24/02/06 福島太郎 光流るる阿武隈川 | ptureのブログ

相変わらず福島愛に満ちた小説。今回は安達郡東和町が舞台。主人公の里美ちゃんは元気な小学生。家族のみんなが大好きで特におばあちゃん。おばあちゃんはお店をやってる。ここには近所の小学生たちが集まって私設の学童保育みたいになってる。これはすごい。周りの大人達もそれを知ってて、気にかけてるからとても安全。里美ちゃんもいつも訪れる。子どもたちはこの店で雑誌の付録で遊ぶのが大好き。雑誌そのものは返品対象だけど、付録は違うんだって。知らんかったな。小さい子も大きい子も一緒に遊んで、その過程で料理を覚えたり、端切れで着飾るのを覚えたり。なんとも素敵だ。大きな自然に囲まれて、町全体が一体となって子どもたちを育ててる印象。この世の楽園だよなあ。もう、この出だしだけで満足だよ。近くには阿武隈川。智恵子抄の詩が時々顔を出しながら話はどんどん進む。ふくしま国体が開催されるのを契機に里美ちゃんはカヌーを覚え、そして世界選手権で入賞する。お、サクセスストーリーの話かと思ったら、選手を引退して結婚して、おばあちゃんが死んだあとのお店を引き継ぐ。夫は東京での会社をやめて家族で東和町に移り住む。そして地場の会社に再就職。そこは絹織物の会社。なるほど、福島は絹がすごかったのか。そしてその会社はプラダと取引を始める。なんとも大河ドラマみたいなところはこの作家の真骨頂。目まぐるしいんだけど、乱雑でなくシンプルな味わい。おもしろかった。