以前の記事では、時間を短縮できる業務として「ホワイトカラー」の業務をあげましたが
逆に言えば、時間のかかる業務となる可能性もあるということです。
今回は新人の方が問題となりやすい(時間を取られやすい)診療記録の書き方について解説していきます。
結論から言えば
診療記録は臨床推論の過程が身についていれば円滑にこなせる
ということです。
1.そもそも記録とは?
”のちのちに伝える必要から、事実を書き記した文書”
(出典元:広辞苑)
つまり誰(他職種・対象者・家族など)が見ても分かるように記載する必要があります。
2.なぜ記録するのか?
・適切な理学療法が提供されているか?
・医療行為としての法的根拠の確保
・他職種・対象者・家族への情報提供
など
他にもありますが、詳しくは成書をご参照ください。
要約すると、自分が何をやったのかを残す必要性があるから、という解釈で良いと思います。
3.記録の仕方
ではどのように記録すれば他者に伝わるのでしょうか?
私が学生時代の時にはSOAP方式で習いました。現在はそれを参考に少し改変しています。
(1)SOAP (Subject,Objective,Assessment,Plan)
S:対象者の主観
O:客観的情報
A:SとOの統合・解釈による問題点抽出
P:Aに基づいた目標設定・治療プログラムの立案(状況により継続・変更・修正を記載)
(2)私の場合
目 標:対象者のHope,Need,Demandに基づいた目標を記載(段階に応じての変化するため毎回は記載しない)
評 価:目標に応じた評価内容、結果、考察を記載
治 療:評価結果に基づいた治療内容を記載
結 果:治療結果を記載
考 察:治療結果に対する考察(目標に対しての再評価も記載)
計 画:評価や治療結果に基づき、今後の方針を記載(継続か変更か修正か)
SOAPとの違いは目標を一番初めに持ってきていることです。
様々な要因により回復度合いは変化すると思いますが、対象者自身の気持ちが一番重要と考え、目標に立ち直る意味も込めてこのようにしています。
基本的にはSOAP方式に従うと記録しやすいと思います。(派生なので)
4.クリニカル・リーズニング(臨床推論)
最近よく聞かれる”クリニカル・リーズニング”。基本的な流れは以下のようになります。
現象/症状→仮説→評価/検査→証明→治療→再評価
あれ、前項で挙げたような書き方に似ていますね。記録は行ったことを書くものです。
臨床現場で頭の中で考えて行ったことを文字におこして記録する。
この臨床推論の繰り返しと記録が両者の精度を高めていくのです。
様々な少し違いのある枠組みを、自分の使いやすいようにうまく利用して、他者に説明し理解の得られる記録づくりを心がけたいものです。
5.目標設定の重要性
3.記録の仕方で少し触れましたが、目標はとても重要です。
臨床現場でありがちなのが、目標に対しての効果を考えないまま評価や治療を展開してしまうことです。
一例:下肢骨折の方
目標:また歩けるようになりたい(Hope)
評価:術部痛が強く、歩行は平行棒内レベル。移動手段として車椅子を検討(現在は5m程)
治療:車椅子自走のために上肢機能練習を中心に実施
結果:課題に対する円滑さが向上した
考察:練習を行うことで上肢機能向上している。10m程度であれば車椅子自操可能となった
計画:引き続き、車椅子自操自立に向けた治療継続していく
しっかりとSOAP方式や自分の中にある枠組みに当てはめると、「あれ、なんかおかしいぞ?」と気づけます。
本人は歩けるようになることを望んでいるのに、車椅子自操に向けた治療を行なっており、目標と計画にずれが生じています。
(例えば「トイレまで早く1人で行けるようになりたい」といったDemandがあれば別です)
自分で客観的に見て気づくためにもこういった枠組みはとても重要な役割を担います。
そして目標設定とずれる治療をすることがいかに危険なことなのかが理解していただけると思います。
目標に基づいた評価や治療を行うことが対象者との契約である自覚をすることが重要です。
6.終わりに
記録方法にはある一定の枠組みがあります。
枠組みは常に立ち返ることができる目標を設定することで活きるようになります。
また枠組みに当てはめて行っても内容は対象者によって様々に変化します。
この繰り返しが己の経験(アウトプット)となり、記録と臨床推論の技能を高めていきます。
"臨床推論の過程が身についていれば記録が円滑にこなせる"意味がご理解いただけたでしょうか。ぜひ参考にして見てください。
(担当:PTN)