持ちが「?」に表れていると言われています。「UT」で表面化してきたニコ・ディ・パロのハード・ロック路線をさらに推し進めたアルバムとなっています。4曲目「門祭の友(L'Amico Della Porta Accanto)」です。
http://www.youtube.com/watch?v=B9fKYBghEMU 動画は動きません。
http://www.youtube.com/watch?v=B9fKYBghEMU 動画は動きません。
もちろんこのアルバムにはヴィットリオ・デ・スカルツィは参加していません。「UT」時には5人居たメンバー、分裂といっても1人が脱退したような形になっていますが、「?」ではなく「Atomic System」が、後日New Trollsの正式アルバムとなりました。ヴィットリオ・デ・スカルツィは金持ちの家で育ったそうです。裁判となれば優秀な弁護士がつき・・・ニコ・ディ・パロとしては仕方ない所だったのでしょうか・・・。
6thアルバム「Atomic System(アトミック・システム)」、3rd「コンチェルト・グロッソ Ⅰ」で脱退したオリジナル・メンバーのベーシストを呼び戻し(このベーシスト、ジョルジオ・ダダモは、この後11thアルバムまでNew Trollsのメンバーとなっています。)、New Trollsの全アルバム中、最もシンフォニック色が強く、評価も高いアルバムとなっています。3曲目「真実に向かって(Tornare a credere)」です。
New Trollsの最大セールスポイントはコーラス、このアルバムではニコ・ディ・パロら4人がいないので、アンナとジュリエッタ、2人の女性コーラス隊を使っています。ヴィットリオ・デ・スカルツィの骨太で男性的な声と全く正反対な女性ボーカル、ニコ・ディ・パロのハイトーン・ヴォイスの代わりが見つからず、仕方なくそうしたのかもしれません。そしてニコ・ディ・パロの激しいギターがないこのアルバム、ただ女性ボーカル隊はつぼにはまっていると思います。ムソルグスキー 禿山の一夜(Una notte sul Monte Calvo) カバーも話題となっていました。(この曲はシングルとして発売されたらしく、オリジナルLPには入っていません。日本でLPとして発売した時に追加され、CDとなってからは日本内外問わずに収録されているようです。)エンディングの「バタフライ(Butterfly)」、とても軽快で好きな曲です。後日「イビス(IBIS)」内の曲と比較されることになります。
続いて発表された7thアルバム「テンピ・ディスパリ(Tempi dispari)」(ライブ)、LPのA面B面で各1曲ずつ、New Trolls全作品の中でたった1回だけ、カンタベリーの音を彷彿させるような素晴らしいジャズ・ロックを展開しています。
3分頃から流れる「コンチェルト・グロッソ Ⅰ」のメイン・テーマ、これがなければNew Trollsのアルバムとは思えない。聴衆を集めてのライブ・アルバム、開催する時にはどうやって集客したのだろうか。前後アルバムとの関連がない「テンピ・ディスパリ」。
一方のニコ・ディ・パロは、ニコ・ジャンニ・フランク・マウリツィオで「子供たちの唄、大人たちの唄」を発売した後、ドラムスのジャンニ・ベッレーノが脱退し(ニコ・ディ・パロとヴィットリオ・デ・スカルツィ和解時の8thアルバムには戻ってきて、15thアルバムで再脱退することになります。)、イギリスから元アトミック・ルースター(EL&Pのカール・パーマーも在籍していた。)のドラマー、リック・パーネルを加えて結成したイビス(IBIS)。傑作アルバム「サン・シュプリーム(Sun Supreme)」を発表しました。全編英語で歌われ、イギリス・プログレ・バンドの風を入れたという事かも知れませんが、前作となった「子供たちの唄、大人たちの唄」からハード・ロック色を後退させ、New Trollsの4thアルバム「見知らぬ桃源郷の探索」から参加しているマウリツィオ・サルヴィのキーボードをかなり前面に出した、ドラマチックな演奏を繰り広げています。出だしの1~2曲目だけUPされています。(ようつべに3曲目「霧の渓谷」、5曲目「神 パートⅠ」をUPしてみたのだけど、JAPAN地域ブロックがかかります。)
マウリツィオ・サルヴィはリック・パーネルとともにこのアルバムを以って脱退し、イビス(IBIS)次作のセルフ・タイトル・アルバムはこじんまりとしたものになってしまいました。5th「UT」から展開してきたニコ・ディ・パロのハード・ロック色、本人はもう限界を感じていたのかもしれません。
イビス(IBIS)2ndのセルフ・タイトル・アルバム4曲目「時は過ぎて(Passa Il Tempo)」、6thアルバム「Atomic System(アトミック・システム)」エンディング曲「バタフライ」、お互いに軽快なポップ・ソング、類似点が指摘されています。
メンバー4人が交代に映し出されるこのPVはちょっといただけませんが・・・。2ndアルバム発売後イビス(IBIS)は解散、ヴィットリオ・デ・スカルツィとの和解に向かうことになります。