この作家は三冊目。今回のは直木賞とったやつ。熊。時代は明治初期の北海道。なんでだろう、ついつい熊の話って読みたくなっちゃうよ。多分、熊の残虐性というよりも人を寄せ付けない圧倒的な存在、破壊王、その前では生きることを諦めざるを得ないというようなあたりに惹かれてるんだと思う。熊と対峙する主人公は熊爪。生まれてほぼ山の中で過ごし人との接触も極めて少ない。相棒は名前をつけていない犬。もちろん、それ以外になにもない。時々鹿やら収穫物を町に売りに行き、米や酒を買う。その店の人との僅かな付き合い以外はすべて孤独。遠くから来た手負いで冬眠に入れなかった羆を狙い、大怪我を負い、結果的に他の赤毛のより大きい羆に助けられる。そして赤毛を討つことに丹念する。なぜ?同じ山に住むものだからとしか言えない。今回は仲間同士で殺し合う鹿、そして羆、熊爪と女房と同種で殺し合う。ともぐい。それはなぜ?いや、それが自然なのか?ちょっと哲学的なところが腹に落ちはしないけど、まあ、山のことを俺が理解できるわけもないと思わせられる、説得力がなんかあった。生命力ってやつをあらためて実感する話でした。おもしろかった。