
著者: 湯本 香樹実
タイトル:
夏の庭―The Friends
この本は、本屋で見るたびに買おうか、買うまいか、ずっと悩んでいた作品。
なぜか、買うのは躊躇してしまうので、図書館で借りて読んでみました。
感想を書く前に、まず、ちょこっと前置き。
昨日、感想をupした田辺 聖子さんの
『ジョゼと虎と魚たち』の感想は、辛口でしたが、
『夏の庭―The Friends』の感想は超甘です。
私は、評論家ではないので、作品を楽しむとき、作品自体の出来とかよりも、作品の世界にどれだけ共感できるか?というところで味わっている気がします。
『ジョゼと虎と魚たち』は、大人の恋愛(?)の小説だったように思いますが、私はあまり恋愛小説が好きでなく、他人の恋愛に全く興味がないので、ちっとも面白く感じられないのです。
なので、私が読むべきではない作品だったわけで、作品の選択ミスであり、作品自体の優劣を言っている訳ではないので悪しからず。
『夏の庭―The Friends』は、子供のころの実体験(祖父母の死)に、ズバッとはまってしまって、もう、駄目でした。号泣!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あらすじは、仲の良い友達三人組(小学6年生)が、死にかけているおじいさんが死ぬところを発見しようと、探偵のように、おじいさんを見張ることにします。
毎日、おじいさんの家を見張り、おじいさんが出かければ尾行します。
もちろん、それはおじいさんにもバレ、級友たちにも知られることになります。
子供らの思惑(死ぬところを発見する)とは逆に、おじいさんは、見張られていることで、どんどん元気に生き生きとしていきます。
家の周りにはゴミの山、草ぼうぼう、壊れた家に住んで、生きてるか死んでるかわからなかったおじいさんが、子供らと共に庭を片付け、庭に洗濯物を干し、家を直し、おじいさんも規則正しい生活をはじめます。
子供らは、おじいさんと共に、生活に必要な知恵を身につけていき、色々なことを語り、成長していきます。
庭に山ほどのコスモスの種をまきますが、おじいさんはコスモスが咲くのを待たず、死んでしまいます。
皆で一緒に食べようとぶどうを洗い、3人の子供らが来るのを待ちながら、眠ったように、死んでしまいます。
最初は死ぬということが分からなかった彼らも、成長しているので、『死』というものを厳粛に受け止めます。
そして、彼らは、「もしおじいさんだったらどう言うだろう?」と、考え、答えを探す。
そして、怖かったお化けも、もう、怖くない。だって、あの世に知り合いがいるのだから。
子供から大人になっていく成長の物語。
なにが良いって、おじいさんと子供らの交流が素敵だ。
おじいさんは、最初は気力を失っていて全然パッとしなかったけど、実は、なかなかかっこいいのだ。
花火もあげられる。けっこうなんでも出来る。
楽しい思い出も、悲しい過去も持っている。
子供らのことも、見てないようで、ちゃんと見て、理解してくれてる。
子供らと打ち解けていく、その関係が、素敵なんだ。
でも、おじいさんは死んでしまう。あっけなく、死んでしまう。
私は、自分の祖父母を思い出す。
大好きだったおじいちゃん、おばあちゃん。
死んでしまった。私を置いて・・・あっけなく。
心にあいた空虚。
でも、人生のあちこちで、励ましてくれる、見守ってくれる。
もういないけれど、今でも心のどこかに生きていて、誰よりも近くで守ってくれる・・・とても大切な人たち。
死というものを、ちょっと近くに、怖い、悲しいだけでなく、真正面から向き合わせてくれる素敵な作品でした。