22/12/20 周木律 猫またお双と消えた令嬢 | ptureのブログ

終戦後5年ほどたった時代が舞台。猫またのお双と一緒に暮らす主人公で帝大学院生の隆一郎。この二人が元華族一家の令嬢予告誘拐事件に巻き込まれ、そして解決するストーリー。自身を魔術師と称して次々と小物をだしたり、消したりする犯人。うん、江戸川乱歩の少年探偵へのオマージュだなあ。窓から覗く怪しいピエロ、闇夜に横切る黒い影なんてのもある。いいねえ。ストーリー展開と犯人はとてもわかり易いので、ミステリとはいえない。なので、ちょっと単調というかもったり感を感じたかな。お双さんはえらく歳をとってはいるんだけど、あくまで少女としての位置づけ。事件の推理はあくまで隆一郎さんの仕事というあたりはある意味斬新かも。普通、老練なほうが知恵はあるだろうにね。戦後、だんだん落ち着いてきて人々の活気が戻り都市が動き出してるという感じを味わえる。あんまりそういうシーンはないんだけど、なんでだか。このふたり、これからもっとキャラ付されていくんだろうな。そしたら、小説はもっと盛り上がるかもしれない。楽しみました。