子は親をみて育つのか?
台所にいる家内にツツツ~と、ひょろ長い影が忍び寄った。
「ひええ~」と、天を引き裂くような悲鳴が・・・
・・・あがらない。
ひょろ長い影が言った。
「ねえねえ、おかーさん。今日、就職セミナーに行ってきてんな」
長男である。
「そう」
「ほんでな、セミナーに出る前に蕎麦屋に寄ってん」
「へぇ、何食べたん?美味しかった?」
「ざるそばにしてみてん」
「ほぅ、ざるそば!」
「はいな、こんな暑い日はざるそばが美味しいねんな」
「なるほど」
「落語みたいに、少しだけ汁に蕎麦を浸けるんじゃなく、たっぷり浸けんねん」
「ワサビも入れて」家内が仕草をしながら言った。
「ちょっと鼻につ~んとくるくらいがいいねん」
「確かに」
「なかなか、いける蕎麦屋やったわ」
「蕎麦湯、してもろた?」
「蕎麦湯って?」
「知らないの?美味しいのかどうなのか微妙なやつ」
「ふ~ん」
「何か、私も食べたくなってきたな。ざるそば」
「僕は、天ぷら蕎麦が食べたいな」
長男はそう言って、満足そうにリビングに戻って言った。
その一部始終を見ていた僕は、思わず声なき声で叫んだ。
「お~い、そこかい!」
僕はカウンター越しに家内に言った。
「ねえねえ、R(長男)の話の続きは?」
「へっ?」
「いやいや、蕎麦の話じゃないでしょよ」
「あっ、就活の話だ」
「・・・」
「R~~!」
と気づいた長男が足早にやって来た。
で、しばしセミナーの話。
長男曰く。「訳のわからん企業ばかりやってん。ピンとこんわ。何だかねえ~」
「あらまっ」と、家内。
「そうや、○△寿司が来てたで。何か場違いやったで。
でもな、一応人事の人から話を聞いてみてん」
「それで?」
「『よく利用させて貰っています』って言ったら、何か喜んでたわ。
気を使う人やったわ。あんなに気を使わすような人事、あかんで」
あんたがボケかましてたんちゃうんか・・・と、僕は思う。
「で?」と、笑いを堪える家内。
「『頑張ってくださいね』と言うといた」
「それだけ?」
「うん、それだけ」
ダメだなこりゃ。
何とか就職しなくちゃという姿勢は微塵もないな。
家内は家内で、蕎麦話で完結しているし。
全ては私目の不徳の致す所だ。
かつて、鉄砲玉のKenと異名をとった僕だが、
成穂堂家の面々のお気楽さには到底敵わない。
これからの成穂堂家はどうなっていくのだろう?
「ひええ~」と、天を引き裂くような悲鳴が・・・
・・・あがらない。
ひょろ長い影が言った。
「ねえねえ、おかーさん。今日、就職セミナーに行ってきてんな」
長男である。
「そう」
「ほんでな、セミナーに出る前に蕎麦屋に寄ってん」
「へぇ、何食べたん?美味しかった?」
「ざるそばにしてみてん」
「ほぅ、ざるそば!」
「はいな、こんな暑い日はざるそばが美味しいねんな」
「なるほど」
「落語みたいに、少しだけ汁に蕎麦を浸けるんじゃなく、たっぷり浸けんねん」
「ワサビも入れて」家内が仕草をしながら言った。
「ちょっと鼻につ~んとくるくらいがいいねん」
「確かに」
「なかなか、いける蕎麦屋やったわ」
「蕎麦湯、してもろた?」
「蕎麦湯って?」
「知らないの?美味しいのかどうなのか微妙なやつ」
「ふ~ん」
「何か、私も食べたくなってきたな。ざるそば」
「僕は、天ぷら蕎麦が食べたいな」
長男はそう言って、満足そうにリビングに戻って言った。
その一部始終を見ていた僕は、思わず声なき声で叫んだ。
「お~い、そこかい!」
僕はカウンター越しに家内に言った。
「ねえねえ、R(長男)の話の続きは?」
「へっ?」
「いやいや、蕎麦の話じゃないでしょよ」
「あっ、就活の話だ」
「・・・」
「R~~!」
と気づいた長男が足早にやって来た。
で、しばしセミナーの話。
長男曰く。「訳のわからん企業ばかりやってん。ピンとこんわ。何だかねえ~」
「あらまっ」と、家内。
「そうや、○△寿司が来てたで。何か場違いやったで。
でもな、一応人事の人から話を聞いてみてん」
「それで?」
「『よく利用させて貰っています』って言ったら、何か喜んでたわ。
気を使う人やったわ。あんなに気を使わすような人事、あかんで」
あんたがボケかましてたんちゃうんか・・・と、僕は思う。
「で?」と、笑いを堪える家内。
「『頑張ってくださいね』と言うといた」
「それだけ?」
「うん、それだけ」
ダメだなこりゃ。
何とか就職しなくちゃという姿勢は微塵もないな。
家内は家内で、蕎麦話で完結しているし。
全ては私目の不徳の致す所だ。
かつて、鉄砲玉のKenと異名をとった僕だが、
成穂堂家の面々のお気楽さには到底敵わない。
これからの成穂堂家はどうなっていくのだろう?