真珠貝はおいしいのか(後編) | お客さん、終点です(旅日記、たこじぞう)

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よく居眠りをして寝過ごしてしまう旅人の日記。みなさんが旅に出るきっかけになればと思います。(旧題名のたこじぞうは最寄りの駅の名前)

(続き)

プレゼントはできなかったが、2階のレストランで食事をした。「真珠定食」というランチにはアコヤガイの貝柱の炊き込みご飯、醤油煮などがついている。

博物館の人に質問したところ、見はあまりおいしくないと言っていたが、貝柱は地元では高級珍味とされているそうだ。

食べてみるとおいしい。ネット記事に食感はコリコリしていると書かれているのを見かけたが、このお店では柔らかく煮てある。

 

 

伊勢神宮にも訪れた。

伊勢には市内にある映画館に大阪で見逃した映画を見に来ることがあって、年に1回くらいの頻度で外宮にお参りするのだが、この日は「せんぐうかん」という式年遷宮に関しての資料館を見た。

 

式年遷宮は1300年前に天武天皇の発意によって始まり、2013年の遷宮は62回目だった。

遷宮では内宮、外宮のすべての社殿、装束や神宝の作り替えが行われる。

この大規模な行事が行われるようになった理由には諸説あるが、一つには技能伝承のためというのがある。

身近な例で思い出すのは、僕の勤めている会社でも40年ぶりに設備を更新したことのことだ。さすがに40年も空いてしまうと前回の経験者がいなくなっていて、外国企業の技術者を招聘したという話を聞いた。

 

 

伊勢神宮では遷宮が終わった後も、約30名の技能者を常勤の職員として残し、本殿遷宮の終了後12年目には、「御杣始祭(みそまはじめさい)」という儀式があり、次の遷宮のための木材の切り出しが正式に開始される。

 

解体後の木材は神宮の末社の修繕に使われたり、全国の神社に無償で提供されたりする。今風にいえばSDG‘sなやり方だ。

 

気になる費用だが、前回の遷宮は550億円かかったそうだ。安くはないが高いかどうかは見方にもよるだろう。

ある10万人規模の市のホームページに、公共施設の建て替えや改修に使う予算が年平均で約20億円という記事が載っていた。これを20年にすると400億円だ。

 

 

博物館には、原寸大の社殿の一部が展示されている。様式は「唯一神明造り」と呼ばれる。多くの神社の社殿の様式が、仏教建築などの影響を受けているなかで、神明造りは弥生時代の穀倉の形を模した様式なのだそうだ。

 

伊勢神宮は日本を象徴する存在だが、僕が感じたのはむしろ南の島々との文化的なつながりだ。例えばマダガスカルのある地方にも高床式で、屋根に千木のようなものを載せた家屋がある。

マダガスカルの人々は1000年から2000前、現在のインドネシア、ボルネオ島のあたりから何らかの理由でインド洋を渡ってきた人々をルーツにしていることが言語学的な調査でわかっている。また、マダガスカルの人々はコメを主食とし、現代の日本人の一人当たりで2倍ものコメを消費している、

高床式の家屋や倉庫は、長江より南の大陸や東南アジアなど湿地の多い地方を起源とし、そこから稲作の普及もあり各地に広まったようだ。(これとは別に北方起源の高床式の建築もある。)

 

なので、この社殿と共通点を持った建築様式の建物は他にもある。ただ、1000年以上前の技術が洗練された形で、今でも伝承されているということは稀有なことなのだと思う。

 

 

 

伊勢志摩の旅は楽しかった。

鳥羽では水族館に立ち寄った。妻はジュゴンのセレナと10何年かぶりに再会をした。アフリカからやってきたマナティーは人懐っこく。作業をする飼育員さんにちょっかいを出している。