LIVE「D.H.C 新宿 2024.6.8」③ | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

Damian Hamada's Creatures 「魔界小学校修学旅行~魔界巡礼~」 ZEPP SHINJUKU 2024.6.8

・・・続き。

 

ここからはFM NACK5「魔界塾~ダミアン浜田陛下とヘヴィメタる」内、「地獄のさけび」のコーナーと連動した企画。ラジオのコーナーが、ステージで生披露されるのだ。本公演では、ダミアン陛下が作った便りを陛下自らが叫ぶというもの。

 

まずは弦楽器隊に「ギターとベースの弦を有刺鉄線に張り替えておいたぞ!」、シエル氏とKAZAMI氏に「アンコールで「審判の日」を6回連続で演奏だ!」と叫ぶ。それに対しKAZAMI氏が「悪魔からのモラハラ、パワハラ」と冷静にコメントし、場内から笑いがあった。最後に、ベルちゃんの弟のチャイム君も降臨している。

 

続いて、ツアー・タイトルにある修学旅行にかけ、シエル氏がバスガイド風に観光名所を案内。「左手に見えますのがゴジラです」と歌舞伎町であることを交えた案内もあった。最後に「魔界美術館」を案内すると、同曲の冒頭部分のコーラスが流される。

 

ダミアン陛下がイントロでギター・フレーズを披露。シエル氏が歌い始めると、バンドがダダッ!ダダッ!とアクセントを付ける。本曲は現編成になってから「地球魔界化計画」でプレイされているので、そのアレンジに基本的には忠実。中盤ではダミアン陛下がリード・ソロを弾いている。

 

演奏を終えると、ダミアン陛下はステージ去り、ラスト・スパートは改臓人間の方々によるパフォーマンス。バロック調のSEが流れ「Tempest」がスタートした。「東京!最後まで盛り上がって行きましょう!」とシエル氏が観客に呼びかける。

 

KAZAMI氏が怒涛の疾走リズムを叩き始めると、場内は一気にヒート・アップ。随所に導入されるシンバルの激しい響きが印象的だ。中盤ではRENO氏とアックス氏がテクニカルなフレーズを瞬間風速の如き速さで決めて行く。

 

エンディングからバンドの音が続き、シエル氏が「次がラスト!」と叫ぶ。本編最後の曲は「The Beginning of the End」で締め括られた。メンバーがステージを去り、D.H.Cコールが沸き起こる。

 

数分が経過したところで、メンバーが再登場。RENO氏、アックス氏、KAZAMI氏はツアーTシャツに着替えての登場だ。アンコール1曲目は、新聖典「最後の審判」のリーダー・トラック「天空の放浪神」。活動絵巻聖典も制作されている。

 

演奏後、シエル氏が改めて観客にお礼を言う。ここからは改臓人間によるトーク・コーナー。話を振られたKAZAMI氏は「今日から有名な曲を悪魔的に弾くコーナーを始めたい」と言う。

 

これはKAZAMI氏が独自で持ち込んだ企画のようで、他のメンバーは事前に何も知らないご様子。本公演で取り上げられたのは、ラーメンのチャルメラのメロディ。最初にRENO氏がオーソドックスなメロディを弾き、続いてKAZAMI氏がキーボードで悪魔的に弾く。

 

メロディやコードにマイナー・キーを取り入れたのか、何とも不気味な響きのチャルメラをオーケストラ風の重厚なサウンドで弾く。咄嗟にRENO氏が、魔王の行進を思わせる堂々とした動きでステージを練り歩き、場内からは大きな歓声と笑いがあった。大盛り上がりだ。

 

これらの流れを全てアドリヴで行ったとなれば、KAZAMI氏やRENO氏は相当な芸達者である。かつてRENO氏は、MCにヘリウムガスを持ち込んで声色を変えて喋り、他のメンバーを爆笑させたこともある。確か2022年夏の渋谷公演だった。

 

そのRENO氏は本公演の挨拶で「ライヴを重ねる毎に、お客さんとの絆が深まっているように思う」と述べ、場内から大きな拍手があった。

 

ライヴも終盤。次に歌う曲について、シエル氏が「最初は陛下がシエルのために書いた曲でしたが、やがて改臓人間の応援歌となり、ライヴを通して信者の皆さんの応援歌になりました」「今後のD.H.Cにとって大切な1曲」と説明。

 

冒頭を、しっとりと歌い始めた。その曲とは「Black Swan」である。美しき白鳥が悪魔と契りを交わし、黒い翼で羽ばたく。数々の試練を乗り越え、その翼が黄金色になり、最後は不死鳥となって大空を舞う。

 

シエル氏は、歌詞で綴られた言葉のひとつひとつに感情を込めて歌っている。その歌詞と共鳴するRENO氏とアックス氏のツイン・ギターが涙を誘う。無限のスケール感を放ちながら曲が進行し、最後のバンドの音が続く。

 

シエル氏が改めて「His Majesty ダミアン浜田!」と陛下を呼び込む。ヒョウ柄のギターを持ったダミアン陛下が登場し、スタンバイした。「ラスト!死ぬ気で来れますか!」とシエル氏が観客に魂をぶつけ、カウントから「嵐が丘」に入った。

 

中盤でリリス氏のベース・ソロ、KAZAMI氏の派手なドラミングがあり、ギター・パートに突入。「地球魔界化計画」ツアーでも、本曲はダミアン陛下を含むトリプル・ギター編成で演奏されているが、今回はソロを披露する順番と小節が変わっている。

 

「地球魔界化計画」ツアーにおいては、まずアックス氏がソロを弾き、次にダミアン陛下がリフのメロディを弾く、そこからRENO氏のソロという順番だった。それに対し、今回はダミアン陛下がトップ・バッター。リフのメロディではなく、きっちりとギター・ソロを披露している。

 

そこからアックス氏とRENO氏のパートは、各人がソロを弾く回数が増やされており、ある種のギター・バトルとも言えるテクニカルなソロ合戦が披露された。楽器隊の火花散るプレイを経て、曲は終盤に流れ込む。

 

奇しくも本公演が行われる数日前(6月6日)に「地球魔界化計画」東京公演の映像作品が発布され、シエル氏がこれまでの歌手人生を振り返り、D.H.Cのメンバーになったことへの感謝の気持ちを述べるシーンが収録されていた。

 

それを踏まえて見ると「悪魔の力 手に入れた この魂さえ 奪われても砕かれても 悔いはしない」という部分が、よりリアリティを持って聴き手の感情を揺さぶる。すべての演奏を終え、改臓人間は楽器を下ろしステージ前に集合。

 

ダミアン陛下が先導し、観客と一緒に「スタッフにグー!」「信者同士にグー!」「改臓人間にグー!」と、親指を立てた「いいね」のポーズで感謝の念を表現。そのままダミアン陛下は改臓人間を送り出そうとしたので、シエル氏が「陛下にもグー!しましょうよ」と提案。メンバーと観客で「ダミアン浜田陛下にグー!」が贈られた。

 

本公演の後、ツアーは仙台、福岡と続き、広島でファイナルを迎えている。

 

セット・リスト

 

①聖詠

②審判の日

③Babel

④悪の華

⑤Walkure

⑥Eternal Sinner

⑦夢幻の扉~The Darkest Hope

⑧魔王凱旋

⑨天使と悪魔の間に

⑩美女と魔獣

⑪魔界美術館

⑫Tempest

⑬The Beginning of the End

 

アンコール

⑭天空の放浪神

⑮Black Swan

⑯嵐が丘