刺青|賽のじ雑記 -596ページ目

文身百姿

文身百姿1いまを遡ること72年前、昭和11年に出版された玉林晴朗氏の著による刺青書です。

既掲の「藍像 須藤昌人「刺青」写真集」が昭和60年の発行、「原色日本刺青大鑑」が昭和48年の発行で、こちらはさらにタイムスリップして昭和11年。

当然のことながら漢字や仮名遣いも旧いものです。
図版も少なく、9割以上は文字であります。

しかし文章は軽妙ですからスラスラと読み進めることができます。
(といっても旧字ですからその辺はご了承の上で)

そして肝心の内容でありますが、これも前掲の「原色日本刺青大鑑」と同様に刺青の総合書籍です。

原色日本刺青大鑑」との違いは、先ほども触れましたが写真や図版の量の差です。

しかし発行年を考えれば写真が少ないのは当たり前のことで、こちらに掲載されている写真はその1枚いちまいがそれだけ貴重といえます。

文身百姿2

刺青の起源や歴史などから始まり、文化や風俗としての刺青だけでなく刑罰としての刺青にも触れています。

刑罰という言葉が登場しましたが、江戸時代に刑罰としての刺青があったことはご存知ですか?

いわゆる入れ墨刑です。

刑罰の場合一般に「入れ墨」と表記します。
(これと混同するのを嫌い、刺青や文身などが使われますね)

これは追放刑に付け足す付加刑で、一定の回数繰り返されると死刑にされていまうというものです。

興味があれば詳しく調べてみると、その頃の世の中なんかも見えてきて、刺青にもより造詣が深まり、ついでに愛情なんかも深まるっつうもんです。



刑罰と刺青と言えば入れ墨刑ともうひとつ、政府(や幕府など)により刺青を行うことが取り締まりの対象とされていた時代があります。

そして面白いことに、この本は上記の取り締まりが行われている時代に出版されており、且つそのことを本文中で取り上げているんです。

本書によると「自己または他人の身体に刺青したる者」ということになっていて、多分彫師と彫り客の双方が取り締まりの対象になっていたと思われます。

罰則は「30日未満の拘留または20円未満の科料に処す」とのことです。

当時の20円っていったいいくらくらいだと思いますか?



本書は、さもそこで日常が繰り広げられているような文章が多くあり、当時の人々と彫り物(刺青)の生命感が伝わってきます。

文化や風俗なんていうものは文化や風俗としてそこに生まれたわけではなく、人間が営みとしてモゾモゾと活動し、現れた現象を誰かが分析、評価してあとから定義されるもんで、きちっと杓子定規に収まるものではありません。

そこにある臭気や空気感みたいに感じるものだと思います。

そういう点でこの本は刺青というものを感じとる上でとてもよい本に思います。



他にも刺青の題材、道具や方法、しまいには外国の刺青なんかにも触れている意欲作です。

古本の流通数は豊富ですし値段もお手ごろですから是非ご一読を!

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旧字なのでちょっと読むのがしんどい人もいるかも知れませんが、小難しい内容ではなく軽く読める内容なのでチャレンジしてみてください。

面白いですよ~!


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