運動時の心血管反応 | リハビリに注ぐ少々のスパイス

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臨床での疑問をもとに、色々なことを書いています。
教育にも興味があるので、少しでも多くのセラピストのためになる記事を書きたいと思っています。

今日は運動生理学的な内容です。
それほど目新しい内容ではないと思います、気楽に読んでください^^

運動すると、筋肉は多くのエネルギーを必要とします。
でも、筋肉にはあまりエネルギーの貯蓄がないのです。
あっ、エネルギーとはつまりATPのことです。
ATPを加水分解したときに発生するエネルギーを利用しているので。

貯蓄が無いので、筋肉はエネルギーを生産する必要があり、その生産経路には大きく分けて3つあります。

●クレアチンリン酸(CP)の分解を利用したATP-CP系
●グリコーゲンの分解による解糖系
TCA(クエン酸回路)と電子伝達系

以上の3つです。
ATP-CP系とはATPがADPとリン酸に分解された時に発生するエネルギーを利用する系です。
これは持続時間が短いですが、最も速くエネルギーを生み出す方法です。
だいたい8秒くらいしかもたないとされています。

解糖系は有名ですね。
詳細は割愛しますが、ATP-CP系同様無酸素性のエネルギー生産方法となります。

最後に、クエン酸回路と電子伝達系。
これが有酸素性のエネルギー生産方法です。
理論上は酸素がある限りエネルギーを生産します。
酸素を必要とするため、筋肉は運動時、安静時に比べて10倍もの血流を必要とします。

じゃあ、心臓は普段の10倍の血液を拍出しているかというと、必ずしもそうではありません。
だいたい心拍出量は安静時の5倍くらいとされます。
では、足りない??
でも足りるんですね。
運動時は最大で血流量の80%を筋肉が受け取ります。
つまり、血流の配分が変わるわけです。
安静時は筋肉にそんなに血液を送る必要がないので、15-20%くらいしか受けていません。

このようにして筋肉に必要な血流量を確保しているんですね。
血流を増やすために筋肉も工夫しています。
骨格筋の血管はβ受容体支配であり、交感神経活動の亢進に伴い血管が拡張します。
一方、皮膚の血管はα受容体支配であり、運動初期には血管が収縮します。

しかし、運動を継続すると今度は体温調節機序が優位となるため血管が拡張するんです。
もうちょっとややこしい話をすると、運動すると骨格筋内に様々な代謝産物ができ、これが血管の拡張を助けるそうです。
なので、運動しても骨格筋の血流はしっかり確保されるということになります^^

心臓はどうやって心拍出量を上げているかというと、まずは交感神経の興奮と迷走神経の抑制
これによって心収縮力と心拍数が上がります。

そして、もう1つ重要なのが静脈還流量。
運動すると筋のポンプ作用による静脈還流量の増大が起こります。
また、換気の増加に伴う胸腔内圧の低下により、さらに静脈還流はアップします。
その結果、Starlingの機序を介して1回拍出量を増大します。

これが簡単な運動時の心血管系の反応です。
心不全の場合はこれがうまく起こりません。
心不全の心臓は普段から体液過剰状態で左心室にかかる容量負荷が多い状態です。
そこに追い討ちをかけるように静脈還流量が増えると、心臓収縮力の限界をすぐに超えてしまいます。
ということは、たくさん血液が還ってきても出せる血液の量はさほど増えない。
ということは、左心房の圧も上昇し肺うっ血、肺水腫などの原因となります。
そこまでいかなくても労作時の呼吸困難感の原因となるでしょう。

個人的には運動生理学の勉強ってすごく楽しいです^^
臨床での症状が説明できるようになると、なんか嬉しい。
それだけで満足していては患者さんにとっては有益とはならないけど、そこから考えられることって多いと思います。
もっと勉強を進めていきたい分野です^^