LIVE「D.H.C 新宿 2024.6.8」② | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

Damian Hamada's Creatures 「魔界小学校修学旅行~魔界巡礼~」 ZEPP SHINJUKU 2024.6.8

・・・続き。

 

火花散るギター・バトルから鳴り響く銅鑼の音、これに続くは「Walkure」である。この流れがドラマティックだ。ダミアン陛下の楽曲は、始まった瞬間にその場の空気を曲の世界観に染め上げる魔力を持っており、イントロの演奏が始まると同時に場内は戦場と化した。

 

ツイン・ギターのハーモニーに続いて、KAZAMI氏がタメを効かせたリズムを叩き始める。生死を彷徨う兵士たち、立ち込める黒い煙、血の匂い。ストーリー・テラーとしてシエル氏はステージ上に絶望の光景を表現し、聴き手を歌詞の世界へと吞み込んで行く。

 

リズム隊が醸し出す重さと対比するかの如く、RENO氏とアックス氏が弾くハーモニーは、残酷の奥に見える美しさとでも言うべきか。シエル氏のヴォーカルを彩る、リリス氏のコーラス・ワークも素晴らしい。

 

演奏を終えるとKAZAMI氏が向きを変え、ドラムの横にセットされているキーボードを弾き始めた。先ほどまでパワフルなドラミングを聴かせていたKAZAMI氏が、今度は繊細なメロディを鍵盤で奏でる姿は、プレイヤーとしての振り幅の広さを物語っている。

 

ここでKAZAMI氏が弾くクラシカルで美しいメロディは「Eternal Sinner」の冒頭部分である。RENO氏がギター・リフを弾くと、KAZAMI氏は素早くスティックを握り、バンド全体で本格的に演奏へと入った。

 

先ほどの「Walkure」も、この「Eternal Sinner」もバンド・サウンドを前に出しつつ、サンプリングとの同機が重要な役割を果たしている。間奏部分にギター・ソロとシンセのメロディが交互に盛り込まれた「Eternal Sinner」は、サンプリングの効果によってスタジオ音源のイメージを再現していた。

 

さて、新聖典「最後の審判」に収録された新曲群を大々的に披露している今ツアーであるが、セット・リストに「夢幻の扉~The Darkest Hope」が組み込まれている点に注目したい。これは前作「運命の支配者」収録曲でありつつも、「地球魔界化計画」ツアーでは演奏されなかった1曲。つまり今期がライヴ初披露の曲だ。

 

ハイハットのカウントから重量級のギター・リフが響き「夢幻の扉~The Darkest Hope」が始まると、場内をダークな空気が支配した。独特のグルーヴを作り出すのは、ギターの低音弦のみならず、KAZAMI氏のバスドラとリリス氏のベースのアンサンブルと言える。

 

とにかく重い。この世にあるすべての光を消し去るかのように、黒いオーラが充満している。しかしながら、闇の中に残された光の如くサビのメロディは輝きに満ちている。シエル氏とリリス氏の声の調和はクリスタルのようだ。

 

中盤のヘヴィなギター・リフに合わせてKAZAMI氏がシンバルを激しく叩き、そこからギター・ソロに突入。テクニカルなフレーズに続く、ツイン・ギターのハーモニーが歓声を誘発した。

 

演奏終了後、すぐに重厚なSEが流れる。オーケストラ風の分厚いサウンドのため、予め用意された音源を流したように思うが、よく見るとKAZAMI氏がキーボードで生演奏しているようだ。

 

暗転したステージ上に、あの方の姿が見え大歓声が沸き起こった。ダミアン陛下である。お馴染みのヒョウ柄ギターを持っての登場だ。「魔王凱旋」のスタートと共に、ステージが明るく照らされると更なる歓声があった。

 

ステージ中央のお立ち台に昇り、ダミアン陛下がヘヴィなリフを弾く。ここからはトリプル・ギター編成による演目だ。ギター・ソロの主要なメロディをダミアン陛下が弾き、アックス氏がハーモニーをつける。RENO氏はバッキングのパワー・コードを弾く割り振りに。

 

後半の3連符のパートは省かれ、「天使と悪魔の間に」が繋がった。聖飢魔Ⅱの1999年12月30日「THE SATAN ALL STARS DAY」のヴァージョンでは「魔王凱旋」から「野獣」、D.H.Cでは「魔王凱旋」から「怪奇植物」と、いずれも聖飢魔Ⅱの楽曲と抱き合わせだったので、「天使と悪魔の間に」は新たな試みである。

 

また、2021年の横浜公演、2022年夏のツアーでも「天使と悪魔の間に」は演奏されているが、その時は第1期の編成での演奏だった。よって現編成でプレイされ、更にはダミアン陛下が演奏に加わるのは今ツアーが初。

 

間奏ではダミアン陛下がギター・ソロを弾く。あらゆる点において新たな試みが満載だ。バンドが強音を一発決めて演奏が終わると、「諸君!私だ、魔王ダミアン浜田である」と挨拶。客席からは大きな拍手と「陛下!」という声援があった。

 

ここまで楽曲を連続で披露して来たが、ダミアン陛下の登場によりメンバー紹介&トーク・コーナーに。ダミアン陛下が改臓人間の紹介を行った。まずは「すべてチタン製のドラム!そして彼もチタン製」とKAZAMI氏を紹介。

 

ZEPP Shinjukuは広い会場のため、前方の端の観客は位置的にKAZAMI氏の姿が見えないようだ。よってダミアン陛下が「KAZAMI君、前に来てくれたまえ!」と言い、KAZAMI氏がステージ前方へ。端の席の信者に手を振っていた。

 

続くは「衣装の軽量化を進めている」と言うRENO氏。布の面積が少なくなり、その分、肌の露出が多くなっているらしい。最終的には「裸に葉っぱ一枚の衣装になる」と言い、観客の笑いを誘う。

 

リリス氏は、先ごろ出演したテレビ番組「関内デビル」(テレビ神奈川)で披露したステップが記憶に新しい。この日は、ダミアン陛下のその場のノリで(?)、ステップを踏むように促され、陛下が弾く「DEAD SYMPHONY」のギター・リフに合わせて、ステップを生で披露した。「カメラが入っている日に・・・」と、当のリリス氏は嘆いている様子だった。

 

次は「そこのけ、そこのけ、カズマが通る」というキャッチ・フレーズと共に、アックス氏が紹介される。加入当時は畏まっていた印象のアックス氏が、今や演奏もパフォーマンスも堂々とし、バンドに多大な貢献を果たしている姿を表現したフレーズのよう。

 

最後は「闇の歌姫から更にパワー・アップ!闇のスーパー・ディーバー、シエル伊舎堂!」とシエル氏が紹介された。ここでシエル氏より、次に演奏する曲のみ写真撮影が可能と告げられる。実はツアー初日の大阪公演は全編に渡り撮影が可能だったが、ライヴの一体感や臨場感を考慮し、次の名古屋公演より、曲を限定して撮影可能となった経緯がある。

 

その楽曲が「美女と魔獣」だ。観客はスマートフォンを準備して、曲がスタートすると各々が写真撮影を行う。ヘッド・バンギングを繰り返す激しい曲ではなく、ミドル・テンポの本曲を選んだのは、写真撮影する信者を考慮したのではなかろうか。

 

写真に話題が行きがちであるが、もちろん演奏も素晴らしい。出だしのコーラス・パートはサンプリングが流され、リズム・インするところから生演奏に。グリーンのライティングの中、ダミアン陛下を含むトリプル・ギター編成で披露されている。

 

続く・・・。