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[粒子線治療][陽子線治療][菱川良夫] 名誉センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~

一般社団法人 メディポリス医学研究所
メディポリス国際陽子線治療センター 名誉センター長
菱川良夫による講演からの小話。

40年来の友人だった女性の長男から電話がありました。

「母は、先生に感謝していました...」
この電話で、彼女が亡くなったことを知りました。


昨年、彼女から進行した難治がんの相談で連絡がありました。
病状を聞いて、まず抗がん剤治療を始めなければいけないことをアドバイスしました。

彼女は関西で独り住まいだったのですが、長男家族が住んでいる東京の病院での抗がん剤治療を選択し、入院や通院の期間は長男家族と一緒に楽しく過ごされていました。


抗がん剤治療が順調に進んだ為、その後、陽子線治療を希望されました。

「主治医の女性の先生に連絡をしてほしい」と彼女から言われたので、電話したところ…
「先生の治療を受けたがっています」という返答をいただき、早速センターに来てもらうことになりました。


センターで治療を受けている間、米国でアートの仕事をしている次男がセンターを訪ねてきました。それから、治療の間に指宿で美味しいものを食べたり、週末には九州各地を2人で旅したりと、楽しいひと時を過ごされたようです。

センターでの治療終了後も、抗がん剤治療を続けてもらいました。
関西の自宅から東京の長男宅にも時々足を運び、お孫さんとも楽しく遊んでいたようです

センターでの治療終了後から4ヶ月が経ったある日、前日まで元気だった彼女は、突然自宅で亡くなったそうです。


実は彼女のご主人も私の友人であり、彼も進行がんで若くして亡くなりました。
それから、彼女は2人のお子さんのために強く生きてきました。

今回、進行した難治がんと診断されてからの彼女の生き方を見ていると、
大事な家族との別れを覚悟しており、自分の生き方を家族に伝えたのだと感じました。

合掌。
年に数回、2日、3日と連続して講演を行うことがあります。

基本的には同じ内容のプレゼンテーションを行っていますが、講演する土地や会場の雰囲気、主催者の考え方によって、毎回微妙に話の内容を変えています。


朝起きて、「今日の講演を聴いてくれる人はどのような人なのだろうか」と思いを巡らせることは、私のは楽しみの一つです。

若い人が多いのだろうか。
女性が多いのだろうか。
がんにかかっている人が聴くのだろうか。
医療関係者が聴くのだろうか。

このようなことを考えながら講演会場に向かい、講演会場に着いたら、講師席から聴きに来てくださった人たちを眺めながら、雰囲気を感じています。


一方で、色々な方の講演を聞く機会も多々あります。

聴きやすい講演に共通しているのは「話し方」です。
私も20年近く講演を続けていますが、ようやくこれが最も大切だと気がつきました。

私の講演でも、ゆっくりとした速度でふんわりと喋ることをかなり意識しています。


日本語は、美しい言葉です。

これから講演をする若い人へのアドバイス。
美しい日本語を操り、速度には気をつけてプレゼンテーションして下さい。
医師になってから長きに渡って大学病院で勤務していたため、放射線治療に関する臨床研究を数多く行ってきました。
研究は、仮説を立て、その仮説を実現できる対象や方法を考え、実行し、結果を論文にして、第3者に評価をしてもらう事で成立します。

私は、これら研究で得たノウハウを日々の生活にも応用しています。

現在行っている研究タイトルは、ずばり「飲酒と体重の関係」です。
どのようなお酒が私の体重に影響を与えるのかを研究しています。

研究データを取得するのに必要な備品は体重計のみ。
アナログ式の体重計であれば、私の視力と気持ちで数値の読み取りに差が生じるかもしれませんので、デジタル体重計を用意しました。


ビールを連日飲むと必ず体重が増えることは、過去の経験で学んでたので、研究対象のお酒から、あらかじめビールは排除しておきました。

次に毎日無理なく飲めるお酒として、「ワイン、日本酒、焼酎」を選択しました。
飲酒量は、「ほどよい程度に気持ちの良くなる量」としました。

この研究は、すでに3年以上行っており、その結果も出ています。
ただし、論文にはしておりません。


以下、私が得た結果です。

「2日続けて同じお酒を飲むと、2日目には体重増の傾向がある」

したがって、ワインを飲んだ翌日は、ワインではなく日本酒か焼酎を選ぶようにしています。そうすると、毎日お酒を飲んでいても体重はほとんど変化しません。

3年以上続けてきた研究で、ある程度の結果が得られた為、最近はこれに新たな条件を付け加え、新しい研究を始めました。

新たな条件として、お酒を抜いて水だけを飲む日を作りました。
水だけだと少し口寂しいので、水は「炭酸水」を選びました。
結果はまだ出ていませんので、データがまとまり次第ご報告します。


何もないような日常生活の中にも、楽しいことはたくさんあります。
同じ物事を経験したとしても、見方、感じ方、捉え方、楽しみ方は皆さん次第です。
感性を研ぎ澄ませて、感じてください。楽しんでください。


特に自由な時間がたくさんある高齢者の方は、自分を対象とした研究を始めることをお勧めします。
単調だと感じていた毎日が、刺激に溢れた日々になるかもしれません。


私も、紹介した研究とは別に新たな研究も始めています。
また結果が出たらご紹介させていただきます。
先日、中国人の患者さんが、指宿にいる私とテレビ相談を行うために東京クリニックを訪れました。奥様と、3名の通訳の方が一緒でした。

テレビ相談の方法は…
私がゆっくり質問し、通訳が中国語に翻訳、患者さんの回答を再び通訳が日本語に直して私に伝えるという、古典的ながらも確実な方法です。

通訳が間に入るときは、短い文章をゆっくりと話すように心がけています。
そのため、今回も日本人の患者さんと話をする時と比べ約2倍の時間がかかりました。

今回の主な通訳は、3名いる通訳のうち一番の年長者が行い、他の2名は間違いがないかをチェックしている様子でした。
こちらも、私以外に2名の医師に参加してもらい、やりとりを見守ってもらいました。


この患者さんの相談は、あるがんの再発と転移でした。
しかし残念ながら、事前に目を通した資料や画像から陽子線治療の適応外と判断していました。

陽子線治療ができないことを、ゆっくりと納得できるように話しましたが、通訳が間に入っていたためか、なかなかうまく伝わりません。
その結果、何度も同じ質問があり、その度に同じ回答を丁寧に行いました。
(私自身も同じ話を繰り返すことがあり、同じ質問を受けることは気になりません。)

その後何とか理解して下さり、「それでは次にどうしたら良いでしょう」ということでしたので、日本で受けることができる他の医療について説明を行い、テレビ相談を終えました。


このような他言語の患者さんとの相談の際には、基本的に日本人の患者さんに説明する内容と同じですが、通訳がしやすいよう、ゆっくりと短い文章で話をすることが大切です。

いつか画面を通して会話するだけで、同時に通訳ができる時代も近そうですので、その日までテレビ相談を続けたいと思っています。


メディポリス東京クリニックはこちら
http://medipolis-ptrc.org/center/consulting/tokyo/
先日、上海の放送局の取材を受けました。
日本の放送局の取材は何度も受けてきたのですが、中国の放送局は初めてです。

一番の違いは、取材者の人数です。
日本の取材陣が指宿まで来る場合、多くても3~4名なのですが、今回は10名を超えていました。


取材は、若い男性司会者が中国語で質問したものを日本語で答えていきました。
一連の流れのように放送されるそうですが、実は質問と回答は別々に撮影しました。

まずは連続して質問ばかりを撮影します。
次に、その質問内容を通訳してもらったものに、私が連続して日本語で答えました。
これらを編集し、映像ではテロップをつけて放送していただけるようです。

慣れるまでは大変でしたが、初めての経験で楽しむことができました。



それから、どのような番組かを聞くと「シルクロードを中国の若い旅人が訪ね、新しい発見をしていく番組です」と教えてくれました。

ミラノ、ドバイ、韓国、日本などを取材するようで、日本は、東京、京都、鹿児島が選ばれました。鹿児島は鑑真和尚が上陸した地として選ばれたそうです。


シナリオとリハーサルもあり、監督の指示の元、演技を求められました。

シナリオはこうです。

若いカップルが苦労してセンターにたどり着くと、そこには友達の中国人がいます。
なんとその横を見ると、センター長もいるではありませんか!

彼らは友達に声をかけます。
それを見た私が「センターを見学していきますか?」とお誘いするというものです。

中国人は大声なので、私も大声で話すよう指示されました。


取材の中で、
「一番大切なことは、中国のがん診断は日本のそれより20~30年ほど遅れています。それを解決しないまま、新しい治療を導入しても成り立ちませんよ」とお伝えしました。

このメッセージが、そのまま翻訳されて放送されるかどうかは不明です。
しかし、初めて経験することが多く、取材を楽しむことができました。


中国人はおもろいです。