Dennis Hamacher:Brain activity during walking: A systematic review.Neuroscience and Biobehavioral Reviews 57 (2015) 310–327

脳活動第2弾です!

【脳の活動と歩行変動について】

よりステップ長の変動が小さな者は、一次感覚野領域(BA3およびBA4)が有意に高い活性化を示し、
よりステップ長の変動が高い者は有意に中・上側頭回および海馬の白質の不活性化と関連性があった。(Shimadaら、2013)。


さらに休息時と歩行時を比較した時、よりステップ長の変動が高い者は、DLPFC(BA6および8)とSMAの相対的に不活性化を示した(Shimadaら、2013)、それはストライド時間の変動性との相関関係を示す(Kurzら、2012)。


また、中心前回(BA4)の活動は、ストライド時間の変動性にリンクしている(Kurtzら、2012)、一方でSanctisら(2014)はストライド時間の変動と脳波振幅(EEG-ampliyude)との関係性を見出さなかった(表10)。


M. Faist:In humans Ib facilitation depends on locomotion while suppression of Ib inhibition requires loading.BRAIN RESEARCH (2006) 87–92

当院における宝塚リハビリテーション研究会の研修で、
非常に勉強になった内容があり、
詳細が気になったので、紹介致します。

【はじめに】
猫の研究から、下腿三頭筋のゴルジ腱器官からの入力は、自原抑制の代わりに歩行時にIb促通を生成することが知られている。また別の先行研究にて、歩行時に被験者のサブセットにおけるIb促通を観察した。これらの変化に関わる重要な要素が、下肢への荷重によるものか歩行によるものかという疑問を提起する。

【目的および方法】
上記の疑問点を解決するため、
①座位
②仰臥位
③足底から300Nを加えた仰臥位
④立位
⑤「reduced gait」
のタスク時のⅠb効果について調査すること。

※「reduced gait」について
対象側の下肢はできる限り剛性を維持し、非対象側のみ3km/hで動くスプリットベルト上で歩行様の運動を実施した。したがって、この方法は、歩行中の刺激の安定性と反射の自然な制御を模倣する条件下での記録を向上させる。測定は、歩行(歩行周期の12%)の立脚初期中に行われた。

対象は健常者10人(年齢22-31歳)である。

【結果】
Ib抑制は座位および仰臥位で生じた。この抑制は立位および荷重された(300N)仰臥位で大幅に減少または消失した。 「reduced gait」の立脚相中に、抑制は8人の被験者で消失し、促通は6人の被験者で観察された。

つまり
腓腹筋からヒラメ筋でのIb抑制の減少は、荷重負荷条件中に発生し、歩行を必要としないと結論された。Ib促通は少なくとも(初歩的・未発達)なフォームで歩行する必要がある。









この文献を読んでて、
英語読むよりも神経生理学的研究が英語で書かれてて理解するのが
つらかった…(今も理解できていません汗)


とりあえず
臥位および座位→Ⅰb抑制
立位→Ⅰb抑制の減少および消失
歩行(研究では"reduced gait")→Ⅰb抑制の消失またはⅠb促通
に反転するとのこと。


この研究結果から
私たちが脳卒中片麻痺患者の歩行介助で意識している
「立脚後期でしっかりと股関節伸展および足関節背屈させよう」という点においても
矛盾なくⅠb抑制は起こらないという神経生理学的根拠が成り立っています。
藤本 知宏ら:若年健常者を対象とした歩行中の体幹加速度の Harmonic ratio の再現性.第 50 回日本理学療法学術大会

※管理者によって内容を一部修正しています

【はじめに,目的】
 3 軸加速度計を用いた歩行評価は臨床応用性の高い評価方法である。
体幹に装着した加速度計の加速度は身体質量中心の加速度に近似することが報告されており,その波形から歩行の時間距離因子を算出することができ,先行研究から良好な再現性が報告されている。同様に加速度波形を周波数解析して求められる Harmonic ratio(HR)は加速度波形の対称性を表す指標とされ,値が高いほど安定した歩行であるとされている。しかし HR は最低1 歩行周 期で算出できるが,再現性の高い HR が算出できる歩行周期数は明らかとなっていない。
そこで本研究の目的は,若年健常者を 対象に歩行中の HR の再現性を明らかすることである。

【方法】
 対象は若年健常者とし,歩行に影響を与えるような神経疾患,整形疾患のあるものは除外した。被験者は動きやすい服装で裸足 となり,背部第 3 腰椎部に 3 軸加速度計をベルトで装着した。
 加速度は歩行時の前後,左右,垂直方向をサンプリング周波数 100 Hz で計測した。計測した加速度は Bluetooth によりデータを送信し,付属ソフト PocketIMU2(ジースポート社製)でパソコンに取り込んだ。
 歩行速度は光学式歩行分析装置 OPTOGAIT(MICROGAIT 社製)を,加速路 3m,減速路 3m からなる 10m の直線歩行路を挟むように設置し計測した。被験者は歩行路を快適歩行速度で計 3 試行歩行し,その際の加速度,歩行速度を計測した。
 データ解析は,歩行時の加減速期を除くために歩行路中央付近の 1 歩行周期を解析対象とし,前後方向の加速度波形の頂点から歩行周期を特定した。離散フーリエ変換により前後,左右,垂直方向の Haromonic 係数を求め,そこから HR を算出し た。信頼性の検討には級内相関係数(ICC)を用い,検者内信頼性には ICC(1,k)を用いた。統計ソフトには SPSS ver.18.0(SPSS)を用いた。

【結果】
 歩行速度は 1.30±0.18m/s であった。
 前後,左右,垂直方向の HR の 3 試行の平均値はそれぞれ 3.04±0.99,2.31±0.67,2.95±0.60 であった。ICC(1,3)はそれぞれ 0.79(95%CI ; 0.52-0.92),0.72(95%CI ; 0.35-0.89),0.72(95%CI ; 0.34-0.89)であった。ICC(1,1)はそれぞれ 0.56(95%CI ; 0.26-0.80),0.47(95%CI ; 0.15-0.75),0.46(95%CI ; 0.15-0.74)であった。目標係数を 0.9 とし,3 試行の反復測定で得られる ICC(1,1)から Spearman-Brown の公式を用いて求められた予測される必要な最小反復回数は,それぞれ 8 歩行周期(k=7.08), 11 歩行周期(k=10.4),11 歩行周期(k=10.5)であった。

【考察】
3 試行の再現性である ICC(1.3)は全ての方向で 0.7 以上であり,桑原の判断基準で fair であった。しかし 1 試行の再現性であ る ICC(1.1)は全ての方向で 0.6 以下と判断基準で re-work となり,低い再現性であった。よって今回の結果から再現性を得るために少なくとも 3 試行以上の測定値の平均が必要と考えられる。また,より再現性を高めるため判断基準が great である 0.9 となるための最小反復回数を求めた結果,11 試行の測定値の平均を用いることで 3 方向の HR の高い再現性を得ることができることを示した。


加速度計、周波数解析Harmonic ratioについて調べよう…