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[粒子線治療][陽子線治療][菱川良夫] 名誉センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~

一般社団法人 メディポリス医学研究所
メディポリス国際陽子線治療センター 名誉センター長
菱川良夫による講演からの小話。

宮崎で市民公開講座を都城・日向・延岡と3日連続で開催しました。

講演は、聴いてくださる方の姿勢や雰囲気によって大きく変わります。
この3日間の講演も聴きに来てくださった方々が非常に熱心で、反応も良かったので、気持ちよくお話しすることができました。
そして、いつも以上に「がん治療を受けるコツ」をお伝えすることができました。

関西人の血がさわぐのでしょうか。
私は、講演を聞いてくださる方とのやりとりも大好きです。
そのため、私の講演を聞いてくださる方は、聴講者というよりも参加者という方が正しいかもしれません。

この日の参加者に伝えたコツの一部ご紹介します。


(1) 昨日の常識、今日の常識

例えば、前立腺がんの治療。
昔の治療法は手術のみでしたが、今では手術、放射線治療、陽子線治療、重粒子線治療で治すことができます。

時代とともに常識は変わります。


(2) セカンドオピニオン

治療法を選択するために、ぜひ利用して下さい。

第156回 私のセカンドオピニオンのルール
http://ameblo.jp/ptrc/entry-11896972029.html

第187回 誰のがんですか?
http://ameblo.jp/ptrc/entry-11993169090.html


(3)自分で選択した治療法

その治療法で「治る気」になることが大切です。

第15回 治る気
http://ameblo.jp/ptrc/entry-11067286357.html

第133回 続・治る気
http://ameblo.jp/ptrc/entry-11768810629.html


(4) 医学研究と医療

医学研究では、研究者である医師の決める条件が絶対です。
条件に合わなければ、門前払いということも少なくありません。

一方、医療はどのような条件であっても、患者さんを優先して物事を考えます。
できない理由を考えるのではなく、できる可能性を探ります。

僅かな望みでも「治療可能」と判断されれば、経験ある医療チームが治療計画を作ります。この医療チームの質により、可能性の幅は異なります。

その治療計画を基に、メリット(治る可能性など)とデメリット(重大な障害が出る可能性など)を丁寧に説明します。

その説明を受けた上で治療をするかどうかは、患者本人やご家族に決めていただきます。

なんども言いますが、これが医療です。

第191回 医療はアート
http://ameblo.jp/ptrc/entry-12002697583.html


(5)生活習慣の見直し

がんは自分の体の細胞の変化です。
いくつかの生活習慣が複雑にからみあって、不運にしてがんになる可能性もあります。

脳疾患や心疾患と比べ、がんの治療には残された時間がたくさんあります。
その間に自分と向き合い、原因を考え、悪い生活習慣を改善しましょう。

第4回 生活習慣
http://ameblo.jp/ptrc/entry-10991969179.html

第53回 生活習慣病
http://ameblo.jp/ptrc/entry-11315466952.html



このようなコツをお話ししました。

鹿児島から沢山の資料を用意して、センター職員と6人の車旅。
移動中の昼間は、その地域のお勧めの滝や海を見ることもできました。

また、講演は夜遅かった(全て開始時刻は19時)にもかかわらず、多くの人に参加していただき、陽子線治療、がん治療の心得などをお伝えすることができました。

これからも、私の天命として陽子線治療を伝え、幸せな医療を提供していきます。
先日、鹿児島県のある市で夜に講演を行いました。
有難いことに、雨にもかかわらず多くの人が来てくださり、活発な講演となりました。

講演の数日後、センター職員が、その市の関係者に講演の報告を兼ねた挨拶へ行った際、

「通常、夜の講演は人が集まらないことが多いのですが、今回はたくさんの人が集まって良かったです。次は、土曜日か日曜日の昼間にすればもっと沢山の人が集まりますよ!」

とアドバイスされたそうです。

なぜ夜に人が集まりにくいのだろう…と考えていたのですが、答えがわかりません。
そこで、その市で生まれ育ったセンターの職員に話を聞いてみました。


その市には有名な焼酎の会社があり、そこに住む男性の多くは、毎晩毎晩、焼酎を飲んでいるようで…
夕食時に焼酎を飲み、早ければ19時に寝てしまう方もいるそうです。

今回は、19時から講演が始まったので、寝てしまったおじいちゃん達は来なかった…
という次第です。


地方の多くの都市は高齢化が進んでいます。

陽子線治療は高齢者にも優しい医療です。
そして、陽子線治療について学んでいただくことは、高齢者の人にも有益であると思っています。

今後は、それぞれの地方の特性も考慮しながら、講演時間を考えなければいけないと考えさせられました。
最近、鹿児島県・宮崎県を中心に市民公開講座を続けています。
講演の前には時間をとって、相談希望者に個別アドバイスを行っています。

ある日の公開講座前の個別アドバイスに、高齢のご夫妻がいらっしゃいました。
自分たちの相談ではなく、娘さんの相談で とのことです。

話を聞くと、娘さんが関東の大学病院で脳腫瘍の治療を受けていてるようです。
既に2回の手術と高精度な放射線治療を受け、最近では経鼻的な内視鏡治療も受けたとのこと。


ご両親の質問は、以下の通りです。

「娘が最近太ってきました。腫瘍が再び大きくなってきているからだと思うのですが…
自宅にいることが多くなったからでしょうか…
陽子線治療で治すことはできませんか?」

手元に資料(娘さんの病歴、治療歴、画像データなど)がなく躊躇したそうですが、「陽子線治療が何か役に立たないか…」と、すがる思いで講演会場に来たそうです。

娘を思う親の気持ちです。


詳細な資料がないため、断定することができない(憶測でのアドバイスしかできない)ことを最初に説明しました。

それから続けて、

「その腫瘍は、頭蓋底と言って脳の下部を支える部分の腫瘍だと思います。
それに対して行ってきた今までの治療は、正しい治療・正しい選択だったと思います。

太った理由は、自宅から出ない(出られない)ことで運動量が少なくなったこと、ホルモンのバランスが悪くなているかもしれないことなどでしょうか。

主治医の先生とよく話しをして、良い方法を考えてもらって下さい。」

とアドバイスしました。


再増大しているかどうかは、資料がないので不明です。
もし再増大していた場合でも、一度放射線治療を受けているので、陽子線治療が適応になる可能性は低いです。

しかし、年老いたご夫妻にはそのような話はしませんでした。


「もしそうだとしたら、根気よく内視鏡手術を続けるのが最良です。
大学の先生が慎重に診て行くので安心して下さい!」

間違いなく、その大学病院では内視鏡手術を続けると確信していたので、ご両親にそうアドバイスをしました。


子供を思う親の気持ちは、深いものだと再認識しました。
6月中旬に、3泊4日で上海、香港、広州の3都市を訪問してきました。
いずれも、メディカルツーリズムに関する訪問です。

人口を調べると、上海は2400万人、香港は700万人、広州は1300万人だそうです。
「本当はもっといる」ようなことを現地の中国人は言っていました。

九州全体の人口が約1300万人なので、中国の大都市の人口の多さには本当に驚かされます。


近年になり、中国人は世界中に進出するようになりました。

中国国内では各分野で不正や偽装の不安が常につきまといます。
そのため一部の中国人は、自分の体を治療する際、積極的に他国で治療を受けています。
いわゆるメディカルツーリズムです。

当センターでも、既に20人以上の中国人患者さんを治療しました。


3都市の感想です。

まず交通面。
私は、上海・広州の街で運転できる自信がありません。
追い抜き、割り込みの激しさは想像を絶します。

その点、香港は英国の統治が長かった為か落ち着いており、私でも運転できそうな気がしました。

続いて、大気。
広州では青空を見ることが出来ましたが、上海ではPM2.5の影響でモヤっていました。
この空気は見るからに体に悪そうな気がしたので、マスクを着用していました。

食事は、本場の中華料理を美味しくいただきました。
滞在中に少し太ったのは、早朝ウォーキングが出来なかったからだと思います。


3都市に共通して言えることは、街や住んでいる人にエネルギーを感じたということ。
以前中国を訪問した時とは異なり、多くの人の顔に「自信」のような雰囲気が感じられ、中国の勢いを感じることができました。


当センターでは引き続き、アジアはもちろん、アメリカなどからも幅広く患者さんを受け入れていくつもりです。
そのための準備が、今着々と進んでいます。
以前のこばなしで、夫婦で陽子線治療を受けられた患者さんのお話をしました。

第142回 「幸せな医療の提供」に対する答え
http://ameblo.jp/ptrc/entry-11821062334.html



最近、このような患者さんが2組増え、当センターでは3組となりました。
2組とも、ご主人が当センターで前立腺がんの治療を受けた後、奥様ががんになり、当センターでの陽子線治療を希望され、適応となりました。

前立腺がんの陽子線治療は、基本的に28回照射なので、治療準備と休診日を併せると2か月近くかかります。
この間、隣接するホテルに夫婦で滞在しながらセンターで治療を受けていたことで、すっかり奥様も当センターのファンとなり、「がんになったら同じセンターで治療を受けたい」と考えて下さっていたようです。


数ある治療可能な選択肢の中から、当センターの陽子線治療を選んでいただけたことは、「幸せな医療」が旦那さんに提供できていたからだと、嬉しく思っています。

治療後は、いずれの夫婦も元気にされています。



治療を受けた患者さんが、センターの医療を気に入り、知人を紹介して下さることも増えてきました。

センターでは、一人一人の治療を丁寧にすることを信条にしています。
そして、治療を受けた患者さんにもそのことが伝わっているように感じます。

幸せな医療を提供することで、それに共感してくれる患者さんが増えてきたのは非常に嬉しく、ありがたいことですね。

これからもこのような患者さんが増えるよう、まずは目の前の患者さん一人一人に丁寧な幸せな医療を提供していきます。