側道というお坊さんが主人公の話。結婚してて奥さんと二人暮らし。子供は流産していしまっていない。東北の小さな町にお寺がある。街の人との関係は良好。街のお寺のお坊さんということでみんなに慕われてるみたい。街にはおがみやと呼ばれるおばあさんが住んでる。予言がよく当たる。探しものがでてくる。だからおばあさんを街の人は頼りにもしてる。でもおばあさんは愛想はめちゃ悪い。周りの中には新興宗教的にあつかってる人もいる。そんなおばあさんが自分の死を予言し、そして病院で死んだ。静かに主人公は何かを断定せず、どなることもなく、人の言葉を受け入れ、どんな質問にも賢明に考え答える。結構、宗教的ではないオカルトチックな話もがんがんでてくるのがおもしろい。お坊さんってそんなことも考えてるのか。お坊さんは憑きにくいとある拝み屋さんに言われる。思想に粘着度がないからだって。それ聞いて喜んでる。この奥さんの行動が一見ファンキーだった。紙縒りを来る日も来る日もただひたすら作り続ける。そしてある日、それを編み合わせて大きな大きなきれいな網をたくさん作る。生まれてこなかった子供のため。その子のために側道さんに拝んでもらうため。綿菓子みたいにふわふわした話に感じた。まあ、それがこの作家の場合は心地よいところがあるんだけど。宗教、オカルト、超常現象、真実、事実。なんかどれも見えたら感じたらありだよ、ただそれだけって言ってる感じがした。もう一話はいってたけど、こちらはコンビニで働く女性の話。強姦された娘に冷ややかな眼を向ける母親の描写。とても悲しくなるなあ。こちらの話は地に足がついてるけど、やるせないなあ。芥川賞受賞作なんだ。確かにそんな感じ。楽しみました。