レトロショップ成穂堂ケンの苦悩と爆笑の日々 -246ページ目

街に潜むもの

21時過ぎ、店を出ようと内側からシャッターを開けると、

「わっ!」という子供の声がした。

僕はビクッとした。

声の方を見ると、店の角で姉弟らしき二人が、棒立ちになっていた。

年の頃は姉14歳、弟12歳と言ったところか。

どうしたのか?と尋ねると、

「あっ、ちょっと、そのびっくりして」と、姉らしき子が言った。

「突然シャッターが開くなんて思ってなかった?」

子供達は頷いた。

弟らしき子の手にあるスマホが青白く光っていた。

僕が「ポケモン?」と尋ねると、「はい」と。

どうやら、何かを捕まえたらしい。

この同じ場所で、3、4度同じような光景を見ている。

「昼間は暑いだろうけど、だからと言って、あまり夜には出歩かない方がよい」

と、その子達に言って、僕は駐車場に向かった。

店の角の電柱あたりに何かがいるのだよなあ。

ゲームだと思っていたら、そこに潜んでいるのが魑魅魍魎なんかだと怖いぞ。

異形の魍魎たちが無防備な人間どもを異世界に引きずり込み、頭から喰らわんと狙っている。

ひょっとすると、見目は人そのものかも知れない。

魑魅魍魎はどこにでもいる。

現実と架空の判断が出来なくなった人間は正に格好の餌食になる。

この世は人の思考が現実化したものだ。

ゲームもよかろう。多少、羽目をはずすのもよかろう。

持つべきは、確固なる信念だ。そして、慈愛だ。

子ども達をどう育てるかは親の役目と共に社会の使命でもある。


振り返ると先ほどの姉弟らしき影はもうなかった。