青山 敏之ら:運動遂行と運動イメージ想起がもたらす皮質脊髄路への抑制性入力の相違.第 51 回日本理学療法学術大会

※一部管理者によって修正している部分がございます

【はじめに,目的】
 運動イメージ想起により, 想起された運動の主動作筋に対応する皮質脊髄路興奮性が上昇することが明らかにされている。一方で, 非主動作筋に対する影響は十分に検証されていない。
 本研究の目的は、運動遂行と運動イメージ想起による非主動作筋の皮質脊髄路興奮性変化の相違のメカニズムを検証することである。

【方法】
 右利きの健常成人 13 名を対象とした。被験者は前方のモニタに提示された右示指外転・内転運動の動画(静止相 6 秒, 外転・内転相 2 秒ずつ)に合わせて同じ運動または運動イメージ想起をする課題を行った。経頭蓋磁気刺激を用いて第一背側骨間筋(FDI)と小指外転筋に貼付した表面筋電図より運動誘発電位(MEP)を導出した。磁気刺激はプログラミ ングソフトを用いて動画の静止時(静止 5 秒後),示指外転・内転中間相(それぞれ運動開始 1 秒後)の 3 つのタイミングでランダムな順序に与えた。統計学的処理は MEP と背景筋電図平均振幅値(bEMG)の変化について,課題(運動遂行,運動イメー ジ想起)と刺激タイミング(安静時,外転時,内転時)を要因とした二元配置分散分析を行った。

【結果】
 運動遂行時における FDI の bEMG は示指外転時,内転時ともに安静時より有意に増大し,MEP は示指外転時のみ有意に増大した。
 運動イメージ想起時には FDI の bEMG に有意差はなかったが,MEP は安静時と比較して外転時に有意に上昇し, 内転時には有意に低下した

【結論】
 結果より,FDI の作用方向とは拮抗運動の示指内転運動イメージ想起時,FDI の MEP は減少した。一方で,この抑制作用は運動遂行時には認められなかった。つまり,拮抗運動による皮質脊髄路興奮性の抑制作用は,随意運動時にはない運動イメージ想起時に特異的な現象である可能性がある。本研究は,運動イメージ想起による抑制作用を示した我々の知る限り初めての報告であり,抑制性の神経機能の低下により目的とする随意運動が困難な症例に対して運動イメージ想起を適用する上で有用な理論的根拠になり得ると考える。


すごく勉強になりました。でも何でなんやろ…
安静時と比較してるから、運動イメージ時の神経ネットワークでの負の接続性がどうとか関係なさそうやし。わかる人がいましたら教えて下さい(´Д` )

「抑制性」っていうところに着目するのがすごいなと思い、ブログに載せさせて頂きました。
全国に発信する人の発想力と言いますか、自分の勉強不足感にがっかりしてしまいます。
Pyoungsik Hwang:Transcranial Motor Evoked Potentials of Lower Limbs Can Prognosticate Ambulation in Hemiplegic Stroke Patients.Ann Rehabil Med 2016;40(3):383-391

【目的】
脳卒中片麻痺患者における運動誘発電位(MEPs)と歩行アウトカムとの関連性を検証すること。

【方法】
脳卒中片麻痺患者を対象とした。除外基準は糖尿病、四肢麻痺、両側性病変、脳幹病変、重症筋骨格問題、および80歳以上の者とした。被験者は、MEPsに応じて3つのグループ(正常、異常、および応答なし)に分類した。入院時と退院時のBBSおよびFACは、一元配置分散分析(ANOVA)により3群間で比較した。相関関係は、線形回帰モデルを用いて決定した。

※MEPsについて
バンドパスフィルター:2〜10Hz
正常は遅延32.5ms以下、それ以上は異常とした
強度が0.05mvで出現しなければ、応答なしとした

【結果】
片麻痺患者58名が含まれた。
退院時のBBSおよびFACは、MEPsの結果より有意差が認められた(ANOVA、P <0.001)。
ステップワイズ変数選択を用いた退院時のBBSおよびFACの線形回帰モデルにおいて、患者の年齢(P <0.01)、それぞれ入院時のBBS・FAC(p <0.01)、およびMEPs(p <0.01)が抽出された
また入院時のBBSの回帰モデルではMEPsと年齢(R2=0.46)が抽出され、FACではMEPsと性別(R2=0.42)が抽出された

【結論】
入院時における下肢のMEPは、脳卒中片麻痺患者の歩行アウトカムを予測することができる。
















Dennis Hamacher:Brain activity during walking: A systematic review.Neuroscience and Biobehavioral Reviews 57 (2015) 310–327

システマティックレビューなので、ぼちぼちと更新していきます。

【歩行速度と歩幅の精度に関わる脳活動について】

Haradaら(2009)は、最大歩行速度の70%での脳活動は、30%および50%での脳活動と比較し、左前頭葉および補足運動野(SMA)の活動が顕著に増加することを観察した。

9km/hでランニングは、時速3キロまたは毎時5km/hでの歩行と比較し、前頭前野、運動前野、感覚運動野の活動が高まるが、前頭前野の変化のみ有意であることが観察された(Suzukiら、2004)。

さらに、P300の振幅は歩行中では前頭中心領域?から速歩では前頭頭頂領域にシフトする(Sanctisら。、2014)。前頭前野、運動前野、感覚運動野領域の活動は3km/hおよび5km/hでの歩行に類似する一方、外側感覚運動野の活動は5km/hで増加し始め、運動前野は3km/hと比較し5km/hでの歩行で高い(Suzukiら、2004)。 しかしながら、Gwinら(2011)は0.8および1.25m/ sでのイベント関連スペクトル摂動(ERSPs)の変化がなかった。

興味深いことに、低歩行能力者は高歩行能力者と比較し、歩行中に高い前頭前野の活性を示した(Haradaら、2009)。相関関係は、SMAとケイデンスおよび歩行速度との間で見出された(原田ら、2009)。別の相関は内側感覚領域とケイデンスおよび歩行速度との間で発見された(原田ら、2009)。さらに、ステップする位置を決められた歩行では、M1(一次運動野)、SMAと感覚運動野の脳活動に変化はなかった(Koenraadtら、2014)。