今日は国家試験対策メルマガに書いた内容を転記します。
こんな内容が書いてありますよ~ってのがわかってもらえれば幸いです。
だいたいは過去問の解説をpdfで送っていますが、今回は文章だけで送りました。
以下です・・・
今日はある生徒さんからの質問に答えます。
このように、質問に答えるというのはとっても的を得ます。
一人の質問をみんなで分け合うことが合格への近道です^^
みなさん、遠慮せずにどんどん質問を下さい。
さて、今日はpdfではなくこのメルマガに書いていきます。
慢性心不全ですが、最近の高齢化によって増えている疾患です。
心臓手術の進歩により、低心機能の方がリハビリの対象になっていることも一因でしょう。
臨床に出れば必ずいます、主病名ではなく、既往歴に『慢性心不全』がある人は必ずいます。
そのとき、何を考えてリハビリをするのか、簡単にですがお話します。
まず、適応です。
『安定期にあるコントロールされたNYHAⅠ~Ⅲの心不全症例』
とされています。
ここで、安定期にあるとは、少なくともここ2週間くらい心不全の自覚症状や身体所見の増悪がないことをいいます。
そして、コントロールされたとは、体液量が適切にコントロールされているということです。
具体的には中等度以上の下肢の浮腫や肺うっ血がないこととされています。
NYHAとは、New York Heart Associationのこと。
ナイハとかニイハとか読まれる分類です。
おそらく心不全の分類では一番有名でしょう。
Ⅰ度:無症候性 心疾患はあるが、通常の身体活動で症状なし
Ⅱ度:軽症 普通の身体活動で疲労感、呼吸困難、動悸、狭心痛などが出現する
Ⅲ度:中等症~重症 普通以下の身体活動で疲労感、呼吸困難、動悸、狭心痛などが出現する
Ⅳ度:難治性 安静時でも呼吸困難を示す
とされています。
他にも心不全にはForrester分類やKillipの分類などがありますが、国際的にも一番使用されているのはNYHAClass分類です。
運動療法の適応は以下のように言われています。
絶対禁忌
●最近3-5日間で安静時・労作時の運動耐容能または息切れが進行性に増悪
●低強度での明らかな虚血(2Mets以下)
●コントロール不良の糖尿病
●急性全身疾患または感染症
●最近起こった塞栓症
●血栓性静脈炎
●活動性の心膜炎または心筋炎
●中等度から高度の大動脈狭窄
●外科治療を必要とする逆流性弁膜症
●3週間以内の心筋梗塞
●新たに発症した心房細動
相対禁忌
●最近1-3日間に体重が1.8kg以上増加
●持続的または間欠的ドブタミン治療中
●運動による収縮期血圧低下
●NYHA class Ⅳ
●安静時または労作時に危険な不整脈の出現
●臥位安静時心拍数100/分以上
●以前より有する疾患の状態
要は、上で述べたように安定している、コントロールされている、この2つを満たしていない場合は禁忌とされています。
運動療法は
①ウォーミングアップ
②有酸素運動
③ウェイトトレーニング
④クールダウン
と大きく分けるとこんな感じです。
ウェイトトレーニングについてはまだ賛否の分かれるところですがね^^;
リスク管理は血圧や脈拍、SpO2などが上げられます。
可能であれば特にリハビリ開始初期は心電図を使用した方がよいでしょう。
慢性心不全に特徴的な波形というのはありませんが、慢性心不全を起こすに至った疾患(心筋梗塞や狭心症など)の管理として有効です。
もっと言えば呼気ガス分析装置を用いて運動負荷試験を行うのが一番ですが、それを許す施設というのはかなり限られてくるでしょう。
運動の負荷としては
●AT(無酸素性代謝閾値)レベル
●最高酸素摂取量の40-60%
●安静時脈拍+10~20
などが言われています。
ATは運動負荷試験をしないといけません。
最高酸素摂取量も同様です。最高酸素摂取量の40-60%とが概ねATレベルとされています。
Karvonen法を用いて計算することも可能ですが、βブロッカーを使用していたり、安静時から脈拍が多い患者では正確な数値が計算できないことがあります。
Karvonen法は
(最大心拍数-安静時心拍数)×k+安静時心拍数
です。
慢性心不全ではk=0.3~0.5とされています。
運動療法の効果としては以下のような項目があげられています。
●運動耐容能:改善
●心臓への効果
左室機能:安静時左室駆出率不変または軽度改善、運動時心拍出量増加反応改善、左室拡張早期機能改善
冠循環:冠動脈内皮機能改善、運動時心筋灌流改善、冠側副血行路増加
左室リモデリング:悪化させない(むしろ抑制)、BNP低下
●末梢効果
骨格筋:筋量増加、筋力増加、好気的代謝改善、抗酸化酵素発現増加
呼吸筋:機能改善
血管内皮:内皮依存性血管拡張反応改善、一酸化窒素合成酵素(eNOS)発現増加
●神経体液因子
自律神経機能:交感神経活性抑制、副交感神経活性増大、心拍変動改
換気応答:改善、呼吸中枢二酸化炭素感受性改善
炎症マーカー:炎症性サイトカイン低下、CRP低下
●QOL
健康関連QOL改善
●長期予後
心不全入院減少、無事故生存率改善、総死亡率低下
心臓の機能の改善が少なくても、たくさんの有益な効果が得られることが分かりますね^^
そして、運動療法中に以下のようなことがあれば一旦中止、場合によっては内容の変更を検討します。
●著名な息切れまたは倦怠感(Borg scale14以上)
●運動中の呼吸数40/分以上
●Ⅲ音または肺ラ音の出現
●肺ラ音の増強
●Ⅱ音肺動脈成分の増強
●脈圧の減少(収縮期、拡張期の差10mmHg未満)
●運動中の血圧の低下(10mmHg未満)
●運動による上室性または心室性期外収縮増加
●発汗・蒼白または意識混濁
運動療法中に重篤な心事故が起こる確率はかなり少ないですが、いざ起こったときに何が起こったらどうするのか、知っておかないとアタフタしていては恥ずかしいですからね^^;
PTとして管理したいのは体重と浮腫みです。
体重が短期間に急激に増えるというのは心不全の徴候とされます。
しかし、その前に体の浮腫みが起こりますので浮腫みの変化を把握しておくことも重要です。
少し長くなってしまいましたが、心不全の運動療法について書いてみました。
僕の専門分野でもありますので、少し熱がこもってしまいました^^;
また質問があれば気軽にどうぞ☆