課外授業の移動中に
今日は、小学校の課外授業らしい。
見た所、3~4年生くらい。
なぜか信号付近でちびっ子達が立ち止まっている。
で、一グループごとに、少しずつ移動している。
一体どこに向かっているのか?
僕は右折レーンにいたからそんなに気にも止めなかったけど、
ちびっ子達は信号で止まっている車に向かっては、手を振って何か言っている。
僕は、窓を少し開けてみた。
よく聞くと「お早うございま~す」と言っている。
僕の隣で止っている車の方が手を振り返している。
助手席のご夫人からは笑みが浮かんでいる。
その後ろの営業車の方も、ニコニコしながら手を振っている。
牧歌的といえば牧歌的。
でも、ちょっと気が散って危なくない?
一つのグループが僕のほうに手を振り出した。
お~い、ちょっとやめておくれ。おかしな事をするな。
思いっ切り「お早うございま~す」と言っている。
今日は、何の課外授業なんだ。
速やかに、目的地に向かって移動せよ。
直進レーンの車が進みだした。
僕は完璧にちびっ子達と目が合ってしまっている。
ある意味、蛇に睨まれたカエル君状態である。
手を振らないと、飲み込まれそうだ。
このままではいけない。
右折レーンの車よ、早く進め!と心を込めて念じる僕。
でも車は進まない。
こんな交通量の少ない道路なのに、今日に限って進まない。
げっ、信号が変わった。あり得ない。
「お早うございま~す」の声にまじって
「あっ、おっちゃ~ん。どこ行くの~!今日、お店にいくからね~」
という声がはっきりと聞こえてくる。
その声に気づいて何人かの子どもが
「あ~、ぱふ(地元では僕の店は、ぱふと呼ばれている)のおっちゃんや!お~い」
(「お~い!」って、僕を呼んだところでしょうがないやろが。やめてくれ!
早く、目的地に向かって移動しなさいって言うの)
僕は、ちびっ子達から視線をはずし、
全然気がつきません、という姿勢をとることにした。
しかし、僕は長年、武道をしていた。多分、その影響で、変に視野が広い。
特に動くものに対しては敏感に反応する。
八方目というやつだ。
先生が笑いながら、危ないから早く行きなさい、といった仕草をしているのが、目に入る。
もっと、びしっと「事故につながったら危ないから、おふざけはやめなさい」と言ってよ。
ところで、右折レーンを曲がった瞬間、
車はまたもやふん詰まり状態だった。
道路工事だった。
しかし、工事中でもこんな田舎町で、渋滞はあり得ない。
僕は取って返し、ちびっ子達を追い抜かし、抜け道へと向かった。
ちびっ子達は、もう車には目もくれずに歩いていた。