10月9日(火) 快晴
7時過ぎには起きただろうか。滞在先のチビたちが走り回る音が聞こえる。疲れていたのもあり早めに寝落ちして、すっきりしている。我々が来たこともあるのだろう。アメリカ式のパンケーキでもてなしてくれた。在米時を思い出す。もっとも在米時の朝食は、自分でつくった炊き込みご飯おにぎりの冷凍レンチンをかじりながら教室でコーヒーをすすった。そういう意味では、経験していないアメリカなのかもしれない。
朝9時半過ぎ、車を借りて、保険をかけてドライブへ。行き先は決めていないが、とりあえず北部へと流すことにした。沖縄本島のどこからどこまでが中部で、どこからが北部なのか分からない。恩納村は中間あたりの印象である。
沖縄の、とくに那覇ではない場所での運転は楽しい。ペーパードライバーまでは言わないが、普段、車に乗らなくてもできる生活圏にいる。だから、蒼い空、碧い海になびく側道の南洋の葉々を見ながらの運転は本当に楽しいし、気分転換になる。ところどころ、車を止めて、海を見ながら北を目指す。友人の背中が、ものいわず海と対峙している。時間にして十数分は佇んだだろうか。この茫漠とした青さを、古代中金東の人間は「下の水と上の水」として、海と空を表現した。紅海の青さを思えば理解できようものである。
何も考えていなかったが、途中でブセナのグラスボートと水中塔を見に行こうと思い立ち寄る。しかし台風の影響で、しばらく休止とのこと。残念。その後、走らせていると御菓子御殿の工場があったので、そこに入り、紅芋ソフトクリームを食べる。あちらに見えるのは、何島なのだろうか。
このまま北上すれば、沖縄自動車道の終点と合流し、許田I.C.を超えて、名護に入っていく。許田ICは天ぷらとタコスが美味いことで有名だ。また名護の入り口には、ブルーシールアイスクリームがある。ついでに目に止まったので、名護のA&Wでルートビアをジョッキでグビリと一杯。うまい。京阪神ではすでに秋の気配もしていたが、夏である。
再び車を走らせて、本部を経由しながら美ら海水族館へ。休暇に来ている友人は眠いらしく、助手席でシートを倒して横になっている。少々もったいない気もしたが、起こすのも悪いので、車を走らせる。右手に開発される島、左手には、まだかろうじて青さを残す海。左右は別にして沖縄海岸部を走るときによく見かける光景だ。
水族館の駐車場に入ったと思ったら、その手前の植物園だった。歩いても知れているので、そのまま水族館へ。水槽をつくる技術がなければ、このような水族館はできない。従って、今後は違うだろうが、それでも先進国の僅かな地域でしか、このような生態展示は行えないのだ。そういう意味で、水族館はまだまだ貴重である。
平日ながら、おそらく中国人、または東南アジアから来た人々が多い。東南アジアの人々にいたっては、わざわざ沖縄に来なくても美しい海と森は彼らのものではないかと思うのだが、謎である。もっとも友人によれば、一人っ子政策の中で、子どもを連れている中国人家族というのは、やはり教育熱心なはずだと。できるだけ色々なものに触れさせようとしているのではないか、とのこと。なるほど。
オタク心をくすぐる器械類、ジンベエザメ、そして映画MEGのモデルたるメガロドンの口蓋骨格模型なども観たので満足して、園内の休憩所にて昼食。沖縄そばとベーコンチーズなんちゃらを食べた。
体力があれば、今帰仁城址へ案内しても良いと思ったのだが、友人氏、持病の腰痛がどうにも痛いらしいので名護へと戻り、TUTAYA2階のマッサージへと向かった。その間、僕は眠気覚ましのため車中で仮眠。その前に店内手洗いにスマホを忘れたので、ちょっと焦ってしまった。
16時半、友人氏と再び合流。マッサージ屋は、民家としてのマンションの一室だったらしく、おっさんがカップラーメンをつくる様子を待合の間に見たらしい。希有な経験だ。笑ってしまった。
名護にある古本屋Book Areaを訪問。記憶違いでなければ、一度来たことがある。が、あまり覚えていない。来てみると、なかなか面白い本屋だった。きっと名護市におけるサブカルチャーの拠点なのだろう。品揃えと積み方に、矜持が感じられた。ぼくは、タイトルに惹かれて、エリック・J・リード『旅の思想史―ギルガメシュ叙事詩から世界観光旅行へ』 (叢書・ウニベルシタス、1993)、池澤夏樹『南の島のティオ』、アンソロジー漫画『日本ふるさと沈没』を買った。
帰り道、かりゆしを買おうにも暗くなってきたので恩納村へ。どうやら事故渋滞だったらしく、名護市役所の前あたりから、恩納村に戻るまで、約1時間半かかった。
帰宅すると、夕食は、手製のナンとチキンカレー、サモサが振る舞われた。このカレーとサモサが本当に旨かった。その後、読書会に参加。友人氏のコメントと読みは、さすがという感じであった。化学の博士も交えて雑談をして、12時半には寝た。無事に二日目も終了である。