第817回「BLOODIEST 初回盤B DISC2紹介」① | PSYCHO村上の全然新しくなゐ話

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発売より時間が経過したアルバム、シングル、DVD、楽曲等にスポットを当て、当時のアーティストを取り巻く環境や、時代背景、今だから見えてくる当時の様子などを交え、作品を再検証。

BLOODIEST/聖飢魔Ⅱ

ここからは大教典「BLOODIEST」初回盤Bのみ付属するCDのDISC2に収録された楽曲を紹介したい。DISC2には聖飢魔Ⅱが本解散以降に発表した楽曲・・・厳密に言うなら期間限定再集結の度に製作した新曲類がまとめて収録されているのだ。

 

①蒼き風 紅き風

2005年、地球デビュー20周年を記念して遂行された最初の再集結時に世に出た楽曲。後にミサ大教典「恐怖の復活祭 THE BLACK MASS D.C.7 SELECTION+α」(2006年)のDISC3に当時の新曲6曲がまとめて収録される事になるが、当初は携帯電話の着うたフルで配信のみの発布だった。

 

その名も配信小教典。当時の広告を見ると「配信小教典、5週連続で発布!」という文字が躍っている。5週連続というのは「MOTHER EARTH」のみ配信には含まれていなかったので、それ以外の楽曲を数えると5曲。

 

それらが毎週1曲のペースで発布された。価格は1曲105円(税込み)。消費税が5%なのも時代を感じさせる。また、着うたフル自体が今となっては時代を感じさせるワードかも知れない。

 

携帯電話の普及当初は着メロが主流で、着うたはサビなど、楽曲の一部が配信される事が多かった。故に1曲をフル配信するサーヴィスは画期的だったのだ。現在ではアーティスト問わず配信リリースが一般的であるが、当時としては最新の音楽コンテンツであり、来たるべき時代に見合った発布方法だ。

 

CDを出さず、先に配信のみという発布は聖飢魔Ⅱとして初の試み。リスナーの音楽との接し方も過渡期であり「機種が古くて着うたフルに対応していません、CDでリリースしてください」との声もあったようだ。例えるなら、80年代後半に音楽メディアがレコードからCDに移行していた時期に似ている。

 

更に踏み込んで言うと、再集結に当たり新曲をレコーディングしたものの、CDとして発布する場合、事情で2006年になるため、何とか2005年中に発布できないか?と試行錯誤して配信に行き着いた経緯がある。

 

配信での発布時は作詞作曲者の名前が伏せられていたのもポイント。「言葉の選びや歌詞のテーマ、メロディや曲調から誰が作った楽曲なのか判るだろう?」と、構成員が信者の力量を試しているかのようだ。

 

CD化されるに当たり作詞作曲者の名前が公開され、本曲「蒼き風 紅き風」は作詞がデーモン閣下、作曲がエース清水長官。美しいコーラス・ハーモニーから始まり、エース長官が弾く哀愁のメロディが切り込んで来る。歌詞の世界観と曲調からして、正にデーモン閣下とエース長官らしい楽曲に。

 

本活動時のミサにおける構成員紹介で、ルーク篁参謀は「聖飢魔Ⅱの蒼い稲妻」「蒼い炎」「蒼い風」、エース長官が「紅い稲妻」「紅い炎」「紅い風」といったフレーズと共に紹介される事が多かった。本曲のタイトルも、それを踏まえているのだろう。

 

実は20周年時の書下ろし曲では無く、これは本活動時に作った楽曲。教典に入る一歩手前でボツになったものの、エース長官曰く「過去のボツ曲でも、教典に入れて恥ずかしくないクオリティなので、ここで持ち出した」との事。

 

様々なインタビュー記事を整理して考えると、本曲が入る予定だった大教典は「メフィストフェレスの肖像」(1996年)説が濃厚。後期・聖飢魔Ⅱの音楽性からしても「NEWS」(1997年)や「MOVE」(1998年)用の楽曲とは考えにくい。

 

これは飽くまで推測だが、大教典「メフィストフェレスの肖像」とするなら「WHO KILLS DEMON?~誰が悪魔を亡きものにするのか~」と曲調が重複するので外されたと考えてみてはどうだろう。

 

つまり決して曲の質の問題ではなく、作品の整合性を考慮して外されたというわけだ。何れにしても教典に収録すべきクオリティである事に間違いなく、こうして日の目を浴びたのは喜ばしい。

 

ミサで演奏された事は無いが、2005年「オールスタンディング処刑」ツアーの横浜BLITZ公演で「HOLY BLOOD~闘いの血統~」開始前に、「例えそこが ぬくもりに満ちていても 戦う日が終わったわけじゃない」とデーモン閣下が言う。これは本曲の歌詞の引用。ミサ大教典と活動絵巻教典になっているので、音源と映像でも確認できる。

 

続く・・・。