24/06/13 小路幸也 ラプソディ・イン・ラブ | ptureのブログ

俳優を生業とする家族の物語。この作家だもん、家族の小説に違和感は全くないはずなんだけど、。複雑な家族の話だってこれまでたくさん読んできたんだけど。また、ひねってきたよ。大御所の男優、離婚した元妻は40年前に引退してもいまだ存在感を残す元女優。その二人の息子で現在、屈指の名バイプレーヤーと評価される50代の男優。母親が異なるけど、兄と父を尊敬する新進気鋭の若い男優。そして彼の新婦で評価の高い若い女優。このメンバーが数週間一緒に暮らす。映画のために。その暮らしぶりを映画にするという。台本はほぼなし。ただただ自然に。でも監督は各自、爆弾を一つ用意してそれを投げ込むこととだけ指示をだす。なるほど、場面を変える、いや作り出すわけか。楽しげな生活が続く。でも、その後ろにカメラがあってマイクがあるわけか。今回は家族感よりも演技、役者というところだった。役者の演技は実は緻密な計算も入り込むときもある。時には中から沸き起こり、まさに感性が勝負のときもある。すげえ。演技なんてよくわからんし。ああ、このキャラクタに思い切り引き込まれたとか、このキャラクタの印象がすごい深いとは感じることはあるし、それが俺にとってのいい役者かどうか。でもその理由は全く考えたこともなかった。理由ってやつをこの小説では明確に記してる。役者という仕事はエンターテイメントのためであり、直接人のためにある仕事ではない。でもその奥はとてつもなく深い。あらためて考えさせられたなあ。太古からある仕事でどの時代でももっとも称賛を得られる仕事なわけだ。いやあ、おもしろかった。