刺青|賽のじ雑記 -239ページ目

刺青と医師法 - 其の四

今回の摘発を機に(詳しくは刺青と医師法 - 其の壱を参照)
改めて刺青と法律、社会との関わりを再検証し
今後のあるべき姿を考察したいと記事を重ねてきました

刺青と医師法 - 其の弐で今回の逮捕要件である医師法について
刺青と医師法 - 其の参で近現代の刺青に関する法律を時系列に振り返り
大分以前に記事にした刺青と法律 - 其の壱刺青と法律 - 其の弐を引用して
整備されている法律全般を確認しました

今回は僕が刺青と関わりながら暮らし
仕事をしていく中で必要に応じ
収集した情報により理解してきた法解釈や
体験的に感じてきた法律との関わりなどから
得ていた現状の認識を述べてみたいと思います

刺青と医師法 - 其の参で触れたように
昭和23年5月、明治41年に刑法と同時に制定施行実施され
刺青を直接に禁止し取り締まり対象としてきた警察犯處罰令が
前年5月の新憲法の実施と合わせて見直し、改正の対象となり
それに代わる新たな法律として現行軽犯罪法が制定された事で
廃止になりました

この事を以て刺青師や刺青の愛好者は「禁止が解かれた」
「刺青が合法化した」と解釈をしました
刺青を具体的に処罰の対照とする条文が日本国の法律から
完全に消滅したのがその理由です

その解釈をさらに後押ししてきたのが

一、)それ以降半世紀以上に亘り「刺青を彫ったことを以て」
摘発された事例が1度もない事

一、)暴対法や青少年保護育成条例などで「青少年に対して」と
前提としてそれ以外には合法であると理解できるような
「刺青を禁止」する法令が整備されている事

一、)警察の捜査や裁判の過程などで刺青の施術の認知が
明確にあった事例が無数にあるにもかかわらず
その違法性により捜査、摘発されない事

一、)公的な場面や書類などで「刺青師」と明示しても
その違法性を司法、警察などから指摘されない事

一、)日常的に警察官に対し直接に「刺青師」である事が
認知されていてもその違法性が指摘されない事

等々で、我々は完全に適法、合法であると理解してきました

それに対し、ただ1点この理解に疑問を投げ掛け続けたのが
今回の「医師法」に関連して厚生労働省より度々出される
「通知」でした(刺青と医師法 - 其の弐参照)

きっと僕らは希望的、楽観的、無責任的解釈に終始し
都合の良い部分だけを採り上げて合法性を盲信し
都合の悪い部分を黙殺し続け、結果的に問題を放置し
今回の事態を自ら引き起こしたと言えるでしょう

それではこの「警察犯處罰令」廃止に伴う
法規制項目の削除と条例や暴対法による
限定的な処罰規制を以ての合法論と
医師法に関連する見解として
厚生労働省より通知される文書による
違法性の指摘とは法律の矛盾や
ダブルスタンダードなのでしょうか?

一つの事例に対して刑法的観点からは合法で
医師法からは違法ということなのでしょか?

長年僕自身もこの点はきちんと
整理できていませんでした

否、「整理できなかった」のではなく
自らの都合や事情により判断が偏り
正確な結論を導く事を避けてきたのでした

今回の摘発を受け、再び強い気持ちを持って
関係する各法令の文章や通知、裁判記録などを
より注意深く読み直すと見えてくるものがあります

最も重要な点を軽視または見逃していたのです

次回はこうして新しい解釈に基づき導き出された
僕の「総合的な法理解の結論」についてまで
辿り着きたいと思います


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