横溝先生のエッセイ。新聞の連載だったみたい。時は昭和51年。犬神家の一族の公開直前くらいのタイミングのようで。当時の世間の熱中具合、角川の辣腕、一方での先生の戸惑いではないな、淡々と状況を他人事のように見ながらの普段の生活感がいいなあ。戦後書かれた小説がだんだん読まれなくなり、また復活し大ブームになるという流れがすっげーな。昭和30年代は社会派ミステリーが全盛となって、ホラーファンタジー的探偵小説は落ち目に。でも終わらなかった。昭和44年くらいからヤングによる盛り上がりで復活。文庫が飛ぶように売れて、どの本も100万部以上ってスケールがすごいよなあ。小説に関しては選択肢も今とかわらず、いや今以上にあっただろうに。すっごい金持ちになったと思うんだけど。そういう姿がほとんど描かれてない。いいとこ、軽井沢に別荘もって成城に住んでるってだけ。別荘はまだしも、成城は当時は大したこともなかっただろうなあ。ますますもって、先生、庶民だったんだなあ、だから金持ちをあそこまでキチガイのように表現できたのかもななんて思う。勢いのある昭和を体験できたのがうれしい。おもしろかった。