☆ 俺たちにはつきがある!☆彡

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  ~ The Moon is always with us ~

 

観測問題は端的に言えば、

「物質的延長」を典型とする物理的な実在も、

主観的で具体的性質を持った感覚から構成されており、

それは進歩した現代物理学で複雑な実験を介しても、

結局はそう(主観的構成)である、という事である。

(必ず人間が介する)

 

だから、生命とか意識とか抜きで、

宇宙の表象を「時空間的イメージ」でもって、

その宇宙なるものが存在しているということを

定立してしまって、 

それを前提に宇宙の中の物事を考える、

その思考回路を疑う必要がある。

(実は客観とは主観の多一致でしかない、という事)

 

あなたは全く何もない宇宙というものを

想像できるだろうか?

もちろん、人間が持つイメージや、

概念というものを使ってはいけません。

 

 

我々諸法は、存在というよりも、

宇宙の中の関係性で生じた場の一つ一つ

と言った方がよいのかもしれない。

 

そしてその場が集まって

また大きな場を生じている。

あらゆる差異とその関係性によって生じる場。

その場の重なりと流動性が、世界なのか。

 

すべてが無常であり無我であるならば、

実体を持つものなど何も無く、

ゆえにそれらは存在、というよりも、

関係性により生じた「場」と言った方が、

適切かもしれない。

宇宙には関係性の網の目があるだけである。

 

時空とは差異(質量の)によって生じるが、

そこに彼我を感じなければ、

そこに距離は無いのである。

 
私はだだっ広い空間の中にいた。
何をしに来たのだろうか…。

 

…そうだ。
迎えに来たのだ。
あの時の自分を…。

 

 

私は「私」を探した。
薄暗い、どこまでも広い空間で、
私は私の勘だけを頼りに私を探した。
 

 

 

私はいた。
薄暗い、小さな部屋の隅に、
一人ぼっちで座っている背中を私は見つけた。
私はそれが自分だとすぐにわかった。

 

 

私は駆け寄り、声をかけようとした。

 

 

「…」

 

 

「彼」は震えていた。
薄暗い小さな部屋の隅で、
あまりきれいとは言えない格好をして、
小さく肩を震わせ、泣いているかのようにも見える。
まだ少年の私だろうか…。

 

 

 

「ねえ…」

 

 

 

私は彼の背中に手を伸ばした。
軽く肩に手を乗せようとしたのだ。
しかしその瞬間、彼はこちらを振り返り、
そして即座に「醜い顔をした獣」に変身し、
私に襲い掛かってきた。
 

 

 

「痛っ!」

 

 

鋭い痛みが左腕に走った。
彼、いや獣は、私の腕に噛みついて、
そのまま私を食らおうとしている…。

 

 

私は観念した。
というよりも、私はこれが目的でここに来た気がしたので、
そのまま食われることにしたのだ。

 

 

「お前の痛みに比べたら、こんな痛みは一瞬のことなんだろう?」

 

 

獣は私を食らった。
「私は私に食われた」のだ。

 

 

 

…私はまた広い空間にいた。
そう、私はまた会いに行かなくてはならない。
あの時の自分に。

 

 

 

私はまたあの場所に向かった。
薄暗い、小さなあの部屋の中へ…

 

 

そこに「私」はまたいた。
今度は私は、獣のままの姿で、ケロっとした姿で座っている。

 

 

そこにまた私が近づくと、
獣は物凄い形相に顔を変化させて、
また私に襲い掛かってきた。

 

 

私はまた食われた。

 

 

「こんな所にずっと一人ぼっちにしてごめんな。」

 

 

「つらかった思い、惨めな思い、無かった事のようにして、
 おまえひとりに押し付けてしまってごめんな。」

 

 

私は何度も彼に会いに行った。
そのたびに彼は私を食らう。
(…いや、「彼」ではない。彼は私なのだが。)

 

 

私は彼の気が済むまで、食われ続けることにした。

 

 

…もう何度目だろうか。
私は私に食われに私の場所に向かった時、
私は、獣の私が私を食らいながら泣いているのに気が付いた。

 

 

それに気づいて私も泣いた。

 

 

私は獣の私に食われながら、彼にしがみつき、
抱きしめようとして、泣きながら言った。

 

 

「もうお前の痛みは俺の痛みだから、
 もうお前だけの痛みじゃないから、
 もうこんな所に置いて行ったりはしないから、
 お前の痛みは俺の痛みだから…今まで本当にごめんな…」

 

 

その時、彼の私の、私を噛む力が少し緩んだ気がした。

 

 

「ごめんな、これからはずっと一緒だから。
 一人ぼっちになんかしないから。」

 

 

 

だだっ広い空間の中に、私はまたいる。
そう、また会いに行かなければ。
彼の私を、私は一人にしてはおけない。
彼は私なのだから。
彼の痛みは私の痛みなのだから。