お、おもしろいじゃないか。主人公の春子さんは、プロ野球で主に二軍にいる拓さんの奥さん。二軍のグラウンドがある地方のマンションを賃貸で住んでいる。この二人が気負わないいいカップルなんだ。旦那の拓は明るく大食いで、野球の成績は時々一軍に読んでもらえるけど、また二軍に戻ったり。それでも同じチームの若いスター選手からの人望も篤い。春子さんは拓が大好きで、翌年、チームが契約をしてくれなかったら、自分が看護婦に戻って彼をささえようと、いつも覚悟してる。いやー、プロ野球選手はほんと、大変だなあ。翌年の保証が全くないってのが、小説全編からひしひしと伝わってくる。それでも明るい二人を見てるとほんわかしてくる。それでいて話は一応ミステリー。日常のさりげないというよりはもう少し犯罪。奥さんの拉致だとか、組織だった窃盗軍団だとか。最後の話は往年のスター選手の奥さんと春子さんが知り合い、実はスター選手には隠し子がいて、その人は知的障害。そのお母さんはもう死んでしまった。でも残った写真には野球のユニホームすがたで写っていたという、ちょっと切ないながら良いお話。プロ野球の二軍の選手ってだけでも十分な小説のネタになっちゃうのに、これでもかっていうくらいにいろんな要素をほうりこんじゃった、実はゴージャスなのではないだろかって小説だよ。そんだけ並べちゃうと、どこかで破綻しそうなもんだけど、そんなこともなく、きっちりしてる。それと出てくるキャラがみんな立ってるし。続編あったらすぐ読みたい系。